ここらで語ろう、2023秋アニメ!〜後編〜
「5〜6話あたりが放送されている時期」という、この世で1番アニメ感想が投稿されないタイミングで2023秋アニメを語っていく記事!その後編です。
いつのまにかクールを終えようという時期(12月末)になってしまい、コンセプトは大崩壊。もう秋じゃねーよ…
↑前回の記事。『フリーレン』『16bit』『星屑テレパス』『わた推し』を語っています。
SHY
今期のダークホース作品。オモロです。
能登麻美子と沢城みゆきが親子役(しかも能登さんが子ども側!!)というサプライズにゃ興奮したぜ……
『フリーレン』や『薬屋』ほど一般的な注目度が高いとは言えませんが、映像演出とキャラの演技が楽しいアニメ!!
監督は『地縛少年花子くん』『彼方のアストラ』『ハクメイとミコチ』などを手がけた安藤正臣さん。自分は安藤監督のファンなんですよ、大好きだ……
SFから怪奇ものまで幅広い作品を手がける安藤監督は、徹底的に作品に寄り添うマルチな映像センスを持つ才人という印象。
お名前がスタッフロールにあるだけで、「このアニメは絶対面白くなるな!」と確信させてくれます。
アニメの内容や方針に自らのスタイルを馴染ませ、その秀逸なスタイルを全話にわたって貫き通すことで、「毎週見るのが楽しみなアニメ」をさりげなく作り上げてしまう…
そんな安藤監督の見事な手腕は本作『SHY』でも遺憾なく発揮されています。
本作において最も特徴的な演出は、やはりこの「フレーム・イン・フレーム」なのではないでしょうか!安藤正臣監督、お得意の手法です。
もともと表示されている画面という大きなフレームの中に、新たなカットとして小さなフレームを別個で挿入するこのテクニック!!
こうやってカットを重ねるテクニックは本当にイカしてて、堪らんですね。
カットが変わるという生理的・映像的な快感は強くあるのに、同時に見ていて急かされないカット割というのが唯一無二だ。
一般的に「フレーム・イン・フレーム」と言う際には、作品世界内に実在する物体を用いてカメラ内をフレームで区切る手法のことを指すことが多いです。
有名な映画監督だと、吉田喜重や実相寺昭雄なんかがこの手法の代名詞と言えます。
自分から例に挙げといてなんなんですが、この辺の鬼才には基本的に太刀打ちできないので比べない方が良い。
最近のアニメを例に挙げてちょっと落ち着きますか。歴史的な作品を比較に挙げると後が辛くなってくるし。
『無職転生』2期でも、広義ではこの演出に該当する構図が見られました。
この場合の「フレーム・イン・フレーム」は、主人公であるルーデウスの閉塞感や猜疑心を表現しようとする作り手の試みに貢献していると言えるでしょう。
圧迫感もありますし、画面全体の暗さも相まって見る側に緊張が走る一瞬です。
しかし『SHY』の場合、本演出は感情表現というよりも、映像のスタイリッシュさに貢献していると言えます。
なんてったって、作品内の現実世界には存在しないオブジェクトですっぱりと画面を分割してしまいますからね。
前カットの上に次カットを「重ねる」ようにしてシークエンスを展開していく気持ちよさ!
この演出は安藤監督の過去作品、『ハクメイとミコチ』でも見られました。
東洋風のファンタジー世界における日常もの…という作品の特徴に、この足踏みしてカットを重ねるようなテンポ感がマッチしていて素晴らしい。
アニメ『アクダマドライブ』で、シーン変わりに合わせて新たな背景美術が下からせりあがる…という演出がありましたが、「カットを前カットの上に重ねる」という点では似ている気がしますね。
ただ『アクダマ』は「せりあがり」に効果音をつけるなどして、シーン変わりを強く劇的に印象づけていました。
またキャラクターの登場時にはPV風のショート映像が流れていたのも印象深い。
『アクダマ』は本編の「作品世界内の現実を描いた映像」と、せりあがりやPVといった「作品世界とも距離を置いた映像表現」の組み合わせがスタイリッシュなアニメ!
