長時間労働しても量は増えず、質は低下する
長い時間働いたり、休日出勤をしたりして仕事を予定に間に合わせようとした経験は誰しもあると思います。
タイミングによっては必要なことかもしれません。
しかし、それによって心身の健康に影響をきたすと、いくら長く働いてもマイナスになってしまうこともあります。
最近は長時間労働などのブラックな環境に厳しい世の中になってきていますが、それでもなくなってはいませんし、自ら頑張ってしまう人もいます。
今回は改めて、長時間労働をすることによるマイナス面について言語化していきます。
追い込まれると休息の時間を潰しながら働いてしまう
仕事の期日が近かったり、持っている仕事が多くて忙しかったりすると、長く働くことで間に合わせようとした経験をしたことがある人は多いと思います(あるいは常にやっているという人もいるかもしれません)。
深夜まで残業したり、休日に稼働してカバーしたり。
しかし、そういった時に代償となるのは、休息の時間です。
深夜まで残業していれば睡眠時間が削られますし、睡眠時間は確保できる範囲で残業していても、終業後のリラックスする時間は減ります。
休日に稼働するのは言わずもがなです。
深夜や休日に仕事をすると大きく時間は確保できますし、平日の日中より他の人から話しかけられづらくて集中できたりして、思いのほか作業が進むこともよくあります。
しかし休息の時間を削っている状態では、どこかで心身の調子が崩れてしまい、休んでしまったり集中力が著しく低下したりとなにかしら問題が発生します。
一時的には仕事が進んだように見えても、休息を削った分のツケは必ず後で払うことになります。
休むと多く働いた分はすぐに相殺される
例えば毎日3時間ずつ残業して月〜金の1週間働こうとしたとします。
そしてもし4日間経ったところで無理がたたって体調を崩し、金曜日を休んだとします。
基本の1日の稼働時間を8時間とした場合、
残業で増えた時間: 3時間×4日=12時間
休んだことによって減った時間: 8時間
と金曜日の休みで残業した分の時間の2/3が相殺されます。
もし体調が治らず翌週にまた休んだりしたら全て消えます。
1日単位でも、深夜0時を過ぎてまで働いて時間にすると5〜6時間残業して、翌日体調を崩して1日を休むというパターンもよく見かけます。
これは完全にマイナスで、正味の稼働時間が減った上、深夜にやった作業について翌日他の人が聞きたいことがあっても聞けないということも起こり得ます。
休む前の段階でパフォーマンスは低下している
体調を崩して休むことは時間の面で意味がなくなる可能性もありますが、そもそも休む前の段階から影響が出ている可能性が高いです。
人間が疲労などによって体調を崩す時、絶好調の段階からいきなり寝込むほどの状態まで調子を崩すことは普通ありません。
休まなければいけないほど体調を崩している場合、必ずその前段階で徐々に調子を落とし始めていっているはずです。
前述の月〜木に3時間残業し、金曜日に休んだパターンの話でいうと、時間でだけで言えば金曜日の1日分の損失です。
しかし、睡眠時間や休息の時間が不足していることにより、月〜木の間にも日々疲れが溜まっていきます。
そして月曜日より火曜日、火曜日より水曜日とどんどんパフォーマンスは低下していき、稼働していた月〜木の間も通常の4日分の成果は出せていない可能性が高いです。
例えば1時間に出せる成果を1すると、8時間×5日間稼働したら40になります。
しかし、毎日11時間働くと月曜から木曜にかけて0.1ずつ低下していくと仮定し、さらに金曜に休んだ場合は
11+(0.9×11)+(0.8×11)+(0.7×11)=37.4
となり、40にも達していません。
もちろんここまで単純な話ではないですし、個人差があるとは思いますが、近しいことは起こると考えられます。
なので残業して時間的には多くやっているように見えても、実際はパフォーマンスの低下によりそれに見合った量の成果は得られないです。
さらに質の面でも低下する(できあがった成果物に間違いが多い等)可能性が高く、さらにマイナスになります。
もし休むまで至らなかったとしても、働いている時間に対しての成果量はどんどん落ちていっていると考えていいでしょう。
さらに疲労が蓄積してくると、土日休んだだけでは回復しきれなくなってきて、常に1に戻るタイミングがなく無限に悪循環が続く状態になってしまいます。
心身の健康を保つことは成果を出すための前提条件
心身の健康が崩れてしまうと、いくら長い時間働いても想定通りの成果は出なくなります。
例えば「なんとしても明日の朝に終わらせないと会社の業績に大きなダメージが出る。これができたら数日休んでも問題ないから」というような状態だったら、一日頑張って残業してやるという手もありだとは思います。
しかし、「今日も予定通り終わってない、残ってやらなきゃ」という状況が毎日続くようだと、すぐ悪循環に陥って意味がなくなってしまいます。
結局のところ成果を最大化させ、安定させるにはみんなが心身の健康を保っていることが大前提になります。
もちろんこれは稼働時間の話だけでなく、職場環境やワークライフバランスも関わってくるとは思います。
自身が働く上でもよく意識すべきことですし、マネジメント層など人を見る立場の人は、メンバーがしっかり力を発揮できる健康状態を保てているか意識する必要があるでしょう。
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