那月 遊香

那月 遊香

最近の記事

お探し物は図書館まで

「お探し物は図書館まで/青山美智子」 仕事やこれからの人生、このままでいいのだろうかと悩む主人公たちが出会うのは、小町さんという図書館司書さん。小町さんがセレクトする一風変わった本と付録から、自分の本当の「探し物」を見つけて進んでいく物語です。 5つの章からなる短編集で、5人の主人公とも年代も仕事もバラバラですが、どの話も「わかるなあ」と共感してしまう部分がたくさんあります。 特に心が熱くなったのは3章。 出世も視野にいれてバリバリ働いていたのに育休復帰後に資料部へ異動さ

    • 彗星の孤独

      「彗星の孤独/寺尾紗穂」 音楽家・文筆家である寺尾紗穂さんのエッセイ集。 家族や仲間、日常、音楽、自然、歴史など、さまざまな方面からつづられる文章と、著者の好奇心、探求心、行動力に驚きっぱなしでした。 ほんとうにさまざな分野への興味や考えに圧倒されるのですが、 その中でも心にとめておきたいと思ったのは、 《文学や芸術は、一個人がもっと自由に表現してもよいと思う》 《複雑に変化しつづける世界で、完璧で美しいものばかり求めるのではなく、矛盾したものを抱える自分を生きていく》

      • あなたは、誰かの大切な人

        「あなたは、誰かの大切な人/原田マハ」 家族や友人、恋人など、大切な人との関わりを通して紡がれる短編集。 特に心に残っているのは、「無用の人 Birthday Surprise」という一遍。 美術館に勤めている主人公のもとへ、ひと月前に他界した父から誕生日の贈り物が届く。 元妻や社会からは「無用の人」とされた父が、娘に最後に伝えることとは。 ‐‐‐‐‐ 好きな仕事ができて自分では満足な人生だと思っても、ふとしたときに選ばなかった方の人生を考えてしまうこともあると思います。

        • 月のぶどう

          「月のぶどう/寺地はるな」 亡き母が経営していたワイナリーを継ぐため、ワインづくりに励む双子の姉弟の物語。 尊敬する母を目指し、理想のワインづくりに取り組む「出来のいい」姉。 母が亡くなって仕方なくワインづくりを始めた「出来のわるい」弟。 ワインづくりに誇りをもって取り組む姉は、「出来がいい」からこそ人に弱みを見せられず、大きい理想にひとり抱え込む場面もありながら、理想のワインづくりに奮闘します。 幼いころから「出来がわるい」と言われてきた弟は、周囲から尊敬されてきた亡

        お探し物は図書館まで

          いくつもの週末

          「いくつもの週末/江國香織」 江國香織さんが、旦那さんとの新婚生活をつづったエッセイ。 大きな出来事ではなくて、 散歩とか、ドライブとか、近所の公園で過ごす時間とか、 さりげない日々がつづられているところが好きです。 そのおかげなのか、文章が水のようにするする入ってくるのが心地いい。 夫婦といえども他人なので、日々いろいろあるとは思いますが、 べったりではなく、お互いを尊重している感じや、旦那さんへの好きという思いが、静かに伝わってくるところも好きです。

          いくつもの週末

          Start

          本やマンガの感想、日々考えたことをつづっていこうと思います。