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よんだ 「消えゆく言語たち」 ダニエル・ネトル&スザンヌ・ロメイン 著 (島村宣男 訳) 2001

松岡正剛の千夜千冊 432夜(読相篇)

基本情報)
・ダニエル・ネトル : 文化人類学者
・スザンヌ・ロメイン: 社会言語学者(イギリス)
(表紙: 北米インディアン、ヤヒ族最後の生存者イシの肖像)


この表紙からは、先住民族の人たちの言語が失われていく現実があるのかな、とイメージされるのではないだろうか。
日本語が、消えゆく言語たちのひとつになる可能性も考えないだろう。
著者らも、日本語について発言しているわけではないが。

著作は、章を8つ設けているが、6章に入り、
英語による最初の犠牲言語として、ケルト語を挙げている。

○ 三世代の言語移行

①親世代はケルト語のみを話す。(ケルト語の単一言語話者)
②英語との境界に近いところでは、子供はケルト語と英語を話す。
 (ケルト語と英語の二言語併用話者)」
③両親が、ケルト語と英語を話す場合、
 その子供は優勢な言語の話者になる傾向がある。
 (英語の単一言語話者)」

P. 216より簡略転載

○ イングランドへの併合国

・ウェールズ   : 1536 イングランドに併合
・スコットランド : 1707 イングランドに併合
・アイルランド  : 1801 イングランドに併合

P. 217より簡略転載

○ イングランドのエリート集団(支配層)

・(被支配層の)人々の必要に応じることよりも、
 自分たちの影響力と支配力のおよぶ範囲を拡大することに関心
・先住民の社会組織や力にはいかなるものにも敵対し、
 その日常語も危険な表現であると見なす
・彼らエリート集団は一貫して、直接的に・間接的に、
 その地の言語の一を切り崩し、
 彼らをさらによく支配できる本流の社会に強制的に組み入れるため、
 あの手この手の政策を施工

P. 217より簡略転載

本書を読み進めるうちに、言語の問題は、支配法のうちの一つであり、
現代では、アメリカがそれを行っている事に気付く。
その国の生業である農業方法を破壊し、例えば、化学肥料・農薬・除草剤を販売する。学校給食に、小麦が原料であるパン食を浸透させ、
小麦を買わせる経済システムを確立する。
それは日本の話だが、メキシコならどう支配していくか、
インドなら、ブラジルならと、それぞれの国に適した攻め方をアメリカは行っている。これが「あの手この手」だ。
*ラジ・パテル 著「肥満と飢餓」に詳しい。

言語の問題から離れたが、
要するに植民地政策は、アジア・アフリカの国々が独立したことで
終わったのではなく、新しい植民地政策として継続している。

植民地時代の官僚機構、教育システム、そして、諸制度は、
今は植民地側のエリートではなく
地元のエリートによって支配されてはいるが、変更されていない。

P. 225~226より簡略転載

経済学者・植草一秀さんの著書に「25%の人が政治を私物化する国(2019)」がある。
日本では、約3,000万人がそちら側の人で、9,000万人が被支配層と言える。
政治家・官僚・大企業・メディア等は、そちら側のうち、
どれくらいだろうか。

日本国民の身近なところとして、
文部科学省の「(脱)教育」、厚生労働省の「薬という名の(脱)健康」、農林水産省の「(脱)自給自足」が挙げられる。

話が言語問題から少し離れていくが、
この本書「消えゆく言語たち」が、超国家支配層批判の書なのです。

私が思いますに、
英語を使用しているエリート支配層は、
英語による単一言語にしたいのでしょう。
当然、日本語もいずれ失くしたいでしょう。
それは日本民族を亡くすことにつながる。
民族劣化も進行していると思いますし。

また、文化の面で、
世界の国々の子供の話は、ディズニー・ワールドが請け負います。
世界の国々の映画は、ハリウッドでリメイクするから、
ローカル映画はいらないですよ。(彼らは、すぐリメイクする。)
土地は、地政学上、ユーラシア大陸を注視してるから、
まず、NATO方面から、ロシアの崩しをはかったけど、失敗したので、
韓国・日本と、中国の境を荒れさせますよ。
もし上手くいかなくても、東アジアは分断出来ますからね。
分断統治が、覇権国の鉄則です。

ここまで書いてくると、私自身、嫌になってくるので、
読まれている方がいたら、もっと嫌でしょう。すみません。

最期に、noteで先行してつぶやいたロン・クロクームの言葉を
転載して、記載を終わります。

単一の世界文化ほど、人間の創造力をあっという間に枯渇させ、
文化的多様性の豊かさを不毛にするものはない。
文化的統一が平和をもたらすとは思われない。
それどころか全体主義をもたらしかねない。
単一のシステムは、少数の特権者の支配に容易なだけである。
文化的多様性は、世界が健全さを保ち、
充足するための潜在的な源泉のひとつである。

P. 311より転載