キーマン@nifty第19回 2003年5月9日掲載「イラク戦後復興」

下記小文はキーマン@nifty第19回 2003年5月9日掲載「イラク戦後復興」の再掲載です。

6年前の事、韓国の大宇自動車が海外展開をする第一弾として、インドのニューデリーの郊外にあったトヨタ自動車のノックダウン工場を買い取り、新たに自動車生産工場を作った時、この工場に機械を納入しに一カ月ほど滞在しました。ホテルは工場までのシャトルバスの都合と保安上の問題から素泊まり一泊2万円の高級ホテルが指定され滞在しました。ホテルはオールドデリーにほど近い「ザ・スルヤ」というホテル。ニューデリーには以前、スズキ自動車とインド政府の合弁企業マルチ・ウドヨグhttp://www.marutisuzuki.com/に何度か来ているので、デリーの街は慣れたものでした。
 その大都市ニューデリーであっても電力の消費に供給が追いつかず、「計画停電」が実施されており、インフラが整備されているとは言いにくい状況の中、電源も水道もネットワークも安定して供給されるのは高級ホテルだけという状態から、ニューデリーのどこの高級ホテルも必ず企業のオフィスがあります。ザ・スルヤにも大手の企業が二つ入っていました。一つは通信衛星を使い世界的に映画やスポーツライブチャンネルを供給するスターチャンネルのプログラムの一つ、ミュージックチャンネルとして有名なチャンネルVhttp://www.channelv.com/のインド・中東エリアを担当するオフィスとスタジオ、番組送出装置など放送局まるごと一つ。
そしてもう一つの大手企業、それはフランスの半国営石油企業トータルhttp://www.total.com/の極東事務所。フランスはかつてインドシナに植民地を持っていたが、それでもインドは極東らしい。トータルといえば、イラクに採掘権を持つ油田を所有している企業として最近は知られていますが、モータースポーツに詳しい方なら潤滑油や油脂で知られている企業です。
 インドの工業力が優れている例として以前のコラムで自動車産業を紹介しましたが、核開発の分野でも実用兵器としての核兵器を製造している事が知られています。それ程の工業力がある反面、切迫する電力需要に追いつけないのも事実で、主だった工場では自前の発電設備で電力需要を補っているのが実情です。ではインドは貧乏なのかと言うと、鉄鉱石の輸出は世界屈指で日本も明治の頃から今でもインドから鉄鉱石の供給を頼っている。たしかにデリー市内にはホームレスがあふれているが、それは貧困だけではなく、不動産に対する高額な課税が背景にあります。高額な課税を払う位なら、課税対象にならないワラの家やテントハウスに住んだ方がマシだと多くの人達は判断し、その結果インドには三匹の子豚のお話に出てくるワラの家、木の家、レンガの家が存在する結果となりました。これを貧困と解釈するのは、間違いですよね。逆にお金持ちは日本のお金持ちとは桁外れで、あっちの地平線からこっちの地平線までが邸宅の敷地という荘園の世界が今も続いています。
 切迫する電力需要に供給が追いつかない国として、北朝鮮こと朝鮮民主主義人民共和国を上げる人は多いが、イラクを上げる人はいない。売るほどある油で火力発電しているイラクは戦災でトラブルに見舞われているものの、復旧すれば電力供給の問題は解決するが、化石燃料を産出しない北朝鮮は燃料輸入しかないので電力供給が好転する可能性はない。では朝鮮半島に資源が全くないのかと言うと、それは間違いで、かつて北朝鮮はウラン鉱石を輸出し、中国やソビエトに供給していた歴史があります。中国最初の核実験の原料となったウラン鉱石。それは北朝鮮から仕入れたものでした。しかし現在の核エネルギーサイクルは再処理することで燃料を再生することからウラン鉱石から精錬して抽出する比率は低くなり、ウラン鉱石は世界的に供給過剰に陥りウラン鉱石では儲からなくなりました。
