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ジェンダー論をつかむ

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千田 有紀・中西 祐子・青山 薫(2013).ジェンダー論をつかむ 有斐閣

本書紹介 from 有斐閣

女らしさとか男らしさって? 理系に男子が多いのは? 女性の総合職は少ないって聞くけど…… これらは「ジェンダー」にかかわる事柄です。本書は,あなたの常識に思わぬところから問いを投げかけます。読了後はいまより自由な世界が広がっていることでしょう。

*目次*
 Unit0 ジェンダー論はなにを明らかにするのか
第1章 性別をとらえなおす
 Unit1 性別とはなにか--セックスとジェンダー
 Unit2 ジェンダーをとらえなおす
 Unit3 セクシュアリティとはなにか
第2章 家族とジェンダー
 Unit4 近代家族とジェンダー
 Unit5 恋愛や家族をめぐる物語
 Unit6 未婚化・少子化社会
第3章 労働とジェンダー
 Unit7 女性の労働と賃金格差
 Unit8 職場慣行
 Unit9 ライフスタイルの中立とジェンダー
 Unit10 無償労働とケアワーク
第4章 教育とジェンダー
 Unit11 かくれたカリキュラム
 Unit12 教育の男女格差
 Unit13 ジェンダーフリー
第5章 日常生活とジェンダー
 Unit14 演じられるジェンダー
 Unit15 ストリートハラスメント,デートDV
第6章 国家とジェンダー
 Unit16 国民国家・人権とジェンダー
 Unit17 戦争と性暴力
 Unit18 参政権と政治参加における男女格差
 Unit19 グローバリゼーションとジェンダー
第7章 身体とジェンダー
 Unit20 性と生殖に関する権利
 Unit21 買売春,セックスワーク,ポルノグラフィ
 Unit22 クィアとトランスジェンダー
第8章 フェミニズムとジェンダー
 Unit23 フェミニズムの歴史
 Unit24 フェミニズムがめざすもの

本書感想

知人からの紹介で読み始めました。ジェンダー論について,性別,家族,労働,教育,日常生活,国家,身体,フェミニズムとの関わりから解説しています。

至るところにジェンダー問題が潜んでいること,その問題についてどういう見方が可能であるかということについてわかりやすく解説されていました。

ところどころ難しい内容もありますが,総じてわかりやすい入門書であると思いました。

ただ,「フェミニズムとジェンダー」という章があるように,ジェンダー論はフェミニズムと切り離せませんが,その切り離し難さが逆にジェンダー論を近寄り難いものにしていると思います。すなわち,「女性」が過度に強調されているということです。

もちろん,ジェンダー問題は「女性」の問題から生じているので,その部分が重点的になるのは仕方ないことだと思う一方で,その偏りはジェンダー論の豊かさを奪っているのではないかとも思います。

本書は思考の枠組みを与えてくれるという点において良質なジェンダー論の入門書であり,参考文献もたくさん紹介されていますので,ジェンダー論を次々と深めていくきっかけになるものだと思いました。

ページ数から見る著者の力点

本書は8章から構成されています。各章のページ数は以下の通りです。

各章はいくつかの小テーマ(Unit)からなっていて,各小テーマは端的に解説されていました。ですので,ページ数の違いはUnit数の違いの反映であるとも言えますが,もしかしたらジェンダー論で重点的に扱われる小テーマの差異を反映してもいるのかなと考えたりもしました。

ただそばにいることがサポートなのかなと思っています。また見に来てください。気が向いたときにご支援お願いします。