それらの派手な演出は、『SHY』のような「足踏み感」を呼ぶことはありません。
むしろド派手にテンポよくストーリーを展開する意図で組み込まれた演出でしょう。
同じようにリアルさとは距離を置いたカット割であっても『アクダマ』のそれは、緩やかさすら感じさせる『SHY』のカット重ねとは相反する演出。
同ジャンルとも取れる演出であっても、音響や細かい処理によって印象は随分と変わるものだな…と改めて思わされます。
長々と画面の話をしてしまいましたけど、めちゃくちゃ良質な萌えアニメでもあるのが『SHY』の良いところ。
要所要所で「〜なのかい?」と最高語尾を披露してくれる小石川さん (cv.東山奈央)にビビッとくるオタクは、絶対にチェックすべき!!
小石川さんに言われてぇな、俺は。
何とは言わないけど、ね…俺はね……
俺は小石川さんに、切実に言われたいことがあるな……………
「君、私にこんなことして欲しかったのかい?///」とかさ、「君……に、二回目なのにこんなに元気なのかい…?///」とかさ。
おおおお、小石川さんったらエッチッチすぎるって……!!!!!、!辛抱たまらん!!!!!ひ〜〜〜!!!!!!
🗡️フンッッッッッッッグッッッッッ
『SHY』はいいぞ。
君のことが大大大大大好きな100人の彼女
今期のエロ美少女枠、筆頭アニメ。
そして僕はこの枠を「深夜アニメ・オブ・深夜アニメ枠」とも称したい。
何から話せばいいか分かりませんが、とにかく今期で最も心から「おもしれっ!!!!」と叫べるのはこのアニメ!
とにかく萌えとエロ、やはりアニメつ〜のはこれを蔑ろにしてはいけないよ。
マンガにとんと疎い自分にしては珍しく、原作も少し読んだことがあるのですが、マンガの有無を言わさぬテンポ感を真の意味でアニメに持ち込むことができている作品だと感じます。
視聴者たる自分の身では想像することしか出来ませんが、マンガをアニメに翻案するのは非常に難しい作業のはずです。
縦長のページに描かれ、吹き出しとコマによる静止画の表現だからこそ成立していた感動や笑いを、横長の画面に置き換えることは簡単ではない。
マンガ原作のアニメを当然のように見ている自分たちは忘れがちですが、作り手は命懸けで翻案し、綱を渡るような心地なのでしょう。
個人的に最もマンガとアニメで異なるのは、「時間」だと考えています。
そしてそれは言わずもがな、作品としてのテンポに直結する重要な要素。
マンガを読む際に私たちは好きなようにコマを見て、ページをめくることができます。
大見開きページをささっと読み飛ばすことも出来ますし、多くの人が殆ど目もくれない小さなコマを凝視することも自由です。
当たり前ですが、これはアニメには無い時間の感覚です。マンガはいわば、読者側に作品を受容する時間の支配権が与えられている。
コマ割りなどで視線誘導の工夫こそ出来ますが、読者の読む時間をすべて均一にしたり、作者の意図通りにしたりは出来ません。
一方でアニメなど映像作品は再生速度オプションをいじらない限り、読者に作り手が設定した「固有の時間」を体験させることができるわけです。
ここでは敢えてアニメ(映像)の優れている点を粒立てて語らせてもらいますが…
映像は漫画と異なり、時間のタメ(溜め)・ツメ(詰め)を作り手が丹念にコントロールすることで、マンガでは真似しにくい強い感動や絶望感を味わわせることが可能とも言えるのではないでしょうか?
映画で言えば、やっぱり黒澤明『蜘蛛巣城』が個人的なその筆頭。完璧に管理された映像の時間と音響は、まさに世界レベルですよ!!