 供給過剰による価格の下落というのは原油価格も同じで、イラク戦争の時、散々言われた石油利権についても、ある一面では否定しがたいものの、時折聞かれるOPEC潰しにイラク産出石油の大増産というのは有り得ないと言えるでしょう。それは一日当たり700万バレル、1バレル=159リットル=135kgなので、700万バレル=1113000キロリットル=945000t生産すれば生産コストは1バレルあたり1ドルになるという話が囁かれているのです。ちなみに700万バレルをドラム缶換算にすると5565000本、JR貨物http://www.jrfreight.co.jp/index.htmlを走っている日本オイルターミナル所有の43t積みタンク車に単純換算だと21976両と言えばどれだけの物量か想像できるかと思います。
 これだけの量を毎日、700万バレルを買い取ってくれる顧客を確保し、毎日700万バレルを輸送しなければならないと言う前提条件が揃ったバラ色のたとえ話にすぎません。百歩譲って、これを目指して軍事行動をおこしていたとすると、例えば生産コストが1バレル当たり13ドル前後という洋上の海底油田開発が戦争とは関係なく新規事業として進められている理由が説明出来なくなる。生産コストが10分の1の油田。実は石油業界は1バレル1ドルなんて話はヨタ噺扱いしているとしか説明のつかない動きをしています。そもそも大増産して原油価格が下落したら、それだけ儲けも減る訳で、世界的にエコロジーが叫ばれ化石燃料の消費を抑制する方向の中、生産しただけ売れるというのは実情とはかけ離れた手前勝手な予測に過ぎません。石油業界がイラクの油田に注意を払っているのは紛れもない事実です。しかしヨタ噺に付き合ってはくれません。ヨタ噺をばら蒔く者の意図するものは何か。本当の問題点は実際の業界の常識や動きを無視してニセ情報を撒く者にありましょう。これも一つの情報戦なのです。
 1バレル1ドルがヨタ噺扱いされるもう一つの理由として、老朽化したイラクの石油生産設備に、本当に顧客石油資本が資本投資をして設備更新をしてくれるかという問題があります。イラクは宗教的対立と民族対立いう不安定要素があり、ましてサダム・フセイン政権消滅に伴う無政府状態に投資家はイラクへの資本投資に二の足を踏む状況です。その投資家への不安解消こそ、今イラク問題にとって急務な問題なのです。つまり行政機関の再開や病院の機能回復やら博物館の展示品盗難や史跡の盗掘といった細かな問題を一つ一つ解決しない限り投資家の不安は払拭されない。しかしアメリカ軍が行った軍事行動は投資家を失望させ、投資を控える事ばかりであった。そもそも1バレル1ドルの話は去年の秋、イギリスに逃亡したイラクの石油省次官の発言から出てきたもので、毎日700万バレル買ってくれる前提での話。石油は北半球が冬になると需要が増え、夏になると需要は減り、なにも一年中決まった量を消費している訳ではない。しかも政治的安定の得られない土地の地下資源はアテには出来ない。
 アメリカ主導の対イラク戦争は開戦から21日目の4月10日にバクダッドを陥落させ、5月2日にブッシュ大統領はサンディエゴ沖に停泊する空母アブラハム・リンカーンの艦上で勝利宣言http://www.defenselink.mil/news/newsarticle.aspx?id=29032を出しました。イラクを破壊したアメリカは、開戦前に都市インフラ整備の為の国家予算を計上し、ゼネコン業者を募集していました。募集したのはアメリカ国際開発局http://www.usaid.gov/、総額19億ドルの初期復興予算と5億ドルの人道援助予算を計上し、入札には法令通りアメリカ企業に限り募集しhttp://www.usaid.gov/iraq/、募集の結果については4月17日のニュースリリースhttp://www.usaid.gov/press/releases/2003/pr030417.htmlにあります。 入札結果はベクテル・グループhttp://www.bechtel.com/というアメリカの大手ゼネコン企業が都市インフラ整備を受注し、契約は最大18カ月、契約額は6億8千万ドル。ベクテルは共和党とつながりが深く、シュルツ国務長官が取締役を努めている。またアメリカ国際開発局はイラクの油田消火・復旧作業にチェイニー副大統領が最高経営責任者(CEO)を努めるハリバートンにある企業に総額70億ドルで発注している。問題は9億ドル分の入札業者指名が行われたのが3月10日、その折にチェイニー副大統領の勤める企業が入っていたことから非難の火の手が上がったものの、国際開発局は全く無視し、3月24日にはhttp://www.usaid.gov/press/releases/2003/pr030324.html制圧もしていないイラク南東部のウムカスル港の修復・管理契約をスティーブドアリング・サービス・オブ・アメリカ社http://www.ssamarine.com/と480万ドルで締結。
