まちに生きる、ねこ

漁師とねこ

 長崎市茂木町は長い歴史を持つ漁港です。港には漁船が並び、その上を海鳥が鳴きながら飛び回っています。のどかな風景を見ていると、静かで穏やかな気持ちになります。 漁師町には、必ずと言っていいほど、ねこがいます、しかも、たくさん。昔から、ねこは大漁を連れて来るという言い伝えがあります。また、ネズミの被害から漁網を守ってもくれます。なので、漁師さんたちは、ねこをかわいがり、獲れた魚をおすそ分けしてくれます。ねこも食べ物に困りません。人もねこも、お互いにいいことがあるわけです。
 しかし、いいことばかりではありません。港の周りには住宅が密集しています。隣同士でねこの糞や鳴き声などをめぐって対立も起こります。魚のおすそ分けで生きていた頃は生きていくのがやっとの栄養のため、出産回数が少なく、したがって生まれてくる子ねこの数も少なかった。しかし、栄養たっぷりのキャットフードを食べるようになると、出産回数が増え、それにともなって生まれる子ねこの数も増え、ねこトラブルはますます深刻になってしまいました。
漁師町では、人とねこは互いに助け合って生きてきました。漁師さんにとって、ねこはペットではないけれど、大切なパートナー。ある意味で人とねこがともに生きてきた漁師町の長き良き風習を参考にねこトラブルを減らす方法はないものか、ずっと考えています。
(塾長 中島)

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