見出し画像

身を切れ!地獄の占い稼業❤️‍🔥

実は、8月から某占いサイトで占い師として在籍しており日々占い業に勤しんでいる。自分で決めた占い師ネームと宣伝文句を冠にし、キラキラのエフェクトが業者により加工されたアー写(ほぼ遺影)を引っ提げてチャットや電話でタロット占いをするのだが、完全出来高制なので何時間待機しようが1人も鑑定できなければ1円にもならない現場だ。

不意にやってくるお客様の不安を取り除き、癒し、帰らせ、リピーターに繋げるために丁寧な営業メッセージも忘れずに送る。

こう書くと風俗嬢にでもなったのかと錯覚するのだが、本質的には同じものがあると思う。ただ、僕はまだ駆け出しだし歳も若いため(占い師は年齢が高い方が人気)あまり稼げていない。中高生のお小遣い、下手したらそれ以下の収入を細々と貯めこんでいる。

鑑定依頼の99%が恋愛だ。オンライン占いの性質上、他人には言えないような恋模様を相談する人が多い。少し前までの僕だったら占いをしつつ「どうして行動に移さないんだろう?こんな所でこんなことを聞いても意味あるのか?」、しまいには「そんなこと言ってるから幸せになれねえんだよ」等とお客様を見下した考えを持っていた。
振り返ってみると最低である。自分だったら絶対にこんな占い師に占われたくない。

それもこれも、僕自身が当時恋人ができたばかりで、この世の全てを手に入れた感覚に陥っていたからだ。「恋愛弱者め…」と、自分も恋愛弱者に違いないのに上から目線で占いを行っていたバチがあったたのか、わずか1ヶ月足らずで破局を迎えた。正直、こんな恥ずかしいことって中々ない。小中学生同士のカップルの方がまだレベルの高い恋愛をしている…。

と、交際相手はもちろん自分自身を責め倒してから、今まで馬鹿にしていた占いのお悩みに段違いで感情移入できるようになった。たとえば、「彼氏がマッチングアプリを使って他の人と会っているのですが、どうしたら良いでしょうか…」という質問があったとしよう。以前の僕だったらそれに対する回答があまりに自明すぎてタロットをシャッフルすらしたくなかった。
しかし、今は違う。
どれほど酷いことされてもすぐには相手を嫌いになれないよねッ!わかるわかる!大わかる!と同級生のJK並みに共感を示し、親身にお客様の話を聞けるようになった。間違っても「すぐ別れろばーーーーーーか!!!!」なんて言わない。
人生何がどう作用するかは本当にわからないなぁとつくづく思う。

ふと、HYの中曽根泉さんの逸話を思い出す。
彼女が、かの有名な失恋ソング「366日」を制作する際に、より気持ちを入れ込むために当時付き合っていた恋人に別れを告げたそう。そう考えるとあの曲の偉大さを再確認できるし、自分の身の上を中曽根さんに重ねずにはいられない。

僕も中曽根さんのように報われない恋に悩む哀れな顧客たちに寄り添うために、一夏の恋を経験したのだと思えば安いもんである。

ただ、中曽根さんは曲が完成したらまんまと恋人と復縁を果たしたらしい。

次から366日を聴くたびに復縁のワードが頭にちらついてしまう。どうしよう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?