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エッセイ:インターネットやめない!

今日は目が座っている、藤吉なかのです。

自分はこの夏とんでもなくハードな原稿をバイト地獄の中で書き続けていた。疲れています。
だからいっそ気楽に思っていることを吐き出す……そんな場所を設けてやろうと。覚悟しろ。




「インターネットやめろ」というミームがある。あれはもう、だいぶ"時期"を逸しているなと感じる……そんな今日この頃。

村上春樹の有名なスピーチに「もしここに硬い大きな壁があり、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、私は常に卵の側に立ちます。」という言葉があります。

この例にならうならば、ミームとは常に「卵」……それもとびっきり無名で粗悪な卵による感情の発露でなくてはならないでしょう。


今やあのミームは、インターネットの恩恵を存分に受けるネット貴族側の人間が「辞めたいんすけど、辞めれませんわw」となんとなく自虐して、囲ったファンをキャッキャさせる道具でしかないのが悲しいところ。

もうちょっとネット上では、ノブレス・オブリージュを意識して発言してもらいたい。
何かと影響力がある人間が心から思ってもないことをツイートするたび、「こういう斜にかまえた感じが面白いんだ!」と伝播してしまうんだから。


「インターネットやめろ」ミーム自体に罪はない。実際、その発祥となった例の金髪女性の画像は今見てもちょっと面白いし。
ただ、「インターネット老人会」だのといったノリに飲み込まれて本来のポテンシャルを完全に失っているだけなのだ。

ガビガビ画質


何につけても、斜に構えるより真っ直ぐ言葉を吐いた方が絶対に良いのである。
自分は未だにゃるらさんの書く文のファンではあるし、彼がどういう意図でここ最近は芯を喰ったツイートをしなくなったのかという過程も、30%くらいは分かっているつもりだ。

しかしそれにしてと、ここ1年くらいの彼はちょっと斜に構えた発言と痛い定型文ツイートが多くてちょっとゲンナリ!
お忙しいのは分かるけど、固定ファンにウケる脳直の病みツイを辞めて、楽しいアニメや漫画の話をしてほしいね。

↑しかしこれは素晴らしいツイート。



ネット空間ですら真っ直ぐ言葉が吐けないような人間のソウルジェムは、みるみる濁っていくに決まってる!
言葉を使うという行為に対して、我々オタクこそ真剣であらねばいけないんですよ。魂の言葉が聞きたいんだ。

本気で「ネットを辞めたい!!でも辞められなくてキツいんだ!!!」という切ない感情が見えるからあのミームは笑えるのだ。
そこを履き違えるとゾウマリオやでんじろう先生の画像でウケないネタツイを繰り返すような、サムいことになってしまう。

これ見ただけで嫌になってくる


インフルエンサーが用いる「インターネットやめろ」で喜ぶお前らはマツケンサンバ2、サンリオ・ちいかわの雑なネタ、その他諸々のノリを一生面白がっていれば良い。

「インターネット、やめれね〜w」と繰り返しながら、今日が何月の何日かも分からないままに、もはやサムくなった話題作への逆張りを続け、味も分からぬカップ焼きそばを飲み物みたいにかっこむ生活をしていれば良い。

大体インターネットを悪い悪いと蔑むことでしか自己表現が出来ないくせして、その表現をもネットを通して発表してるんだからお笑い草である。
そこにある種の切なさを見出せなくもないが。


若年インターネットオタクにおける『lain』みたいな感じで、ミーム界において立場を表明するためのファッション・ツールとなってしまった「やめろ」ミームの行く末は暗いぜ。




じゃあこれだけ文句言っている当の僕は「本心からインターネットを辞めたいのか?」というと、これが全然辞めたくない
むしろありがたいことにnoteのおかげで少しずつ知り合いが増えてきて、今一番楽しい時期である。

プライベートでアニメの話をできる人間がそう多くないだけに、気の合うオタクや知識の深い先輩オタクとネットを介して出会うことができるのは素直に嬉しい。


普段生活していては出会えないような、頼りになる先輩と出会えるのはインターネットの素晴らしいところだ。
先日も、10個ぐらい上の先輩オタク・5個くらい上の先輩オタクとdiscord上でお話しさせていただける機会があった。なんと刺激的なことか!

