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真白い夢の底から起き上がり
歩き始めたのはいつからだろう
まぼろしな時代は自ら崩れ去り
誰もが孤独をまとい生きている

この道は遠いボクの街へ続く
この未知を背負いながら歩いている

倒れた老人を子どもが支えてる
その周りで多くの人が見ている
風が巻き上げた砂埃と共に消え
長い歴史の巻物が転がって行くよ

この道は遠いボクの街へ続く
この未知を背負いながら歩いている

この道は遠く見える山へ続く
この未知を背負いながら考えてる
この道は遠いボクの街へ続く
この未知を背負いながら歩いている

 この曲に関して、しばらく考えてみたのだが、特定の曲あるいは特定のアーティストの影響というわけではなく、色々な音楽的な影響が自分の中で混ざり合っているのでは、と考えた。まあ、それほど難しく考えることでもない、ミディアムテンポのロックナンバーである。

 色々なアーティストに影響を受けているのだが、ロックに限って言えば、イギリスはPete Townshend、アメリカではNeal Young、となる。どちらもマッチョなイメージだが、彼らの曲にはリリカルな面があると思う。どのアーティストもゴリゴリとしたロックばかりを演奏しているわけではないので、彼らが特別にそういうわけではないが、個人的な心象がそうなのだ。ハードなロックを演奏する裏に何かあるような気がしている。
 Neal Youngは、自分の音楽遍歴の中でかなりの部分を占めていて、高校3年から大学を卒業するあたりの時期はよく聞いていた。初めて聞いたのは"Rust Never Sleeps"、A面がアコースティック、B面がロック、という構成、と書いている時点でLPレコードを購入したことがわかる。そして、"Live Rust "、これで決定的。アルバイト代は、Neal の過去盤を買うことに費やした。ここで挙げた2枚の「Rust」という言葉が、実によい。色々な思いがあって、そうしたのだろう。おそらく多感で、色々なことに反応してきたNealを支える叙情性みたいなものを、この「Rust」に感じる。
 でも、Neal Youngの曲で一番好きなのは、"On the Beach"である。このロックでもなく、フォークでもない、ダークなサウンドに光がさしてくる感じ、が心地よい。

ここではリンクを張らないが、Radioheadのカバーもなかなかよい、原曲へのリスペクトを感じる。

 さて、この曲は2012年に作成している。歌詞に直接現れてはいないが、2011.3.11の影響もある、と思う。それは、何かこの先が見えにくくなったこと、いや悪い方向へ流れていく予感かもしれない。そういう予感の中で、自分は自分の行く道を歩くしかない、と。
 この歌詞には原案があった。ボクの大学のすぐ横には国道があり、この道をただ真っ直ぐに帰っていけば、自分の生まれた町にたどり着く。そんな走り書きが元になっているので20年越しに出来上がったことになる。当時、ホームシックどころか親の心配も気にせず、好きなように過ごしていたはずだが、心のどこかに何かがあったのだろう。そして、寓話のような歌詞は2012年頃に挿入したものだろう。特別な意味は感じられないが、この先の見えにくさや状況を言葉にしたものだと思う。「倒れた老人を子どもが支えてる
 その周りで多くの人が見ている」とは社会福祉の問題のようにも思えるが、どちらかと言えば変わり始めた世界を「その周りで多くの人が見ている」こと、それが歴史的に繰り返されているのではないか、こういう思いが気持ちに影をさしている。
 「道」と「未知」。これはお気に入りの表現で、同音異義語を歌詞に使うことはよく考える。日本語の歌詞だと、かなり効果があると思っているが、ただのダジャレになってしまうこともあり、都合のよいものではない。「道」と「未知」に関しては、これ以降の曲に度々登場する。ということは、この先の見えにくさは解消していないのだろう。
 演奏は、作曲当時(Garageband)のままで、Logic Proで何度かリミックスを試みている。今回、ドラムはBFD3、BassはMODO Bassに差し替えている。昔の曲のリミックスで手間がかかっているのがギターで、イコライザーやコンプレッサーで耳障りだけは改善しようとしている。また、ボーカルのピッチ補正していることは、言うまでも無い。

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