騙されたと思ってみていただき、血の気がすーっと引く体験を味わって欲しいものです。
アニメで例を挙げるならば、『ワンダーエッグ・プライオリティ』第11話のラストシーン。この作品は当時まだアニメに明るくなかった自分に、雷の如きショックを与えましたが…
11話ラストは動作と台詞のタメ、そして美しいロングショットの合わせ技による衝撃的なシーン。
若林信監督の持ち味は巧みなロングの使い方にあるんじゃないかとオタクの先達に言われ、納得しきりの今日この頃です。
台詞のタメと、そこにマッチした相川奏多さんの名演技がなくてはこの感動は生まれません。
紙媒体では生まれ得ない、まさに映像ならではの衝撃と言えますね。
もはやログインボーナスのごとく"魂のアニメ"について話をしたところで、今期随一と名高いエロスの戦士こと『100カノ』の話に戻るとしましょう。
『100カノ』は1話Aパートが正直なところ、不安な出来だったんですよね。
AパートとBパートで絵コンテ担当が(おそらく)違うこともあったんだろうか?それとも脚本の詰め込み方が、個人的に好かなかったのだろうか?
Aパートは先述した「マンガからアニメへの翻案」に失敗しているのがビリビリ肌で感じ取れたんですよね。
闇雲に原作で使われている文字・セリフのノリを画面に入れてしまう感じが、見ていて不安になる出来。
神社で神様と会うシーンなんか、ちょっと寒気がしてしまうほどスベり散らかしていた。
個人的な体験で申し訳ないんだけども、この作品を見始める前に『化物語』を見返していたせいで生半可な文字演出は効かないどころか、むしろダサく見えてしまう。
しかしBパートからそれ以降の話数は、完全に脱皮していました。鬼のようなテンポの良さ!!
ギャグ表現をセリフやテロップに依存し過ぎず、しっかりと「アニメーション」=動きで口角を刺激してくるスタイルが素晴らしかった。
矢野茜さんによる可愛らしい激萌えなキャラクターデザインと、ぐんぐんお話を引っ張っていく声優陣の熱演!!
テンポ良い演出に、さらにここまで良い要素が加わればつまらないわけがないんだなぁ…
今や毎週末、深夜に息をつける生活のオアシスとして楽しませてもらっています。
下品さと美麗さが合わさる、その「対消滅」に萌えとエロスが宿っている。
この記事を書くきっかけをくれた永遠のニキ・8歳女児パイセンは本作を「催眠」「SCPオブジェクト」「恋太郎は即座に確保・収容・殴打するべき」と、散々に言っていて爆笑しましたが…
僕ぁ個人的には、女児ニキほど「家族」に心打たれるタイプでないのもあってか、割とそこら辺は気にならなかった。
むしろ美少女まみれの萌え萌え空間が、優れたアニメーションになっていることへの感謝が先に来る。
確かに『100カノ』はキモイよ。めちゃくちゃゾッとするアニメとすら言える。
個人的に恋太郎くんのことはとても好きだけど、彼の真摯さも、果たしてどこまで相手への真摯さなのかは分からないし。
公式は徹底的にキモさを漂白しようとしているが、やはりコンセプトからしておこがましいんだから!!真っ黒なものを真っ白に見せようたって無理な話だ。
でも、演出のドライブ感が全てを忘れさせてくれる。本アニメがギャグパートで魅せる美少女!!!美少女!!!エロ!!!の連打は、開き直った清々しさすら感じて俺は大好きだな…
ただ本当に百合が好きならばともかく、『100カノ』特有のキモさから逃れる為に「いや俺はヒロイン同士のカプが好きで…」とか言っているオタクは猛省すべきだ。
あれだけ真摯であろうとする恋太郎くんを観ておきながら、その程度の真摯さでオタクをやろうとはお笑いぐさである。
もっと自分のキモさに、恋太郎よろしく真摯に向き合うべきだ。「僕はアニメの美少女がみんな俺のことを好きになってくれる、そんな自分に都合が良くて頭の悪い作品が大好きです」と、胸を張って大合唱しようぜ!!!!!
