ほぼ読んだ「もし、日本という国がなかったら」ロジャー・パルパース(角川ソフィア文庫 2019)
千夜千冊 1545夜(世走篇)
小説家・劇作家の井上ひさしさんの親友で、「戦場のメリークリスマス」の助監督となると、有名な方なのですよね。
日本人よりも日本文化を愛されている異国の人。
日本に住んでいて、日本語で生活していても、
いにしえの日本文化から離れてしまった日本人。
どちらが日本という「できごと」と密接な関係性があるかは言わずもがな。
パルパースさんの人生は、様々に変わっていく。
前のめりに不確かなものに飛び込んでいく。生きている今の状況で「余白」と思われるゾーンに飛び込んでいく。(ジグソーパズルを埋めるように。)その不確かさに、なんらかの答えを見つけ出せる自信もあるのだろう。
(安価で入手出来、今後の人生の血肉となっていくこれらの本は
どんどん読んでいった方が良いと思う。)
1957/10/ 4、ソ連による人工衛生スプートニクの打ち上げに心動かされ、ロシア語を習得していく。ナチス・ドイツを破ってヨーロッパを解放したのは、アメリカよりソ連の赤軍の功績が大きいことを知る。ソ連の各地を旅し、その土地の人たちと交流する。海外からは見えない、その国の本当の事を足を運び知っていく。
今生きている本当の世界を知る方法をもって、ポーランドへ行き、日本へ行き、オーストラリアへ行き、良い事も悪いこともまるごと受けて自分のものにしていく。
本の中の宮沢賢治と対話をし、日本の「小劇場時代」の演劇を見、「ロジャー武蔵」として浪花節を唸る。「ジャパンタイムズ」のコラムに日本文化を英語で紹介していく。「赤とんぼ」の歌のせつなさにふるえ、井上ひさしさんと深くかかわり、映画「戦場のメリークリスマス」の助監督をする。
日本の普遍化の代表といえる、早川雪洲、南方熊楠、高峰譲吉にも通ずる。
宮沢賢治の言葉