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【コラム】投資に役立つ心構え~一見無関係に思える知識も、相場にリンクさせてみると何かが見える~

今回の内容は、まだ相場の世界を体感して日の浅い方や、まだ相場の世界観が掴めきれていない方に読んで欲しい内容です。加えて、相場に興味のない方々にも読んでほしい内容です。というのも今日の内容は、相場だけでなく、日頃のビジネスにも応用出来る心構えだからです。あなたがこれまでの人生の中で得てきた、一見投資やビジネスに無関係と思える知識や経験の中にも、実は役に立つ情報が眠っている可能性はあります。あなたが他人よりもちょっとだけ詳しい分野を何か一つでも持っているのであれば、その知識は投資や日頃のビジネスにも応用出来るのです。

ちょっとだけ詳しい分野、というのは、はっきり言ってなんでもよいのです。例えば私は今でこそ政治経済や投資のことばかり書いて日々を過ごしていますが、実は元々、歴史分野の専門です。特に宗教史を専門に研究していたので、他人よりは少しだけ宗教に詳しい・・・こんなことでも切り口になり得ます。積極的に知識と知識をリンクさせていく努力をすれば、投資家に必要な連想力は間違いなく磨かれます。

例えば宗教という話になると、よく国民性とリンクさせて語られることが多いですよね。テレビでも論文でも何でもよいのですが、日本人は争いを好まない国民性だとか、アメリカ人は個人を大切にする国民性だとか…国民性が○○だから、あの国はこんな行動を取るんだ、と批判的になることもあります。この国民性の由来を説明する理由として、よく挙げられるのが宗教です。または気候などもありますね。日本は昔から自然の猛威に晒されてきたから我慢強いとか、皆さんも聞いたことはあるでしょう。そういった社会学-民俗学の切り口も面白いと思いますし、歴史学-宗教学の視点も面白いのです。日本は多神教の国だから、クリスマスもハロウィンもなんでも受け入れて楽しんでしまう、とよく言われます。これは宗教と国民性がリンクしている例としてよく挙がります。ここまでは一般論です。しかし少しこの分野について詳しい人間が一般論を聞いた場合、少し踏み込んで考えます。私も今は投資家として積み上げてきた知識もあるわけですから、投資と宗教、両方の知識がリンクさせていくと・・・何か共通点が見つかるわけです。

具体的には・・・そうですね、株価のチャートの動きと、人間の宗教観の変動は似ている。こんな話はどうでしょうか。人間の宗教観は、まるで波のような変動をするものです。ぶしつけな質問ですが、皆さんはキリスト教と神道、大きな違いはなんだと思いますか?よく見かける回答の一例としては「多神教なところが神道(日本)の特徴だ」という回答が多いのでしょう。しかしこれは間違いです。キリスト教が一神教という解釈も厳密には間違いだし、日本が多神教だという解釈も厳密には間違いなのです。しいて言うのであれば、「キリスト教は一神教の性格が強く、日本の神道は多神教の性格が強い」というだけであり、どちらなのかを確定的に決め付けることは出来ないのです。つまり、確定されずに変動しているもの、として考えてみてほしいのです。

例えば、多神教と言われる日本では、祈る対象がコロコロ変わることにお気づきですか?受験勉強をしている学生であれば、学問の神である菅原道真に手を合わせますが、受験に合格して大学生になってしまえば、今度は恋人を求めて縁結びの神様に手を合わせるようになります。日本にはたくさん神様が居るのですが、我々はいつも多数の神々を平等に拝んでいるわけではありません。自分の需要に合わせて祈る対象を変えています。つまりその瞬間、祈っている本人の心は一神教に切り替わっているのです。受験生の心の中では今、多くの神々の中から学問の神がピックアップされ、多神教から一神教に切り替わった状態です。合格してキャンパスライフが始まると、学問の神様への用は無くなり、再び多神教に戻ります。恋人がほしくなると、今度は彼の心の中では縁結びの神様がピックアップされ、再び一神教の色を強めます。このように、多神教色の強さと一神教色の強さは交互に繰り返されます。これはある種、波の押し引きと一緒なのです。振り子に例えても良いでしょう。多神教と一神教という両端を、振り子が揺れているイメージです。常にどちらかの位置に留まることはなく、変動しています。

こういう研究をやってきた私から見ると、これは実に株価の動きと似ているな、と思います。上昇と下降、常に留まることなく動く株価の軌跡はチャートとして描かれます。私は特定の宗教者ではありませんが、たまたま専門的に研究していたこの知識が、相場観を養う大きなヒントになりました。こんな切り口でも、立派な相場理解に利用出来る、ということです。だからいろんなジャンルのことを知っていた方が、知らない人よりも投資のヒントを得られることは多いものです。投資と共通する意外なポイントを発見出来るからです。その発見はもしかすると抽象的な感覚であなたにしか理解できないかもしれませんが、自身の投資スタイルを作り上げるための貴重なパーツに成り得ます。別に何の分野でも構わないのです。自分の身体を通して得た知識や経験と投資が繋がる可能性は、どんな話にもあるはずです。私はこのことに気づいて以降、どんな現象を見ても「波」として解釈するようになりました。もしくは振り子の解釈です。実際、似ているのです。

