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じゆう(に)し〈を〉かき 東京大学総合文化研究科(表象文化論)M2 「東大詩人界」 https://www.youtube.com/@NSJourney75 ☆本noteの記事は、クリエイティブ・コモンズ「表示-継承」の条件のもとで公開します。

マガジン

  • コンサートミニレポ

    コンサートのミニレポート。

  • 林光《流れ》まわりみち解説

    日本の現代音楽を代表する作曲家の一人、林光の作品《流れ:簡易楽器をともなった 声と動きのための ある架空の儀式。3人の女性の演者による。》(1973)の解説。

最近の記事

【コンサートミニレポ#6】東方理紗さんの西村朗《焔の幻影》ほか—武蔵野市国際オルガンコンクール入賞者披露演奏会

第9回武蔵野市国際オルガンコンクール入賞者披露演奏会 2023年9月18日(月曜日) 武蔵野市民文化会館 小ホール 第4位 (Fourth Prize) ダニエル・ミニック(アメリカ/オーストリア) Daniel MINNICK,USA/Australia F.メンデルスゾーン:オルガン・ソナタ第3番  イ長調 Op.65-3 Felix Mendelssohn(1809-1847):Organ Sonata No.3 in A,Op.65-3 J.ブラームス:「11のコラ

    • 「東大生 VS 川島素晴 feat. 国立音大生」をふりかえる①当日までの私的な記録

        マスプロ大学と、それに対抗する芸術実践 私は今学期、4つの授業のTAを掛け持ちしていた。すべて前期課程生向けの音楽系の授業で、そのうち3つは芸術実践の授業(非・座学)である。大学の教員や院生にそのことを話すとみな一様に驚くので、おそらく最多記録に近いのではないかと思われる。4つ掛け持ちすると本学内で可能な労働時間がほとんど埋まってしまうので、少なくとも現在の規定においては本学の最多記録とみられる。 別に名誉な記録ではない。私が優秀だったからTAに抜擢されたということ

      • 間宮芳生《合唱のためのコンポジション第4番「子供の領分」》と小泉文夫編『わらべうたの研究』の対照調査【第1楽章】

         本稿は、間宮芳生(1929-)の合唱のためのコンポジションシリーズより第4番《児童合唱とオーケストラのためのコンポジション 子供の領分》の理解を深める目的で、その歌詞のもととなった小泉文夫らを中心とする研究『わらべうたの研究 楽譜編』との比較対照を行ったものです。  この作品は演奏機会がさほど多くないにもかかわらず、コアな層でたしかな人気があるように思われます。これから上演が増えていくかもしれませんが、なにしろ「でぶでぶ百貫でぶ」からはじまるとんでもない歌なので気概ある団体

        • 「楽器破壊の(反)美学」に向けて―議論の整理

          1 前提 1-1 論点は「楽器破壊」という行為の芸術的価値であって、快/不快という個人の感性を問題とはしない。 1-2 作品を公表することが「表現の自由」によって保護されるのと同様に、作品を批判することも「表現の自由」によって保護される。 1-3 快/不快という個人的かつ曖昧な感性に基づく批判も許容されなければならない。 1-4 ただし、個人の感性に基づく批判は、それに対する反批判が困難である。その曖昧さ(いわく言い難いものが根拠になっているため、反論のしようがない)と自

        【コンサートミニレポ#6】東方理紗さんの西村朗《焔の幻影》ほか—武蔵野市国際オルガンコンクール入賞者披露演奏会

        • 「東大生 VS 川島素晴 feat. 国立音大生」をふりかえる①当日までの私的な記録

        • 間宮芳生《合唱のためのコンポジション第4番「子供の領分」》と小泉文夫編『わらべうたの研究』の対照調査【第1楽章】

        • 「楽器破壊の(反)美学」に向けて―議論の整理

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        • コンサートミニレポ
          6本
        • 林光《流れ》まわりみち解説
          10本

        記事

          【コンサートミニレポ#5】カーゲルのような作曲家はエスタブリッシュされるくらいならネタ枠にいた方がずっとまし(なのか?)-神奈川フィルハーモニー管弦楽団「華麗なるコンチェルトシリーズ」第23回

          神奈川フィルハーモニー管弦楽団 華麗なるコンチェルトシリーズ第23回 2023年12月9日(土曜日) 開演時間 14:00 公演場所 横浜みなとみらいホール 指揮者 川瀬賢太郎 共演者 阪田知樹(ピアノ)篠崎史門(ティンパニ) 主な演目 カーター・パン/スラローム カーゲル/ティンパニと管弦楽のための協奏曲 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第6番ニ長調Op.61a(作曲者自身によるヴァイオリン協奏曲編曲版) 主催 神奈川芸術協会 ついにきたカーゲル人気? 高校の後輩でもあ

