解凍
既に忘却の彼方に忘れ去られたように思われていたものがある。だが、私は、決して忘れてはいないし。むしろ、心待ちにしていたのだ。
次女のチームから、夏に送られてきた大玉スイカの冷凍だ。
実は、冬の季節に食べようと大切に残しておいたのである。
ところが、期せずして家内に冬のスイカの本物が送られてきて。それを先に食してしまった。
あの、夏のスイカは、カチカチに冷凍されている。食べるにはまずは解凍し、それから食することになる。
冷蔵室でゆっくりと二日間かけて解凍して。そして、食べた。
うむ。確かに、夏に食べたものと比すると、味は落ちる。
だが。
私は、大のスイカ好きだ。十分に楽しみ、味わい尽くして食べた。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
まだまだ、あるよ。
うむ。美味しいのである。だが少し懸念されるのは、今、爆裂リバウンド中の身だということである。
美味しいのだ。好きだし、冷凍して味が落ちようが、大好きなスイカだから。
でも。
激烈リバウンド中の私には、少し、背徳感のある、独り占めだった。
そんなこんなを語らおうとしてソファーを振り向くと、家内が足を指さして笑いつつ、言った。
美味しいシャーベット、まだまだあるよ。
……。
夜ごとのミッション発動だ。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。
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