【コンサートミニレポ#4】一瞬の「いま」を70年にも生きて-アルテリッカしんゆり2023 オペラシアターこんにゃく座 オペラ「森は生きている」【林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちε)】
アルテリッカしんゆり2023 オペラシアターこんにゃく座 オペラ「森は生きている」
2023年04月30日(日)
川崎市多摩市民館 大ホール
【原作】サムイル・マルシャーク(湯浅芳子訳)
【台本・作曲】林光【演出】眞鍋卓嗣
【キャスト】
一月・総理大臣/佐藤敏之
二月・警護隊長/北野雄一郎
三月・オオカミ/花島春枝
四月・カラス/島田大翼
五月・ウサギ/冬木理森
六月・もうひとりのむすめ/小林ゆず子
七月・むすめ/飯野薫
八月・女官長/西田玲子
九月・おっかさん/青木美佐子
十月・女王/高岡由季
十一月・兵士/富山直人
十二月・博士/髙野うるお
ピアニスト/榊原紀保子
なんだかんだで観ていなかった《森は生きている》を初観劇したのが、2023年4月30日のこと。もちろん大人向けのこんにゃく座もいいけれど、子どもたちが夢中になっているこんにゃく座が僕は好きだ。
このオペラは1992年に初演されたものだが、それ以前に俳優座によって台詞劇として上演されている。1954年のこと、そのとき劇音楽を担当したのが当時22歳の林光。前年に藝大を中退し、「山羊の会」を立ち上げたばかりだった。
この劇音楽とオペラ版の関係について、林光は次のように書いている。
つまり、1954年当時のソング(「十二月の歌」など)とオペラ用のソングが混在しているというわけだが、40年を隔てた時の流れは感じさせることなく調和したオペラとなっている。
ソング「森は生きている」(冒頭と最後に歌われる)はマルシャーク原作にはなく、詩は広渡常敏が書いた。
ちなみに僕が好きなソングは(たぶん独立したソングではないので、タイトルが分からないのだが)「マツユキ草なしでは私は家へは帰れない」である。
(文責:西垣龍一)