2022/07/26

最近、"アイドルのオタク"について考えることが増えた。
と、言うのも、人間はひとりひとりにそれぞれの感情があり人生があるのは当然のことなので、"オタク"として応援の仕方が多種多様なのも理解はできるのだが、そのオタク側が"アイドル"を我々と同じ人間だと理解できていない場面に遭遇することがよくあるからである。


たとえば、アイドル"Aくん"がいて、彼のオタク(ファン)になったとする。
Aくんが好きだから、ファンクラブに入って、グループとして発売されるCD・DVDやコンサートはもちろん、それだけでなくテレビや雑誌等メディアでの活動も全て追うようになる。
⋯ ここまでは"アイドルを推すオタク“として想像の範囲内というか、これがオタクとして一般的な在り方だと思う(定義こそないし自由な思想の上での主観でしかないけれど)。

しかし、様々な媒体からAくんの発言や行動を自分で噛み砕いて吸収していくうちに、応援と並行して「Aくんはこういう人だ」と勝手な自己解釈をし、自分の中で"Aくん"という理想のアイドルを作り上げてしまっている人を多く見かける。Aくんが自分の理想通りのことをしてくれると褒めたり喜んだりする(沸く)し、理想とは異なることをすると落ち込んだり文句を言ったりする(冷める)。

私はこういう人たちと同じオタクという立場でありながら、見かけるたびに「この人はAくんをもはや人間ではなく商品として扱う立場に在るんだな」と、思うようになった。
感情を持ったひとりの"人間"と自分が作り上げた"理想"とを擦り合わせては、その理想に反したときに批判や文句を言うことは理解し難いが、その人たちにとっての彼が"商品"なのだとしたら、つまりは不良品だ、交換しろ、と言っているのと同じ、あるいはそれと近いのではないだろうか。

私はアイドルという存在をひとりの人間とでしか見ることができない。だから、そういう視点もあるのか、と学びでもあった。だけど、それは"応援"なのだろうかという疑問もある。私には応援とは思えなかった。

よくSNSで「好きだからこそ言わせてもらうけど」という前置きをした上でアイドルに対して改善してほしい点や、やめてほしいことを発信する人がいる。
好きだからこそ、じゃなく、好きなのであれば、わざわざ言わなくていい。こちらからファンを名乗っている以上は彼を支持する立場であるのに、わざわざマイナスなことは全世界に発信して広めなくていい。オタクは彼の先輩でもマネージャーでも何でもないし、本人に伝えたいことがあるならファンレターなり何なりで直接送ればいい。
某回転寿司チェーンの広告がSNSで呟いたことがきっかけで広まり判明し問題になったけれど、ひとりの人間の発言や行動って広めなきゃダメなのだろうか。法を犯したわけでもないのに「プロ意識」を素人から咎められるほどアイドルは何か悪いことをしたのだろうか。

⋯ とまあ、ここ最近のSNSを眺めてはこんなことを考えながら
特定の対象を"推す"つまりオタクをするにあたって一番大事なことはもしかしたら「諦め」なんじゃないか、と感じるようになった。

相手がアイドルとはいえそれを生業とした人間であり、我々と同じように一人に一つの感情を持っている以上は全部が全部思い通りにはならない。"好き"という気持ちが"応援"として形になり、それがいつからか"期待"を掲げた"理想"になる。その理想から外れたとき、オタク側に少しの"諦め"がないと「好きだからこそ言わせてもらう」と、文句ばかりになってしまうと考える。

キラキラとした衣装を身に纏い表舞台に立つアイドルが裏ではどんな気持ちを抱えているのか、オタクは知る由もない。だとしたら、アイドル自身がやりたいことをやれていたらそれだけで十分だと私は思う。
私が抱くのは8割の支持と2割の諦め。その諦めというのも決してマイナスな意味ではなく、次へ繋がっていくポジティブなもの。応援っていうのは、そういうものだと思っている。

私にとってアイドルという存在は生きる活力であり、明日への希望なのだけれど、アイドル自身とってそのように思える存在はあるのだろうか⋯ と思索に耽るときもある。
翼を背負わせて飛べると信じてしまうし、プログラミングされた機械のように動いてくれると願ってしまう。オタクはいつだって勝手で、わがままだ。そんなオタクだけれど、アイドルにとって活動していく糧になっていたらな、と、苦しみや悲しみがゼロになることは決してないのだろうけれど、少しでも多くの喜びや幸せを感じられていますように、と、願うばかりである。マジで「俺の顔、マジかっこよすぎてどうしよう」くらいでしか悩んでほしくないよ!

これからも𝑯𝑨𝑷𝑷𝒀な𝑶𝑻𝑨𝑲𝑼 𝑳𝑰𝑭𝑬を送りたいと思います★(締めに困って突然の決意表明)


総評

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