ショートショート_ガリレオ
木の実と葉が芝生に広がる頃となり、ようやく秋の気配が空気を支配するようになってきた。
そうは言っても、昨日の土曜日は30℃に迫る暑さで。楽しみにしていた箱根駅伝予選会は、過酷な条件下での戦いになった。
アクシデントも多発し。棄権者も続出。全選手が自らのベストを出すにはほど遠い条件下で様々なドラマがあった。
そんな中、私が応援する、長男と長女の出身校は、なんとか本戦出場を決めたので、私としては素敵な土曜日の午前中になった。
だが、午後。今度はJ1復帰を狙う横浜FCが、なんと20試合ぶりに敗戦。しかも、0-3で大敗して昇格がお預けとなった。
やけ酒を飲み、ふて寝して、遅く起き、ふと気づくと、もう、日曜日の午後。
そんな日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、毎週木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「木の実と葉」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題が【それでも地球は曲がってる】で。裏のお題が【蕎麦でも気球は浮かんでる】|д゚)チラッ、ということだ。
そしてそして、山根あきらさんのお題は、ちょっと早めに出る。
「忙しいのにアンニュイ」というお題で作品を書いてみませんか?ということで。
今回は、お題を文中に入れさせてもらおう。
また、今回も、シロクマ文芸部作品を読んでみた。てみさんの記事である。ちょっとその感想を述べてみる。
シロクマ感想文を書こうと、「シロクマ文芸部」・「木の実と葉」で、検索して飛んでいった。
ちょっと切なく。そして、なんだか心に温かいものが残る作品。
大袈裟かも知れないが、どこか、生きていて良かったと思わせる読後感。
諦念のような、そんな感覚が手元、胸元に残った。
私、ドングリが好きで。昔、ドングリを発芽させ、大きな木にしようと画策したことがあった。とても小さな、幼少の時だ。
小学校の低学年まで、母の実家の庭に木が生長していったのだが。このまま大きくなっても庭が狭すぎると、切られてしまった。
ドングリがそれなりの木になるには、少なくとも4、50の年月が必要だろう。
私も還暦。この歳になり、家内の実家の庭に、ドングリを植えようかと密かに画策しいる。いまだに。
この作品に出てくる2人は、リースにしたのだ。2人で集めて、2人で作って。
素敵な思い出だ。
そんな素敵な思い出は、残念ながら私には無い。
せめて違う道を進んだ2人に、それぞれの人生に、大きな木が育つようにと願おう。
ともあれ、生きていることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。
小牧幸助さん、たらはかにさん、山根あきらさん。3人とも、私は、大好きである。3人の企画は、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃる。だが、お題を出すだけでも大変だと思うのである。
毎週。ほんとうにありがたい。そして毎週の日曜日の、私の励みである。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のお題、山根あきらさんのお題。4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで加えると5重の荒技。
あまりにもやりすぎじゃないかな。
うむ。まあ、私にも事情があって。本当は、ひとつひとつ丁寧に書きたいのだが、まだ、それがどうしてもできない。
これで何週間いや、何年と何ヶ月だろうか…。まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。
なんだか、きかん坊の悪ガキだな。
まあな。申し訳ないな。みなさんに。
そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。
家族からのお題は、バックアップで書いたの?
うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。どうしようか。
私は、この荒技シリーズを、ハードボイルド風に書き上げたいと思っている。だが、そうそううまくはいかず。いつも、反省している。少しばかり。
なんのはなしですか。
さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「ガリレオ」約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
木の実と葉が芝生に落ちていて。秋の気配が訪れていたあの頃。
涼も泉も、なぜだか理系なのに文芸部所属で。図書館通いと部室籠もりで、ずっと文章や絵を描いていた。
涼は受講に貪欲で。何でも首を突っ込んでいた。
涼は西洋中世の地動説への転換が本質的に人間の科学の黎明期だと考えていて。尊敬する学者に必ずガリレオを挙げるほどだった。
常にレポート提出に追われている涼が、部室で珈琲を片手に、忙しいのにアンニュイで豊かな時間を享受している姿が印象的だった。
涼の口癖は、「それでも地球は回っている」だったが、「曲がっている」とある時言い間違え、笑ったのが今でも思い出の一コマである。
今は2人とも秘密警察のエージェントだ。涼が昼の月見蕎麦を見つつ、ボソッと呟いた。
「気球が浮いている」
食堂の窓からは、秋晴れの透き通った空が、ほんの少しの千切れ雲を漂わせて広がっていた。
世界は平和であるに限る。安寧であるべきである。
そのために。
泉は、心に誓った。
☆ ☆ ☆
荒技も、もう、やり始めて1年以上になる。何回目だろうか。今度、いつか、本気で数えてみよう。
振り向くと、ソファーのさっちゃん(注1)が言った。
noteよりもさぁ、マッサー頼むわ。ここは、荒技は、いらんよ。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。