          【コンサートミニレポ#5】カーゲルのような作曲家はエスタブリッシュされるくらいならネタ枠にいた方がずっとまし(なのか?)-神奈川フィルハーモニー管弦楽団「華麗なるコンチェルトシリーズ」第23回

          【コンサートミニレポ#4】一瞬の「いま」を70年にも生きて-アルテリッカしんゆり2023 オペラシアターこんにゃく座 オペラ「森は生きている」【林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちε)】

          アルテリッカしんゆり2023 オペラシアターこんにゃく座 オペラ「森は生きている」 2023年04月30日(日) 川崎市多摩市民館 大ホール 【原作】サムイル・マルシャーク(湯浅芳子訳) 【台本・作曲】林光【演出】眞鍋卓嗣 【キャスト】 一月・総理大臣/佐藤敏之 二月・警護隊長/北野雄一郎 三月・オオカミ/花島春枝 四月・カラス/島田大翼 五月・ウサギ/冬木理森 六月・もうひとりのむすめ/小林ゆず子 七月・むすめ/飯野薫 八月・女官長/西田玲子 九月・おっかさん/青木美佐子

          【コンサートミニレポ#4】一瞬の「いま」を70年にも生きて-アルテリッカしんゆり2023 オペラシアターこんにゃく座 オペラ「森は生きている」【林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちε)】

          【コンサートミニレポ#3】さまざまな鳥の歌-松井くるみフルートリサイタル【林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちδ)】

          松井くるみフルートリサイタル 日暮里サニーホールコンサートサロン 2023年1月20日 プログラム ラヴェル:ハバネラ形式の小品 シャミナード:コンチェルティーノ Op.107 ボザ:アリア ドンジョン:ナイチンゲール メシアン:黒つぐみ 林光:七つの子変奏曲 カザルス:鳥の歌 吉松隆:デジタルバード組曲 出演者 松井くるみ(フルート)、渡辺友梨香(ピアノ) もうずいぶんと昔のことなので、演奏についてなにか触れることはしないが、おぼろげな記憶では良い演奏だった。それ以上

          【コンサートミニレポ#3】さまざまな鳥の歌-松井くるみフルートリサイタル【林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちδ)】

          「東大生 VS 川島素晴 feat. 国立音大生」のお知らせと西垣龍一《ミッ●ーマウスにおける著作権の意義》もう一つの解説

          西垣龍一 プログラムノート音楽《ミッ●ーマウスにおける著作権の意義》  私の作曲作品《ミッ●ーマウスにおける著作権の意義》についてのもう一つの楽曲解説である。「もう一つの」というのは、当日配布のプログラムノートとは別の内容ということを意味するが、このほかに演奏者向けに記された解説もある(サムネイルは演奏者向けの解説の一部)ため、実質的にはこの作品についての解説は三種類あることになる。 当日配布のプログラムノートとほぼ同内容の解説は、他作品の解説とともにこちらからご覧いただ

          「東大生 VS 川島素晴 feat. 国立音大生」のお知らせと西垣龍一《ミッ●ーマウスにおける著作権の意義》もう一つの解説

          助川敏弥《おわりのない朝 1945.8.6.》(1983)について―助川さんの日記から

          前置きと、なぜいま助川敏弥か年が明けました。いろんなことが起こりました。北海道出身の私には、あの2018年9月、あの揺れが、あの停電の夜が思い出されます。航空機事故もありました。それでもどうにか、今日(1月4日)東京に戻ってくることができました。東京は暖かくて乾いています。 noteの書きかけ原稿が三つくらいあります。ほんとうはnoteなんかやっている場合ではなく、年末までに提出しなければならない原稿をまだ書き終えてもいないのに、困ったものです。それなのにこれを書いている理

          助川敏弥《おわりのない朝 1945.8.6.》(1983)について―助川さんの日記から

          【コンサートミニレポ#2】ニッポニカが満員にならないこんな世の中じゃ―オーケストラ・ニッポニカ第43回演奏会【林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちγ)】

          第43回演奏会 社会への眼差し 概要 2023年11月12日(日)14時30分開演  紀尾井ホール 池辺晋一郎 悲しみの森 オーケストラのために (1998) 吉松隆 鳥のシンフォニア(若き鳥たちに)(2009) 三善晃 谺つり星<チェロ協奏曲第2番>*(1996) 林光 第三交響曲<八月の正午に太陽は…>** (1990) 指揮:野平 一郎 チェロ*:横坂 源 ソプラノ**:竹多 倫子 管弦楽:オーケストラ・ニッポニカ ニッポニカと出会った昨年7月 オーケストラ・