催眠でも夢でもいいじゃない
ああ オタクは しあわせ
薬屋のひとりごと
かなり前から現在まで、ネット広告に出続けている息の長い話題作ですね。実際に見てみると、やはり面白い。
切れ者の女中が後宮での様々な事件を解決していく…という筋書きは完全に韓国ドラマなんですけど、細かいところで日本の作品っぽい魅力が光る。
かわいらしく萌え萌えにデフォルメされるキャラや、急に日本語で巻物に文字を書き出すチープさ…良くも悪くも日本アニメらしいゆるさがあって良い!
流石にここのシーンは没入感が削がれるので、巻物は現地語・日本語訳を字幕で出す…みたいな形式の方が良かったと思うけど。
数ある要素の中でも、特に主人公をいびる女中キャラが最後まで一貫して悪いのではなくあっさりと改心するあたりは、日本のオタク向けにアジャストされた要素なのかな〜と思いますね。
恐らく韓国ドラマなんかだとあの女中は最後まで憎らしく描かれて、徹底的に責められた挙句に死刑とか流罪を喰らってるんじゃなかろうか。
そういうキツい展開は、生暖かくて酸っぱい匂いがするオタクのゆりかご・コンピューター室で育った私のようなオタクには受け入れ難い。やっぱりいくら軟弱と言われても、ビビってしまうよな…
普通にエグい報復シーンは「スカッと」より「可哀想」が勝っちゃうから…
その可哀想さがむしろそそるぜ、って人には『薬屋』をみた後に美少女が裸土下座してるエロ画像でガス抜きするのをオススメします。
閑話休題。
まず作品のシンプルな感想から言えば、悠木碧と久野美咲のコンビ最高すぎる〜〜〜っ!!!!!!というのに尽きる。俺たちにとっちゃ、何をおいてもこれしかないだろ?
硬派なオタクに軟弱者と言われようと、海外リアクター(20代アメリカ人・自称ラッパー)に「おいおい、日本人は声でエクスタシーするのかい?」と罵られようと、俺ぁこれが今作の大きな魅力だと言い切るぜ。
だって2人とも演技が上手すぎるもの。
斜に構えたシニカルな猫猫ちゃんと、天真爛漫で猫猫を慕っている小蘭ちゃんのやりとりは見ているだけで心地よい。こういう「会話」の素直な良さがあるアニメは本当に強いですね!
極上のボイスドラマというそれ単体で作品として成立しうる要素に、さらに画面の演出が加わるんだから!
ゆで理論をわざわざ持ち出すまでもなく、そういったアニメが高いクオリティになるのは自明ですわな!!
毒のある低音をやらせたら当代1の悠木さんと、ロリっ気を抑えてピュアな女の子を好演している久野さんのコンビネーション!!
このコンビの会話は、甘さと塩気の塩梅が心地よくて非常に聞き心地が良いです。
この二人が延々世間話する、SDキャラ系のショートアニメ作って欲しい。
そんな猫猫と小蘭2人のやりとりが、アニメーションとしてひとつの「完成」に至ったのが第4話。まさに全スタッフさん入魂の出来と言うに相応しい、個人的な今期Bestエピソードです。
絵コンテは『ヤマノススメ サードシーズン』10話や同シリーズ『Next Summit』7話Bパートなどで知られる「ちな」さん。
『NS』7話Bパートでは脚本・絵コンテ・演出・作画監督を1人で務めるという荒行を進んでこなした若き天才ですが、今回もその才覚が爆発しています。
前回の感想記事で私は「(作品は)スケールが小さければ小さいほど美しい」と書きましたが、このエピソードはまさにそうしたミクロな視点から日常を魅力的に切り取るアニメの品ある作法そのもの。
ちなさんと総作画監督・もああんさんの尽力による日常芝居表現の徹底、コミカルな相似カットを何度もインサートするテンポの良いコンテワーク。
一見相反するふたつの特徴(リアル・誇張)を違和感なく24分間にまとめ上げる神業こそが、本エピソードの大きな魅力です。
「ちな&もああんは山田尚子の追随者すぎる!!」と毎日風呂場で叫んでたら、山田尚子監督の新作にもああんさんが参加しててビビったオタクは、俺だけじゃねぇはずだよな?
