偽物
私は、スイカが大好きだ。本物のスイカがもちろん、大好きなのだが、スイカと名のつくものは、何でも手を出す。
スイカバーも。スイカパンも。スイカシェイクも。そして、スイカゼリーも。
家内が、冷蔵庫に、コジくんが好きなスイカがあるから食べてと、わざわざ声をかけてきたのだ。
しめしめ。ふふふ、ふふ。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
スイカとくれば、コジ、見境が無いな。
冷蔵庫を開けると、こんなものが鎮座していた。
本物のスイカではなかったが、まあ、食べてみた。
確かに、スイカ色をしていた。スイカらしき匂いもした。
だが、普通のゼリーだった。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
どこか、偽物をつかまされた気分が残ったな。
なんのはなしでスイカ。
そんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。
コジくん、気付かなかった?あれねぇ。普通のゼリーじゃないのよ。高野のなのよね。高いのよ。高野。
倍返しですか……?
いや。3倍返し、かなぁ。
……。
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。
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