          【コンサートミニレポ#2】ニッポニカが満員にならないこんな世の中じゃ―オーケストラ・ニッポニカ第43回演奏会【林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちγ)】

          【コンサートミニレポ#1】オペラこそ竜二なのでは―ヘンツェ《午後の曳航》

          ヘンツェ《午後の曳航》概要 オペラ全2幕(2005年改訂ドイツ語版 日本初演) 日本語字幕付原語(ドイツ語)上演 原作:三島由紀夫 台本:ハンス=ウルリッヒ・トライヒェル 作曲:ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ 会場:日生劇場 11月24日(金) 14:00 キャスト 黒田房子 北原瑠美 登/3号 新堂由暁 塚崎竜二 小森輝彦 1号 加耒 徹 2号 眞弓創一 4号 髙田智士 5号 水島正樹 航海士 河野大樹 ダンサー 池上たっくん 石山一輝 岩下貴史 後藤裕磨 澤村 亮

          【コンサートミニレポ#1】オペラこそ竜二なのでは―ヘンツェ《午後の曳航》

          【「AIのべりすと」と人間の共作による自由詩】流れの中で(in the flow)、もしくは

          流れの中で(in the flow)、もしくは 流れとともに(with the flow) たとえば水が水として行動するような場合には、 しかしそうでないときには? 水は水を理解するだろうか? そうすればその水の中にいる魚はどうなるのか? さて、それではこの魚が水の外にでたら? そしてその水の中にいないとしたら? あるいはまた、 ある一個の物質が、 もしそれが水だったならば…… ってつづけるのはもうやめませんか あんまりうざいと憲法違反ですよ 水でなくて雪の話を、 わたした

          【「AIのべりすと」と人間の共作による自由詩】流れの中で(in the flow)、もしくは

          7月25日のメモー高校野球のこと、母校札南のこと、外山雄三さんのこと、三拍子の校歌のことー

          母校札南がパワー系チームになっていた 高校野球が大詰めを迎えている。私の母校、札幌南高校はパワー系のチームになって南北海道大会に戻ってきた。札幌支部予選での3試合で9本の本塁打(対北星大附で2本、対札幌東で4本、対札幌大谷で3本)はとんでもないことだ。 と思って調べてみたら、ここ10年の春夏秋の大会61試合で本塁打は16本である。つまり、今夏だけで10年間の全本塁打の過半数を放ったということになる。 この凄さは強豪校と比較してみるとよくわかる。ちょうど今(15時31分

          7月25日のメモー高校野球のこと、母校札南のこと、外山雄三さんのこと、三拍子の校歌のことー

          林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちβ)動画を公開しました(貴重音源あり)

          6月17日のコンサート この連載は終わってません! 新しい林光作品の動画、公開しました 林光:メロディー(1973)『ピアノの本』より  Hikaru Hayashi: Melody (from "PIANO NO HON") 『ピアノの本』(1976)は林光(1931-2012)が武満徹の娘、真樹さんのレッスンのために書いた作品をまとめたもの。作曲年は1973年で、当時真樹さんは11歳ごろ。国立国会図書館の資料によれば、『あんさんぶる』1973年5月号(カワイ音楽教

          林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちβ)動画を公開しました(貴重音源あり)

          林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちα)動画を公開しました(貴重音源あり)

          林光の1973年前後の作品を2曲演奏し、YouTubeにアップロードしました。 林光:大河ドラマ主題曲「花神」(作曲者自身によるピアノ編曲版)〔世界初録音?〕 林光(1931-2012):大河ドラマ主題曲「花神」(作曲者自身によるピアノ編曲版) Hikaru Hayashi(1931-2012): "Kashin" (Piano Arrangement by the Composer Himself) [World Premiere Recording?] 林光は三つの

          林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちα)動画を公開しました(貴重音源あり)

          林光《流れ》(1973)まわりみち解説(4)作品概要

          作品概要 林光(1931-2012) 《流れ:簡易楽器をともなった 声と動きのための ある架空の儀式。3人の女性の演者による。》(1973)  《流れ》は、オペラシアターこんにゃく座との協働によって日本語オペラに新たな方向性を見出したことで知られる林光の作品である。林は武満徹、一柳慧らと同世代であり親交も深かったが、作風の面では前衛の旗手であった彼らとは一線を画した。  本作は図形楽譜が使用されており、形式面では前衛音楽の潮流を受け継ぐ異色作だが、日本語の発話への強い関

          林光《流れ》(1973)まわりみち解説(4)作品概要