次第に疲労していく猫猫の歩き方や食事風景、細部のキャラクター芝居がこれ以上ないほど描き込まれていて、「アニメにおける日常芝居」の傑作に名を連ねるエピソード!
特に4話序盤の猫猫ちゃんと小蘭ちゃんが食事をするシーンは、息を呑まざるを得ない驚天動地のクオリティですね。本当に、何度見ても息を飲まされる。
実は当初、この記事内で食事シーンの細かいアニメーションについて語りたいな〜と思っていたんですが、6〜7割くらい書いたところで諦めました。…これは無理だ。
気の遠くなる程に高い技術が尽くされた珠玉の「芝居」の前には、我々視聴者は言葉を尽くしても尽くしても十分に評価することは難しい。ましてやそれを書いているのが自分のような素人ならば尚更のこと。
小蘭ちゃんが食器をすっ…と引いた瞬間の、言葉に尽くしがたい感動。
とんとん、と木のスプーンを食器に当てて水気を落とす芝居の、強烈なリアリズム。
こだわりが生む比類無き"美"を前にしたとき、我々はもはや何も出来ない……と考え込んでしまいました。それくらい素晴らしいエピソードだったんですよ!!
もし万が一見てないオタクがいたら、回れ右してすぐにdアニメストアを開き、『薬屋のひとりごと』4話を見ることをオススメします。
名実共に、今期No.1エピソードですから!!
ウマ娘プリティーダービー season3
今や定番の覇権コンテンツとして肩で風切ってインターネットを歩いている『ウマ娘』。実際3期が始まった時、ファンたちの盛り上がりは凄かった(ように見えた)!
自分は競馬無知人間ですが、「ドゥラメンテが登場した話題性」を存分に活かした第1話になっていたらしい。
にわか『ウマ娘』オタクの兄ですら興奮してたので、多分ファン心理的にはオイシイ展開だったのでしょう!
ただ、その話題性に対してアニメ作品としてトータルのクオリティは決して高くないというのが私の所感です。
「史実再現」みたいな点に重きを置いている作品を、元ネタを知らない人間が100%楽しめるわけもないことは承知の上ですが……それにしてもちょっと退屈すぎるだろ!!
やはり本作の売りは「レース」ですから、しのぎを削り合うレースシーンとその結果を踏まえたウマ娘たちの反応は最も重要なシーンと言えるでしょう。重要なはずなんですが…
いかんせん、盛り上がりに欠けます。
走るアニメーションの熟練度はシーズンを重ねているだけあり、どんどんレベルが高くなっているとは思うのですが、一言でいえば完全にパターン化してしまっているんですよね。
レース終盤は1位を目指すウマ娘たちにオーラを纏わせ、足が蹴り上げる土の描写をインサートしたり、観客席の先輩たちが「いけー!」と言ったりして、「うおおおおお」とひたすら叫んでる間にぬるっとレースが終わる。
結果によっては特定のウマ娘が「うわーーーーん」と泣いたり、観客が「うわーーーー」と喜んだりする。
流石にワンパターンすぎるって!!
こういうのは「天丼」じゃなくて、「アイデアの枯渇」っていうんですよ。繰り返される気合いの叫びも、芝居がパワー不足だからどうにもならんし。
だいたい2期までは笑いの種になってた天丼ネタ(美容師さんネタなど)も、今シーズンは不振気味ですからね。
宇宙とか修学旅行先からレースを見てるからといって、取り立てて笑えないよ!
レースシーンはひたすら同じような演出しかしてないので、プリキュアの変身シーンよろしくバンクシステムが使われてるのかと思った。
前のエピソードを間違えて再生したっけ?と疑ってしまうほどワンパターンでガックリ。画面の見せ方にチャレンジ精神のないアニメほど、見ていてキツいものは無いです。
そして先ほども少し触れたけど、レース後の泣きシーンはかなりひどい!