参戦国イギリスにある港湾施設専門企業ペニンシュラー・カンド・オリエンタル・ストリーム・ナビゲーション社http://portal.pohub.com/portal/page?_pageid=761,1&_dad=pogprtl&_schema=POGPRTLという世界的トップ企業など米国企業でないので入札資格がないとのもっともな理由で外された事で、更に不信感が募る結果となっています。
これにはイギリス側も激怒し、ヒューイット貿易産業相がナツィオス国際開発局長に電話で怒鳴り込み、結果、イギリス半国営企業のクラウン・エージェンツ社に半分下請けに出す事でご理解頂いたそうです。またクェート陥落の翌日の4月11日には教育機関復興資材、つまり文具や机など備品契約http://www.usaid.gov/press/releases/2003/pr030411_2.htmlをInternational, Incと12カ月で月当たり100万ドル、最大6260万ドルの契約を、同じ日に Research Triangle Instituteと行政機関のコンサルタント契約http://www.usaid.gov/press/releases/2003/pr030411_1.htmlを12カ月で月当たり790万ドル、最大1億6790万ドルの契約をしている。
 かくも利権の分配に暗躍する「アメリカ国際開発局」http://www.usaid.gov/。略称USAIDというお役所は1961年11月に設立され、中南米に対する教育の支援、医療支援、僻地の開発、行政機構の指導など多岐に渡り、お金だけではなく、汗を流しての援助活動をする政府機関として設立されました。時には政教分離の原則を越えてhttp://www.gospeljapan.com/skj/010312.htm特定宗派に資金提供して非難を浴びたこともあった。アメリカは中南米を自分の国の一部というか植民地と思い込んでいる歴史があり、例えば1947年にウルグアイでアメリカ大陸の平和と安全維持を目的に開催された「米州特別会議総会」開催の日、トルーマン大統領は原爆を積んだB29をウルグアイに飛ばして総会を威嚇したhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/chronology/world/~today.htm事件があります。国際会議に核兵器を持って脅す国、今時の言葉で言うなら「ならず者国家」でありましょう。
 さて、そのアメリカ国際開発局が本当の正体を表したのがブラジルでの出来事http://www10.plala.or.jp/shosuzki/chronology/brazil/brazil3.htm。1964年4月の国軍によるクーデターでグラール内閣は一掃され、その後21年間続く軍政を支えたのがアメリカ国際開発局。何しろクーデターが成功したのが4月2日。そしてジョンソン大統領が軍事政権に新政府樹立の祝電を送ったのが4月3日、そしてこの日に政権を追われたグラール大統領は隣国ウルグアイに逃げ延びた。しかし、このアメリカの手際の良さがクーデターの黒幕にアメリカがいる事を逆にバラしてしまった。
 この事件以来、中南米でのアメリカ国際開発局の行動は注目を集め、特に警察関係、中南米の多くの国々はいまでも警察は日本のような行政警察ではなく、軍隊の一部門である国家警察の方が多く、警察への援助は最終的に国軍への援助の下地作りとなり、反米政権はブラジルのように軍隊によって潰されると考えられた。
