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珍道中に裏テーマあり『土佐日記』

先日和樂webで書いた「平安日記文学まとめ記事」の中で紹介した3つ目最後の作品が、紀貫之の『土佐日記』。

平安日記文学の中で一番古いこと、男性なのに女性が使うかな文字を使ったことが興味深く、選びました(男性の日記は、「漢文」)。

「ネカマ」の先駆け、とも言われているらしいです。最先端、走っていたのですね。

赴任先の土佐国(現在の高知県)から、京に戻るまでの2か月余りを記した紀行文です。
旅の準備が7日ほど書かれた後、亡き娘のことが不意に語られます。京で生まれて連れて来たものの、土佐国で急死。京に連れて行けないと、嘆きます。

しかしその後、旅はテンポよく進みます。嵐で進めないと愚痴ったり、オヤジギャクを言ったり(「女」でないこと、バレますよー)。
笑いと涙が交互にやってきて、引き込まれるように読みました。

旅先で関わった子どもの描写が詳しくて、「娘のことは、片時も忘れていないのだな」と読んでいてしんみり。

歌人としても有名なので、自分の内面を書くには「かな文字」がいいと、考えたのかなと思いました(和歌は、男女ともかな文字を使う)。

ページ数も短いので、最初に読むにはおススメです。

平安日記文学は、難しいものではないです。まずは、1冊読んでみて欲しいです。



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