類型に堕した泣きの表現は「視聴者をここで泣かせたろw」というスケベ根性丸出しで、めちゃくちゃ冷めます。
本当に、ボロボロ涙流す顔をドアップにして「うおお〜〜ん」と泣かせるだけなのどうにかならんのか?そんな泣き方、グリーン・バブーンしかしないだろ。せめて人間らしく泣かせてくれよ。
「あ〜泣けますねぇ〜!!貴方も泣いて良いんですよこの良いシーンでぇ〜!!!!」と感性に酔って自慰する作り手の声が聞こえてくるようで、こういうのはキツい。
感動の押し売りが露骨すぎるだろ、『秒速5センチメートル』か?(物議)
及川監督のいわゆる「天丼」ネタは個人的に好きなんですが…
レースという1番の盛り上げどころをお笑いぐさなクオリティにしたくないなら、ここまでワンパターンな見せ方は避けて欲しかった。
第11話のレースシーンも、正直盛り上がりに欠けましたからね。
最も盛り上げるべきであるゴール直前、「どっちが勝つんだ!?」というシーン!先述した恒例の演出を連発して、既に視聴者は「このシーン構成、何度も見たことあるぞ!」という感じですが…
そこからカメラは1度互いの顔をクローズアップしたクロス・カッティングを挟んだ後に、デッドヒートに燃える2人をフルショットで捉えている。
これがなんか、ピンとこなかったんですよね〜
フルショットとは、ショットサイズ(カメラが対象をどのくらいの大きさで撮るかのサイズ)のひとつで、人物を頭から足先までぴったり程度に収める画角のことを指します。
このショットは人物の身体全体を映すことが出来るため、主に屋外での場所・行動の説明に使われることが多い画角。
レースの結果が今決まりつつある!という盛り上げどころなんですから、いまさら説明に適した画角を使ってもしょうがない。
キタサンがピークを過ぎているという設定からか、オーラも無いので地味な印象があります。
このカットは地面すれすれのローアングルを採用することで(多少)見せ場っぽい迫力が出ていなくもないのですが…
いかんせん、興奮しきりの実況音声と沸えきらない画面との温度差が大きいので、視聴者は困惑させられてしまう。
キタサンがいつ先頭に立ったのか、イマイチ目立たせていない点も、勝利のカタルシスを薄めているように感じられます。
この後、実況お姉さんのバストアップを経て、実際の競馬を意識したロングショットでさりげなくゴールし決着。なんか盛り上がらんな〜
キタサンがピークを過ぎているが故に、そのレースも全盛期ほどの精彩を欠いたものになっている…という設定を踏まえたレースであると好意的に解釈できなくもないのですが、にしても淡白すぎる描き方!!!!
『ウマ娘』も1期OPではセンス○なカメラアングルもあっただけに、インパクトがずいぶん薄れたな〜と残念です。
なんとカメラ位置はメジロマックイーンの左手(で合ってるよな…?)という、凄い映像。
足から顔まで縦横無尽に映す躍動感にはちょっと凄いものがあります。
これまでの平坦な映像を一瞬で忘れさせられてしまう、パンチ抜群のカットですよね。
もし「あんま覚えてなかったな…」という方は今からでも見てください!ここだけめちゃくちゃ良いので。
おわりに
「秋アニメ雑感」なんていうタグをつけているくせに、本文書くのと推敲にずいぶん時間がかかってしまいました。
こういう形式でアニメの話をする記事を書くのがずいぶん久しぶりなもので、前編後編共に割と手探り感がある文章になっているかもしれない!
とはいえ物語への考察や感想に留まりすぎず、演出の話も織り交ぜながら、徹底して楽しくアニメの話がしたかったという当初の考えに合致した文章になったのではないかと思います。
アニメって人それぞれに色々な楽しみ方があるので、みんなそれぞれのペースで好きなアニメを見ようね!!!!
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