 フランス映画に邦題「戒厳令」(原題:ETAT DE SIEGE)という1974年製作された映画があります。監督はコスタ=ガブラス、イヴ・モンタンが主演し、音楽はミキス・テオドラキス。この映画はウルグアイhttp://uruguay-web.hp.infoseek.co.jp/mainpages/history.htmで実際に起きた事件を映画化したもので、ウルグアイの首都モンテビデオで1970年7月31日、ツパマロス(TUPAMAROS)民族解放運動(MLN)によってブラジル領事Dias Gomide、そしてアメリカ市民Dan Mitrioneが誘拐され、政治犯の釈放を要求した事件でした。ブラジル領事は翌年2月24日に釈放されたが、アメリカ市民Dan Mitrioneは誘拐から11日目の8月10日に遺体となって発見された。
外交官を人質にとるのは理に適うが、なぜ役人ではなくアメリカ市民なのか、それがこの映画のポイントでアメリカ市民はタダの一般人ではなく、国際開発局からモンテビデオの警察庁に派遣されていた。誘拐事件の起きる一週間前の7月24日にはジュネーブの国際法律家協会でブラジルでの拷問を非難する決議が出たばかりの時、このブラジル警察に拷問の技術を教えたのは誰か、反体制人物をテロによって消して行く技術を教えたのは誰か。
映画では誘拐した国際開発局派遣のアメリカ市民とその同僚がワシントンの警察学校で教えていた事をツパマロスによって明らかにさせている。では実際にはどうであったのか、それはDanMitrionの国際開発局での仕事につい書かれたhttp://members.aol.com/bblum6/uruguay.htmを参照していただくと判る通り、CIAの関係者であり、映画はこの記録から作られている事が判ります。ツパマロスによる誘拐事件後の警察の取締は更に厳しくなり、多くの人権問題を引き起こしている。
ウルグアイにアメリカ国際開発局が来たのは1962年、設立して直ぐに仕事にかかっている。最近、機密保持が解除された国務省ファイルhttp://www.gwu.edu/~nsarchiv/NSAEBB/NSAEBB71/によるとアメリカがウルグアイの警察機構再構築と反体制派弾圧に乗り出したのは1964年だとある。ウルグアイ警察はツパマロスを制圧できず、ツパマロスが軍に一掃されたのが1973年、この時一掃されたのはツパマロスだけではなく、労働組合員や大学生、そして議会まで一掃されてしまった。つまり議会の停止と軍政である。
ちなみに「戒厳令」を作ったコスタ=ガブラス監督、主演のイヴ・モンタン、音楽家ミキス・テオドラキスの3人の組み合わせは、1969年にギリシャで起きた野党議員暗殺事件を映画化した「Z」の時の組み合わせで、音楽家ミキス・テオドラキスはこの映画の為、当時のギリシャ軍事政権から国家反逆罪で指名手配され軍政が倒れるまで帰国できなかったこともありました。
 さて話を戻し、アメリカ国際開発局の活躍は南米だけではなく東南アジアなど世界中に活動の範囲を広げ、親米政権だったラオスにも進出した。しかし1975年の反米デモで国際開発局と広報文化局をデモ隊に占拠され、閉鎖を宣言して逃げ出している。インドネシアではウィスマ・パハサという団体が、ある意味関わっています。

アメリカ国際開発局は人道援助も仕切っており、食料援助なども担当しております。しかしその品質について色々なクレームもあり、最近では去年の7月、ザンビア政府がアメリカから送られた穀物が遺伝子組み換え穀物であった事からザンビア大統領は「有害な物を食べるより餓死した方がマシ」だと受け取り拒否した事件もあります。この事件、荷揚げ港のあるモザンビークでも遺伝子組み換え穀物の通過拒否に会い、穀物がこぼれてモザンビークを汚染しない対策を取る事で一部通過を認めたものの、ザンビア政府が受け取り拒否をする限り運んでも問題解決にはならない。
 これに対して国際開発局側は2002年12月2日に出した三つのリリースhttp://www.usaid.gov/press/releases/2002/fsindex.htmlの一つで、アフリカで栽培する品種と援助品種は違うから大丈夫だとしている。残りの二つのリリースにしても他国でも認められた安全性と散布能力の低さを強調した安全性を強調している。
