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呪いの月を、どう乗り越えるか。

11月は私にとって、鬼門の月だ。

「何か災難が起こるかも知れない」と思って、毎年慎重に過ごしている。



小4の時。

忘れもしない、11月3日、文化の日。

公休日だったのだが、友達数名で学校に遊びに来ていた。



校舎の側にある、吊り輪の遊具。


器械体操の吊り輪のようなフォルムをしていて、鉄の素材でできていた。

握ると鉄棒を触ったような、錆びた臭いがする。


4メートルくらい上からぶら下がっている吊輪たちを、うんていのように渡って遊ぶ。

その頃は、吊り輪をわざと上の方に引っ掛けて、そこからブン!と勢いよく投げる、危険な遊びが流行っていた。

今ならニュースになって咎められそうな事を、普通にしていたな。


男の子が引っ掛けて、ブン!と投げた吊り輪。それがなんと、私めがけて飛んできた。



ゆっくり、ゆっくり、鉄の吊り輪が私に迫って来る。

ピンチの時、景色が走馬灯のようになるという、あの状態になっている。



あ、やばい、目に当たる。


すんでのところで私は避けたのだろう。


その前後の記憶がショックで抜け落ちているのだが、吊り輪は私の額に当たったらしい。


額は他の部位より、激しく出血する。

ポタポタ、と血が落ちる。

白い砂が、点、点と赤く染まっていく。


その光景を見て気が動転した。のは覚えている。

私は「ハハハ…」と笑っていたらしい。


これはやばい。

慌てた友達が私を職員室へ運び、事情を説明し、飛んできた父が病院へ連れて行ってくれた。




翌日。

学校でなぜか、私がこっぴどく怒られた。

「あなたのせいで迷惑が…」みたいな担任の言いっぷりに腹が立った。

大事な顔に縫い跡つくられて、怒りたいのはこっちだよ、って思いつつ、クラス全員の前で指を刺されて、小言を聞いていた。




それが11月の悲劇の始まりだ。


部活を休まないといけないレベルの大怪我。

車をぶつけて大破させる。

別れ話の際に散々人格否定されて、なじられる。

二度目の縫い傷。今度はスネだし、自分で運転して病院行ったし、パックリ割れてるのに待合室で待たされるし…


あ、全部11月じゃん…

どこかのタイミングでそれに気がついた。



そこからは11月が来ると、いつもより慎重に過ごそうと心がけるクセがついた。

いつもより丁寧に車の運転をする。

バタバタ出かけない。余裕を持って準備する。

やる事が山積みでも、やれる範囲で。ムリしない。


そのおかげなのか、そもそも環境的に大丈夫だったのか分からないけど、ここ数年の11月は平和に過ごせている。

やっぱり心の持ちようなのかもなぁと思う。



ただ気が抜けると、また災難に見舞われそうな、そんな感じも捨てきれない。

無用な気遣いだったとしても、ハプニングが起こるよりはマシだ。



そんな感じで、今年の11月が半分過ぎようとしている。

今のところ大丈夫。

あと半月。落ち着いて丁寧に乗り切って、気持ちよく年末を迎えよう。

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