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五輪に見る政治とビジネスの違い

少し前に「あなたの番です」と言うドラマが流行した。
関係者が次々と消されて行くストーリーにドキドキしながら大きな視聴率を獲得した。

今の五輪の騒動を見ていると、「あなたの番です」を思い出す。
関係者が次々に辞任や解任に追い込まれる。
「呪われた五輪」とまで揶揄されている。

スポンサーが次々に手を引いているのは、「自分の番」になり、飛び火して炎上するのを避け、損害を抑えたいと言う現実的な判断である。

この判断の違いが、やはりビジネスに携わる者の違いかもしれない。

いわゆる、埋没費用と機会費用のバランスである。

例えば、政治家などは地盤、看板、鞄を駆使して、積み上げて行くため、埋没費用を大切にし、損切りはしない傾向がある。

これが五輪決行に繋がった。
一度、自分たちが決めて着手したものをひっくり返すことは、政治の習性としてなかなか難しい。

一方で、ビジネスの世界では、そんなことは日常茶飯だ。
埋没費用に執着して損害を大きくしてしまうよりも、早々と損切りし、別の道へと舵をきる。

苛酷な競争の中で生きて行くと、時には思い切った決断をしなければいけない時もある。

しかし、政治家のような「過去の地道な積み重ね」の上に成り立つ職種では、埋没費用への拘りが一段と強い。

これまで政治家は「スポンサーのために頑張って開催に向かってあげている」、
一方でスポンサーは「何故、早く中止に決めないんだ?」と内心では思っていた。

土壇場でのスポンサーの撤退を、政治家は裏切り行為と見做すかもしれない。

いずれにせよ、様々な部分に溝や亀裂が生まれた。
絆や復興とは程遠い五輪がいよいよ始まる。

呪縛はこの後も続くか、開幕とともに解かれるか。

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