 もちろんアメリカ国際開発局は北朝鮮こと朝鮮民主主義人民共和国にもジャガイモなど食料支援http://www.han.org/oldboard/hanboard4/msg/1016.htmlをしている担当部署です。このジャガイモの品質に今のところ注意を払う人の声は聞こえてきませんが、世界的に評判の悪い遺伝子組み換え作物である可能性が高い事は指摘すべき事でしょう。
アメリカが日本政府に戦後統治を打診してきたのが4月6日、治安維持と国軍の再建をアメリカ・イギリス側が受け持ち、保健・医療・教育など民生部門を、国連を中心とした別組織で行い、この民生トップに日本も人を出さないかと打診がありました。日本政府は復興人道支援が国防総省の下部組織である事から、憲法違反にならないか慎重な論議をしている間、復興人道支援室(ORHA)の親方、ガーナー室長はイラクに乗り込み仕事を初めてしまった。4月25日、スノー財務長官は復興人道支援室の財政顧問にピーター・マクファーソン氏を任命したと発表。この人はレーガン政権の時、財務副長官と国際開発局の局長を努めた人物で、バンク・オブ・アメリカンの国際金融部門の担当役員でもあった。
 アメリカ政界で勢いを増す新保守主義者(ネオコンサーバティブ)が「脅威の予防」と称して次なる標的をシリアにするのか北朝鮮にするのか判らないが、漁夫の利を得ようとする国際開発局に注目している人はヨーロッパの議会関係者など一部を除き全然いないと言って過言でもない。たしかに新保守主義者と呼ばれる人達は石油利権など狙っている企業と深いつながりがあり、その手先としてイラク復興の指導者に担ぎ出したハメド・チャピラ氏にしても、経営していたペトラ銀行の預金を自分の国外投資に流用し、およそ3億ドルの欠損を出し銀行は破綻。チャピラ氏は拘留される直前の1989年に乗用車のトランクに隠れてシリアに逃亡、被疑者不在のままヨルダン軍事法廷はチャピラ氏に対して横領罪で重労働22年の刑を言い渡している。
そのチャピラ氏がロンドンに作ったイラク国民会議(INC)にCIAはフセイン政権の内部情報を得るために利用し、1991年から2000年にかけて430万ドルの工作費用を渡していた。ところが工作費用の半分は使途不明金となり、得られる情報もニセ情報ばかり。そもそもチャピラ氏がイラクを出たのは1958年であり、祖国と縁があるとは言えないという指摘はCIAが利用しようとした時からあり、ただの詐欺に引っかかったと見られている。もっとも今回の戦争での略奪行為を放置したアメリカ政府も犯罪者である点では五十歩百歩で、ラムズフェルド国防長官ですら略奪行為を「自由の代償」と開き直る始末。
その詐欺師モドキ人物を国の代表に選ぶ事自体が間違っているのだが、この詐欺師を担ぎだし、アメリカ主導のイラク復興を願うのがネオコンサーバティブ派にとって都合が良い。チャピラ氏は新生イラクを親イスラエルにする方針を表明した事でネオコンサーバティブ派の要求である「イスラエルの安全」には寄与すると同時に、イスラム革命でイランから叩き出されたアメリカにとって戦略拠点をイラクに再構築出来る事は中近東に足場を失って以来の悲願でもありました。それ故、チャピラ氏を据えて地位協定をイラクと結んでバクダッド国際空港や南部ナシリヤ近郊のタリル空軍基地、西部砂漠地帯のH1軍事飛行場、北部のバシュル空軍基地を接収する事を目論んでいます。
しかし、元々イラクはアラブの国なのだから親米ならともかく、親イスラエルとなるとパレスチナ紛争の様な底無しの紛争の種をまた一つ増やす事になる。そこまでして石油利権にしがみつく必要があるのか理解出来ないが、かつて中南米での様に拷問と弾圧で反政府勢力を叩き潰すつもりでいるのか。それを知るには、アメリカ国際開発局から警察の専門家が行くか行かないのかをつぶさに観察するしかないでしょう。もっとも拷問と弾圧はサダム・フセイン政権でも行われていた事だから、イラク市民から見たら何も変わらない事になりますが・・・。

キーマン@軍事・edit:高木規行

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?