ショートショート_感情の濃度
風の色は今、何色なのだろうか。風に色があるなんて、すごく文学的だ。どこかの文学少女が言いそうな台詞である。
私は、昔からきかん坊の悪ガキだった。周囲の大人は手に負えない悪ガキをもてあまし、ため息ばかりだったが、密かに私は、本を片手に図書館に通うような文学少女には憧れを感じていた。
あの、大事に抱えた本の中には、どんなに楽しいことが書かれているのだろう。読み聞かせてくれないかな。
そんなことを、空き地から高台の坂道を眺めてぼんやり考えていたりした。
そんな、小学生の時代を、ふと思い出した。
そんなつまらないことに頭を巡らせながら、日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、毎週木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「風の色」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題が【バンドを組む残像】で。裏のお題が裏お題【インドを編む山荘】|д゚)チラッ、ということだ。
そしてそして、山根あきらさんのお題は、ちょっと早めに出る。
「感情の濃淡」あるいは「感情の濃度」という言葉をタイトルに含める。ということで。
今回は、お題にして、文中にはそのニュアンスを少し入れさせてもらおう。
また、今回も、シロクマ文芸部作品を読んでみた。守谷佳純(kasumi)さんの記事である。ちょっとその感想を述べてみる。
シロクマ感想文を書こうと、「シロクマ文芸部」・「月の色」で、検索して飛んでいった。
娘に風の色を問うお父さんは、どういう色の答えが良かったのだろう。
でも。
そんな難しいお題に応えようとしている、「わたし」を、私は健気だと思った。
きっと、「わたし」には、かなりの語彙力、感覚を鋭敏にする訓練にはなったのではないかと思う。小さい頃の、こういう難題挑戦。言語化訓練にはなるだろう。結果的には。
そもそも風に色があるのか、しかもそれに正解があるのかは、わからない。かなり文学的な表現だとも思う。それに父娘でチャレンジしていることに羨ましさを感じた。
その時、「わたし」は、お父さんに、お父さんはどう感じているのかを聞いてみれば良かったのかも知れない。ほんとうに。
親と子。一緒にいられる時間は、実は短い。
私も、幸いにして父という立場を経験させて貰えたが、子供たちに対しては、良い父親ではなかった。
時々、飲んで帰る深夜の電車の窓ガラスに映るオヤジが問うてくるのだ。
お前、あの時、もっと心を込めて子供の心をくんであげていたら良かったのにな。そうしたら、もっと豊かな時間になったろうにな。
一度きりの人生。子供との、家内との、人との繋がりの時間の豊かさについて、ゆっくりと反芻する時間をもらった気がした。
佳純さんの作品に、そして生きていることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。
小牧幸助さん、たらはかにさん、山根あきらさん。3人とも、私は、大好きである。3人の企画は、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃる。だが、お題を出すだけでも大変だと思うのである。
毎週。ほんとうにありがたい。そして毎週の日曜日の、私の励みである。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のお題、山根あきらさんのお題。4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで加えると5重の荒技。
あまりにもやりすぎじゃないかな。
うむ。まあ、私にも事情があって。本当は、ひとつひとつ丁寧に書きたいのだが、まだ、それがどうしてもできない。
これで何週間いや、何年と何ヶ月だろうか…。まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。
なんだか、きかん坊の悪ガキだな。
まあな。申し訳ないな。みなさんに。
そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。
家族からのお題は、バックアップで書いたの?
うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。どうしようか。
私は、この荒技シリーズを、ハードボイルド風に書き上げたいと思っている。だが、そうそううまくはいかず。いつも、反省している。少しばかり。
なんのはなしですか。
さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「感情の濃度」約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
風の色が黄色く色づいてきた秋の終わり。
どうやら悪の枢軸が時空移動装置に類似した力を保持し、こちらはこちらで装置のマイクロ化、怪人封じ策を講じてきたことで少々膠着状態に入っていた。
本部は、敵がインドの山奥にアジトを築いていることを突き止め、近く涼が潜入することになった。
ある日、それは決行された。
涼はマイクロ時空移動装置を使い監視範囲に移動。
暗視スコープでは、山の頂に山荘が見える。厳重にバリアが張り巡らされており、そこが入り口部分と判明した。
セキュリティは完璧のようだ。
どこかに攻略点は無いかと探すと、数百メートル下に集落がある。
散在する人家の真ん中には広場があり。夜更けに楽器を持った若者が宴を楽しんでいる。
ここは平和と危険が共存する場所だ。
敵は、集落をカモフラージュにし、同時に人質化している。所謂人の楯である。
なんと卑劣な。
本部から指令が届く。
潜入命令だ。
涼は、ここを完膚無きまでに叩き潰す決意をして立ち上がった。
☆ ☆ ☆
荒技も、もう、やり始めて1年以上になる。何回目だろうか。今度、数えてみよう。
振り向くと、ソファーのさっちゃん(注1)が言った。
noteよりもさぁ、マッサー頼むわ。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。
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