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隣の芝生は青い

隣の芝生は青い。羨ましくて嫉妬したり、落ち込んでしまうことがある。しかし、反対にそう思われていることもあるかもしれない。

私は女の子が欲しかった。実母と友達のように仲がいいので、娘と同じような関係になれたら楽しいだろうなと思った。可愛いお洋服を着せたり、一緒にお菓子作りをしたり、お買い物に行くことが憧れだった。

1人目は男女どちらでもいいなと思っていたけど、男の子だと分かったときガッカリした。

2人目はどうしても女の子がいいと思い、産み分けもした。でも、叶わなかった。

3人目も考えたけど、長男の発達障害のこともあるし、もしまた男の子だったら…と踏ん切りがつかない。

近所に子どもたちと年の近い姉妹がいる。顔はお人形さんのように可愛くて、いつもフリルやレースの服を着ている。

家族ぐるみでお出かけするくらいに仲がいいのだが、ある会話の中で「男の子って力が強くて大変だよね。私は体力ないから女の子でよかった〜!」と言われた。

女の子よかった…?
私が女の子が欲しくて、産み分けまでしたのも知ってるのに。私だって選べるなら女の子が欲しかったよ。

私の中の黒い感情が、どんどん大きくなる。

心の声を口にするわけにもいかず、「男の子しか育てたことがないから分からないなぁ。」と返事した。

しかし、彼女が何年も不妊治療をしていたことを知っている。2人目もなかなか授かれず、諦めようとしていたことも。

その反対に、私は妊娠を考えたとき、すぐ授かることができた。

想像でしかないが、彼女も私のことを「すぐに妊娠できていいな。私はなかなか授かれず不妊治療をして、高齢出産だから大変なのに。」と思っているかもしれない。


長男に発達障害があること、次男が多指症だったことを知らなかったら、みんな私のことをどう思うのだろう。

早く結婚して、子どもを産んで、お家も建てていいな。大きな会社の事務職で働けて羨ましい。旦那さん子煩悩で優しそう。実家近くて、いつでも頼れていいな。義両親とも仲良しだよね。

順風満帆な人生を送っていると思われているのではないだろうか。

結婚相手には困らず、妊娠を希望したときすぐ授かれて、コロナ前に家も建てられた。転職をして、ほぼ定時帰りの事務職で働けている。夫は決断力に欠けるが、優しくて子煩悩。実家、義実家ともに仲良く、いつでも頼れる。

幸せそのものだ。

ここまでも間違いではないが、実際はこうだ。

長男の対応に毎日頭を悩ませ、時短勤務の中で仕事の調整をしながら療育に通っている。まだ保育園生なのに、先の見えない未来のことばかり考えている。

次男の手術をした指が、今後しっかり機能していくのか不安で仕方がない。掴む力が弱かったら、筆圧が弱くて上手く字が書けなかったり、スポーツで不利になるのではないだろうか。

きっと、みんな口にしないだけで、それぞれ悩みを抱えているのだと思う。

他人が羨ましくて嫉妬して、落ち込むこともある。でも、隣の芝生は青く見えるものなのだ、と理解していれば、少し気持ちが楽になるのではないだろうか。

目の前のことに向き合いつつ、自分のことを大事にしながら生きていく。

人生は一度きり。ハッピーに生きていたい。

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