普通に生きていたら関わり合いになれない大人や同年代と関われることは、本当にインターネット、バンザイ!といった心地。

その先輩オタク達との会話は演出論から萌えトークまで何もかもが楽しいものだったが、かなり印象的だったのは「なかのくんの世代は、良いなぁ〜」という趣旨の発言だ。


その先輩によると、「劇場版スタァライトとか、グリッドマンユニバースとか…ああいう傑作を大学生って立場で見られるのは良い。僕らの世代はラブライブ全盛だったから。」とのこと。

僕ら世代からすると『傷物語』『リズと青い鳥』といった傑作劇場アニメを成熟した年齢で、劇場という最高の環境で見れた先輩たちの世代には憧れしかなかったのだけれども…


なるほど、確かにそういう見方はあるか。

自分は『サンシャイン』だけ見ていないのだが、確かに『ラブライブ』の世代と括られるのは生粋のアニメファンとしては忸怩たる思いなのかもしれないなぁ…と思った。


自分の意見としては初代アニメ1話に代表される、日常から流れるようにライブMV風映像へ入っていくミュージカルらしい演出はキレがあって好きだった。

ライブシーンにアイドルMV風画面を多用する方針も斬新だと感じるし、省エネかつ可愛らしいそのテクニックは、その後の多くのアイドルアニメに影響を与えただろう。
この作品が演出的につまらない作品だとは一ミリも思っていない。むしろ多くの凡庸なアニメより、演出面での見どころは多い!

京極監督のライブ演出、好き!

系列作品にはなりますが、ライブシーンに限らずとも、『スーパースター』1期の第10話みたいに演出×脚本×声優さんの芝居が完璧に噛み合った良作も生まれている訳で。

ファンの皆さんによるムーヴメントや本編の演出などを含めて、平成以降のアニメを語る上で決して避けて通れない作品だということは確定でしょう。


しかしまぁそれはそれとして、「お前ら世代のアニメオタクはラブライブ世代だよね」というレッテル貼りに、何かしらの抵抗感を覚えなくもないのは、共感せざるを得ない。
『ラブライブ』はあまりにもリアルライブ前提のコンテンツ……その一部として「アニメ」があるという形式。

作品の好き嫌いは置いておいて、そのクオリティからも、文句なしの世代代表となるアニメ作品かと言われれば難しいところでしょう。

それに、ねぇ?不勉強なので詳しいことは分からないけど……
リアルタイムでμ'sが活躍していた世代だと、何かと(一部の悪い)ラブライバーへ反感を持ってしまうのもありえなくはない話なのでは?

↑この発言にムカっときて石を投げたくなった貴方。淫夢・東方・バンドリ・アイマス…………その他諸々の流行コンテンツを応援するファン達の言動に、一度もモヤモヤしたことがない聖人だけが、私に石を投げなさい。



そう言われると、確かに「自分らの世代は恵まれているのだろうか?」と話の流れに飲まれそうになったのです。
『スタァライト』をオタクとして、原体験的な年齢に鑑賞出来たことはとてつもなく大きい。『グリッドマンユニバース』も、理屈では説明できないドライブ感が爽快だった。


でもよく考えたら、僕らの世代が特別恵まれてるかって言うと、そんなことないんですよね。

この時話していた先輩オタクの方は『傷物語』などを劇場で見た世代でありながら、「ラブライバー」みたいな概念に苦しんだ世代でもあった。

我々世代はというと、『スタァライト』などの傑作はありながらも、アニメ自体のパワーが落ちてきていることを意識せざるを得ない悲しい世代なんじゃないか……と思います。


だって我々の世代で流行ってるコンテンツの筆頭ってVtuberとソシャゲだし。
もはやアニメ・漫画がコンテンツ産業の真ん中とは言い切れない世代。やはりアニメのファンとしてはシンプルに悲しいよ。

Vtuberさんは連日アバターを着こなし、萌えや尊いといった癒しの感情を、その身体・精神で以てオタクに届ける。
声優やアニメーター、演出家とは違うベクトルでとても立派な仕事です。


あまり詳しくはありませんが、多くのVtuberさんが配信をメインに活動しているでしょう?ほぼ毎日1〜3時間(人によってはもっと)をファンの前に無編集で晒すなんて、凄すぎる。

規模がここまで大きくなると、炎上へつながるリスクも格段に増えていることでしょう。下手うちゃ即引退の可能性もある、迂闊なことは言えない。

でも本性を隠す演技なんて、そんな長時間続く訳がありませんから。

だから多分著名なVtuberさんは皆、長時間配信しても悪いところを表に出ない、底なしに良い人なんじゃないか……
最近この考えにたどり着いて、私は彼ら彼女らにより敬意を払うようになりました。自分じゃそんなの絶対ムリ!本当に凄いよ。


そんなVtuberさんたちが日夜している自己犠牲的な行為そのものには最大限のリスペクトを持っていますが、リスペクトを向ける事と自分の意見とはまた別。

オタクコンテンツの中でもアニメという完全虚構の芸術が大好きな自分としては、アニメを見るはずだったオタク達を奪われちゃう!!!!という妬み嫉みも相まって、どうしても応援はできません。

これはまぁ完全に、趣味嗜好の問題ですね。
「アニメなんてひとつも真実がないコンテンツ、面白みが無いね!」みたいなヤツもいるだろうし、そこはどっこいどっこいでしょう。

なんとなく、「こんなんもはや二次元とか関係ない、ただの身バレしづらいように仮面被ったアイドル・生主じゃん…」と忌避している節もある。
二次元なのか?三次元の人間なのか?その境界線を行き来する感じが売りなんだろうけど、いまいちノリきれない。

アニメは(一部の例外を除いて)画面に映る全てが虚構の絵で構成されていて、そこには計算のみがある。そのハッキリとしたところが好きでもあるわけだ。

Vtuberさんは虚構なのか現実なのか、分からない。Vtuberが声優なんかやっちゃった日には、もうウロボロスというかなんというか…である!


