【コラム】勝ち組ほど集団心理を利用する 〜実戦は順張り、情報戦は逆張り〜
皆さんは、沈没船ジョークを聞いたことがありますか?各国の乗客が乗っている客船が、今沈没の危機にあるとします。沈み行く船から乗客を海に飛び込ませなければならない時、船長は何と言って説得をするか、というものてす。どこの国の誰が言い出したかは知りませんが、なかなか的を射ていて面白いのです。一部を紹介すると、例えば、
アメリカ人には、今飛び込むとヒーローになれますよ、と言えばよい。
イタリア人には、美女が泳いでいますよ、と言えばよい。
フランス人には、絶対飛び込まないで下さい、と言えばよい。
イギリス人には、紳士はこういう時こそ飛び込むものです、と言えばよい。
ドイツ人には、規則だから飛び込んでください、と言えばよい。
日本人には、他の人はもう飛び込みましたよ、と言えばよい。
という具合です。ジョークなのでネタ要素も含まれていますが、完全否定出来ないところが面白いですね笑
時にコロナにしても、時代の変化についても、日本人の部分はよく当たってると思います。日本人は、物事の方向性を決めるまでが極端に遅いですが、一度決まってしまえば集団心理で躊躇なく突き進む生き物だからです。
例えば、先の第二次世界大戦もそうですね。集団心理の結果…日本人は当時の体制に上手く洗脳されてしまった、と言うべきでしょう。敗戦後も「社会のパーツとして機能できる人材」を目指した教育が進みましたので、この傾向はより顕著です。悪く言えば、人々が大衆化した時の思考力が弱く、もし間違った方向に導く指導者が上に立っていれば、結果はより悲惨なものになりやすい、ということです。
大手企業も集団心理に流されている
大手企業が総額460兆円を超す内部留保を溜め込み過ぎたことも、溜め込むことが正しいと認識していたからに他なりません。このコロナ騒動があっても、びくともしない企業は実は多いのですよ。
ある程度備えておくことは今回のような緊急事態のために必要ですが、平時からやり過ぎでした(もっとも、緊急時に首が回らなくなるくらい株主還元し過ぎたアメリカの航空会社は論外ですよ)。
使うべき時にお金を使えない。だから世界の国々と比べて経済成長率が鈍い…。国の借金の金額が世界トップクラスなのに、その実績はボンクラです。企業経営で言うところの、ROAが低いわけです。日本を代表する大手企業の意識がまず変わらないと、それに続く中小企業は変わらないのです。ここでは大手企業が指導者であり、市場の先導役ということです。ROAもROEも効率性を示す指標です。効率か非効率か、なんてことを考えない日本人が多いのです。それこそ集団心理で動いてしまうのは引き続き問題ですね。
もちろんコロナ禍でも非効率なのは一緒
今のような非常事態においては前列がないため、特に指導者は方向性を示しにくいでしょう。そう、「前列がないため」アビガンの使用もなかなか前に進みません。知見がないと、責任に対する恐怖が拭えないためです。でも、こういう意見もあるのですよ。
記事の後半で、本庶先生の言っていることは正しいと思います。どんどん使うべきだし、この人の合理的な思考はすごく心地良く感じます。ただ、少数派意見でしょう。
外出自粛にしても同じです。治療法が出てくるまでの時間稼ぎとしての自粛は必要でした。でもアビガンに加え、レムデシビルも出てきています。もう状況は変化し始めています。それでも大衆は「自粛こそ正しい」という方向性から動く気配がありません。しかしようやく、こういう流れになりそうです。
経済のことを考えれば、もう10〜15日は早く出来たと思います。それこそ、アビガン使用の始動とセットでね。
集団心理をバロメーターにする
私は一応投資家として、日本人の集団心理には可能な限り便乗しないようにしています。理由の一つは、進む方向性が定まるにも時間がかかり過ぎるからです。大衆心理が固まるのを待っていられません。投資家として、そのスピード感の無さは致命的になります。だから日本人が投資に疎いのも、気質によく表れています。
二つ目の理由は、大衆心理の方向性を決定する根拠となる情報は、いつも既に古いからです。我々が日々見聴きしているニュースは末端のもので、鮮度が落ちています。鮮度が良いうちに情報を消化できるのは、一部の人間だけです。我々の耳に入った時には、市場では既知の事実です。
だから今の大衆心理にある「自粛こそ正義」ムードに対しては、私は逆張りです。アール・ナイチンゲールの「大衆はいつも間違う」という言葉は、「ある意味で」正しいのでしょう。そもそも大衆という言葉自体に「思考力がない」という意味が付随されている、といつだったか学校で習いました。民衆や公衆とは厳密には意味が異なります。
しかし最後に言っておきますが、大衆の集団心理を上手く利用することは投資でも大切です。自分が大衆と同じ行動を取るのではなく、大衆がこう考えているから、次はどうなるか、を考えるのです。それが情報の使い方、というものですね。
言い換えると、大衆の行動は一種のバロメーターになります。大衆がいつも間違ってくれることは、我々投資家にとって参考になるのです。だから「ある意味で」と言ったのです。
大衆が批判している現政権だって、大衆を利用するつもりで政策を打っています。だから彼らには「サプライズ」を喰らわせてやらないと、なかなか政治は動いてくれないものです。本当に国民が政治を動かしたいと思うのであれば、安倍ヤメロ、を連呼するのではなく、まずは大衆から卒業しなくてはなりません。
時に狂気に成り得る日本人の集団心理ですが、コロナ騒動をきっかけにして、一気に新時代への方向性に集団心理を向けてほしいと思っています。そうなれば、こんなにポテンシャルのある国は他に存在しませんからね。今は古い時代との最後の闘いの時です。明治維新などの時もそうですが、しつこく最後まで古い体制と新しい体制は争うものですからね…。
集団心理に自分が巻き込まれずに利用する。これが大切なことです。
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