とらやの羊羹
私は、和菓子には目が無いのである。一時期、あんこが苦手だった頃もあるのだが、その頃とて和菓子を好み。餡子苦手を克服した今となっては、何人をも恐れぬ和菓子愛好家なのである。
ある日、長女が何とも贅沢極まりないものを買って帰ってきた。
とらやの羊羹である。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジに、配給は、あるのかっ?
長女は帰宅するなり、こう言った。
最近世話になってるから、コジくんにも配給あるからね。
何とも泣かせる娘である。
確かに、ここ最近、ちょっと貸してほしいと、3,000円の借り出しが何回か続いている。
返してくれると信じていたから、あまり、気にはしなかったが。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
得意の、返す返す詐欺じゃない?ちょっとした餌で釣って、返したことにするやつ。
信じよ、さらば、与えられん。
このひとかけらのみの配給で、終ぞ私の口には、羊羹は運ばれてこず。返金は、未だなされていない。
そんなこんなを語らおうとしてソファーを振り向くと、家内が足を指さして笑って言った。
貸したお金は、戻らないと思え。
……。
まずは、ミッション発動だ。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。
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