そしてこの「虚構なら完全に虚構であれ」という思想は、自分の中でも首尾一貫している。

だいたい俺は同人音声でも「実録〇〇〇ー」みたいな音声作品、その在り方がもっっっっっのすごく嫌いなんですよ!!!
これこそ真に境界線が曖昧で、ダサい形式だ!

そもそも本来の同人音声とは、台本に沿って声優さんが何かしら読んでくれたりする。
それを聴いて我々が興奮したり癒されたりする訳ですが。

調べてみると、やはりかなり人気があるジャンルのよう。


実演って、それ同人音声の美学から外れていないか!?


お前らはせっかく同人音声という完全に虚構から生まれたポルノを聴こうとしているのに、なぜ最後の最後で、実在の人間が本当にあくせく秘部を弄っている…というリアリティに屈するのか!?


お前ら、そんなやわなオタクだったのか?と俺は問いたい。実在の人間から漏れ出るエロスを求めるなら、純粋に人間が演じているAVを見ればいいじゃないか。


俺は決して、「二次元オタクたるもの、実在の人間に対して恋愛感情とか欲情を向けるな!」なんて言おうとは思っていない!

そういうオタクへの「オタクたれ」のようなレッテル貼りは、むしろ率先して忌避しているくらいだ。
オタクでも目一杯オシャレしていいし、スポーツ観戦しても良い。オタクらしくない趣味があっても、それを卑下する必要は全く無いのだ。


要は、ジョジョ8部の吉良吉影と全く同じことが言いたいんですよ。
Vtuber然り、実録同人音声然り!
完全な虚構に何かしらの実在性を求めるのは「中途半端」なんじゃないだろうか?

お前は「生身のエロス」「虚構のエロス」
"どっち"なんだ?


まぁそんなこと言っても、それを楽しんでる人に僕は何かするでもない。

それに私はお話としては、感情を簡単にカテゴライズできない複雑な感情を描くものが好きです。作品内の描写については、複雑であればあるほど良い。生きていることって、物語じゃないから。

要は自分の立場としては、作品が目指す到達点が「ハッキリ」した作品が好きだということ。


「中途半端」という話題で繋げるならば、僕の大好きなアニメ周りも近年少しずつ境界線が曖昧になってきているのです。

先述したラブライブなどに代表されるメディアミックス商法は大成功を収め、最早そうした売り方をしていない作品の方が少ないほどになってきたアニメ界。

アニメ制作会社は何かと「財政的に苦しい」という話を聞きますからね。
殆どをスポンサーやメーカーに掠められたとしても、少しでも制作会社が楽になれるならばメディアミックスはどんどんやってほしいところです。


また作り手に限らず作品のファンにとっても、アニメ終了後にゲームや漫画でキャラクターの新たな姿が見れることは、大きな喜びでしょう。

大傑作アニメ『ガルパン』なんて、長い長い制作期間を家元のエロコスチュームで繋いでいる節があるんだから。それがファンから求められているなら、win-winなのです。


ただあまりにメディアミックスが前提となりすぎて、もはやアニメファンは声優さんの素の姿という「影」を踏まずに歩くことが不可能になってしまいました。


声優さんをアイドル売りするのが流行りきって最早常識という感じになると、こちらとしてはやはり生きづらい。

声優さんの演技に萌えたことは数えきれないが、ご本人の何がしかに萌えたことってたぶん無いのだ。
それに『絶望先生』でも言われてたけど、CDジャケットとかコスプレして番組出る感じとか、ノリが全体的にちょっとイタいし…


アニメキャラクターと声優の境目が曖昧となる……そんな現象の極北が、「公式サイトのキャラクター紹介ページでキャラの横に声優の顔写真を置かれる」やつでしょう。

正直かなり堪えるので勘弁してほしい。
誰もが声優さんの顔を見たい訳じゃないんだ!


こっちはアニメーターの研ぎ澄まされた線で描画された美少女の性格が知りたくてアクセスしてるのに、なんでどこの誰ともしらんリアル人間の、何かと微妙な宣材写真を見なきゃいかんのだ。


俺は……俺は……アニメキャラクターに萌えたいだけなのにッッッッッッ!!!!!!!!!!!!









オチはありません。
全体的に論理も破綻しています。




そういや、こういう暴れた感じの記事とか文章に「怪文書」ってタグ付けるノリも今やキツいね。

自称してる時点でお前は怪文書をしたためる「当事者」から「観客」になってんじゃねーーーーーーかよ!!!!!!!!!!正気に戻るな!!!!!こらーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!



「文句」は尽きない……………


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