死産を乗り越えて⑤

僕は、自分が不幸だと思っていた。

周りが子供が産まれ、育っていく過程を見て

少しばかり焦りもあったのかもしれない。

やっとできた子供にも見放された・・・

安定期に入ってホッと安心をして間もなくのことだったので、

衝撃は大きかった。

そんな状況になっていた自分を哀れだと思ったし、可愛そうとすら思った。

しかし、それは違った。

特に、男性にはわかっていてほしい。

子供がダメになった時は、

女性の精神的ダメージは男性が想像しているものより遥かに大きい。

きっとわかってあげることができないぐらい大きいのだと思う。

男性だったらきっと立ち上がれないほどかもしれない。

子供がダメだった時、男は「悲しい」と感じるが

女性は「罪悪感」を感じる。

「子供がダメになってしまったのはあれをしたからじゃないか?」

「あれを食べたからかな?」

「あんなこと思ったからじゃないか?」

「あの時お腹をちょっとぶつけてしまったからではないか?」

今までの些細なものでも、自分がいけなかったんだと感じて自分を責め続ける。

全く原因になることはない些細なことも、「あれが・・・」と自分のせいだと責め続けるのです。

夫が妊娠で喜べば喜ぶほど。

親や親戚が妊娠に喜べば喜ぶほど。

それに、応えることができない自分を責め続ける。

妊娠がわかった時、先輩に言われたことがありました。

「妊娠・・・喜びすぎちゃダメだよ」

この時は、意味はわかりませんでした。

しかし、今ならその言葉の重みがはっきりわかります。

大切な人が喜べば喜ぶほど、万が一の時女性は自分を大いに責めてしまう。

そのようなことがないようにするための予防策であったのだと。

そして、僕はそれを支えきることができなかった。

ちゃんとわかってあげることができなかった。

無頭蓋症は2〜3万人に一人の確率で、原因は不明です。

だから、何が悪いなんてことはない。

誰も悪くない。

でも、それでも女性は自分を責め続けてしまう。

このことは、男性にはしっかりわかっていてもらいたい。

もっと、早く自分も気づかなくてはいけなかった。

まさか、自分がそんなことになるなんて思ってもいなかったから。

そして、1、2週間の入院をし子供が産まれました。

⑥に続く


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