私の経験では「波」という答えにたどり着きましたが、皆さんの経験によって解釈の仕方は当然変わるはずです。いろんなことに関心を持って、たくさんのことを知っている人の方が利用出来る「視点」の数が多い。これは相当な武器になります。どんな物事も、多角的な視点で見なくては理解が深まりません。つまり、一つの視点で物事を決め付けるのは危険です。複数の視点を用いて分析しないと、間違った理解をしてしまう可能性があります。古代ギリシャのツボが美しいかどうかを測るものさしはなんでしょうか?美術史家の視点では、ツボに塗られた釉薬と曲線の角度が、その時代特有で美しいと判断するかもしれません。しかし生物科学者の視点では、ただの薄汚れた土器で無価値だと判断することでしょう。または、幽霊の存在は神学者にとって語る価値があることだとしても、科学者にとってはただのプラズマ現象です。一つの視点に拘り過ぎていると、見えない価値を見落とす可能性があるのです。

投資家に学歴は関係ありませんが、学ぶ意識の強かった人間の方が大成しやすいことは事実です。いろんな知識を身体に通してみて、知識同士がリンクするようになればしめたものです。だから、どんなことにも関心は持つようにするほうがベターです。

ちょっと余談(読み飛ばしOK)

日本の多神教の中にも一神教の要素があることはお分かり頂けたと思います。同様に、キリスト教の中にも多神教の要素があることを書いておきます。これはサタンの強さに表れています。神の強さがナンバーワンだと聖書には定義してあるにもかかわらず、サタンの力は神に匹敵するくらいに強烈です。サタンの悪事は災害、戦争、殺人・・・良くない事象を引き起こしているのは全てサタンの誘惑のせいだとされています。

では、ナンバーワンの実力を持つ神が人間の味方として存在するのに、何故神はサタンを野放しにしているのか。この答えとして、キリスト教は「神には人間には理解出来ない、崇高な目的があるからだ」としています。敢えてサタンの悪事を放置しているというのです。しかしよほど信心深くて辛抱強い人でなければ、科学全盛期のこの時代ですから、人々はキリスト教に関心を持たなくなるでしょう。現にアメリカやヨーロッパでも、宗教への関心は薄れてきています。神の目的が人間に理解出来ないうえに、悪事から助けてくれることもないなら、宗教の本来の役割とも言える心の安定や安心感も感じることが出来ません。

むしろこの問題については、サタンも神と同じくらい強い力を持っていて、両者の強さは拮抗している、と説明した方が悪事が無くならない理由としてスッキリします。しかしそうなると、キリスト教は一神教(一元論)ではなくなってしまうのです。善と悪という大きな存在が2つ存在し、つまり二元論になってしまう。ここがキリスト教徒の具合が悪くなるポイントであり、2000年経っても明確な答えが出せない悩みになっているのです。一神教という性質を彼らは変更したくないのです。

しかし、望むと望まないとにかかわらず、株価の暴落の様にサタンはやってきます。神がサタンを退けると、一時的に株価は上昇します。結局はキリスト教を例にしても神道を例にしても、株価を留まらせるように、一つのことを不変の位置に確定させることは難しい。長い歴史を持つ宗教史を紐解いて、理解を深めれば深めるほど私は「波がある・・・」と感じざるを得ません。感覚的な話なので難しいかもしれませんが、自分の周りで起こることを波として捉えると、株価チャートを理解する手助けにもなるし、自分の身に起こる幸や不幸も納得できる部分があります。現に私は、大きく株価が上がって儲かった後は、この感覚で買いを控えるようにしています。今度は引き波が来るな、と。「勝って兜の緒を締めよ」とはまさにその通りで、大勝ちした後は、半分くらいのお金を証券口座から一旦抜いてしまうのも手かもしれません。

まとめ

初心者の方は、別に自分が全く知らないハイテク分野のことや専門的な機械のことから手をつけはじめる必要はないのです。まずは自分の経験を投資に重ね合わせる作業をしてみてください。きっとその方が、相場に慣れるのは早いと思います。そしてその後で、知識を広げる作業をするのが良いと思います。一つのことを掘り下げるのも重要ですが、投資家は専門バカになってはいけません。ある程度の深さでよいから幅広い知識、ひいては「視点」を身につける方が投資家には重要です。突出した人材よりもオールラウンダー育成の教育を受けている日本人は、実は投資家向きなのだと思います。ノーベル賞受賞者の方々も専門バカは少なく、マルチな知識に富んでいる人が多いのは偶然ではないのでしょう。

長くなりましたが、今回はそんな「感覚」に関するお話でした。

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