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【コラム】みんな意外と詳細を知らないリーマンショックを簡単に解説

今日は、こんなネットに記事が出ていました。

やはり未曾有の金融危機で連想されるのは、リーマンショックの時の嫌な記憶、というわけです。私は昨日の【雑感】で

『リーマンの時は不透明な要素が多かったのです。その時の様に連鎖的に何かが破綻していく、隠れたダメージが表面化する、という魔物がまだ隠れているなら恐いですが、今のところは見当たりません。』

と表現しました。今日はこれについて補足します。つまり、リーマンショックの時に何が起こったのかを説明しようと思います。最近投資デビューした人はおろか、私も当時はまだ投資家ではありません。辛うじて経済の勉強を大学でしていた頃ですね。

リーマンショックの概要

リーマンショックは、米国第4位の大手証券会社リーマンブラザーズの破綻に始まった一連の金融危機のことです。まず、当時のアメリカの状況ですが、住宅価格が上昇し、イケイケ状態でした。不動産価値が上がり、銀行はどんどん住宅ローンを人々に貸し出します。住宅が売れるから更に価格は上がっていく・・・こんな状況です。簡単にいうと、購入する住宅の価格が今後も上昇していくことを前提にしたシステムでした。

あまりにもイケイケなので、銀行は低所得者や移民にも、緩い基準、かつ初期の返済額を少なくする等の工夫をして貸付けを行っていました。これが「サブプライムローン」です。住宅価格は上がっていくことが前提なので、価格上昇分の利益で返済は出来る、という論法でした。

しかし現実には、2007年から返済に滞りが見え始めます。当然、債務不履行になると、家は銀行に差し押さえられ、売却されます。住宅の売却数が増加すると、住宅が余って更に住宅価格は下落し始めます。住宅価格が下落すると、低所得者がアテにしていた利益が出ませんので、更に債務不履行のスパイラルは加速します。システムが破綻したわけです。

問題が大きくなった原因は、住宅価格が崩壊したこと自体ではありません。リーマンブラザーズは「サブプライムローン」を証券化した債務担保証券(CDO)の一種であるモーゲージ証券(要はローンを払ってもらう権利)を大量購入していたのです。ローンの証券化の仕組みはこうです。

ローンの証券化と販売 仕組み

銀行は低所得者Aさんに住宅ローンとして1000万円を貸付けしたとします。通常なら、Aさんは銀行に利息分を含め1100万円を返済しますが、銀行は債権を証券化(CDO)し、リーマンブラザーズに1050万円で販売しました。証券(CDO)を買ったリーマンはローンの支払いを受け取る債権を持ちますので、Aからの返済1100万円を受け取ります。

この仕組みだと、銀行もリーマンも50万円ずつ利益を出すことが出来るわけです。だからリーマンブラザーズはCDOを大量購入したのです。リーマンがいくらでも買ってくれるので、銀行も緩い審査基準で住宅購入者に貸付けを積極的に行っていたわけです。

ちなみにローン債権の証券化は、実際には銀行ではなく、証券発行体(ペーパーカンパニー)が行います。

このCDOは高い利回り、かつ安定感のある商品として人気になったので、一時期はリーマン以外にも買い手がたくさんいました。厄介なことに、このCDOはサブプライムローンの債権を含め、様々な債権を組み合わせた仕様になっていて、多少ゴミが含まれていても格付け評価は高かったのです。そのため無警戒のままこれが知らぬ間に世界に行き渡っていたので、ダメージの把握が難しかったのです。だから不透明感が強かった、と表現したのです。世界中に散ってしまうと、どこにどれだけゴミが紛れ混んだのか、なかなか把握できるものではありませんからね。

さて、サブプライムローンの延滞率が上昇すると、このCDO価格は当然低下するわけです。リーマンブラザーズは安くなったところを買い増しさえしていました。こうして、リーマンブラザーズの買ったモーゲージ証券は不良債権と化し、破綻したわけです。

リーマンブラザーズが破綻しただけで終われば良かったのですが、実は魔物が隠れていたのはここではなくて、レポ金利市場だったのです。

レポ金利市場とは、投資銀行が保有証券を担保にして資金供給者から資金を調達する場です。暗黙的に、担保になる元本は保証されることになっています。しかし、担保にしている保有証券にゴミが混じっていることが明らかになったため、その暗黙が崩れるわけです。資金供給者は資金を引き上げて逃げますので、マネーの流れが止まりました。それで各国は資本を投入せざるを得なくなったのです。このパニックがリーマンショックの本流でした。

ちなみに、日本にはこのCDOはあまり入っていなかったようですが、円高というしわ寄せを喰らった格好になります。1ドル=80円の時代ですね。

今回のコロナ騒動でも、先に挙げたようにサブプライムローン問題が再燃するのではないか、という懸念が湧くのは当然かと思います。実際のところどうなのでしょうね。名前を変えて似たような商品は存在しているようですが、過去の反省を踏まえてアメリカはドル不足に早急かつ大胆に対処しました。このニュースも、一般の住宅ローン証券のことを言っているようですが、それについては対応策が3月に発表されていたと記憶しています。全くマークしていないことはないでしょう。

なにより、今回はウイルスによる混乱ですから、原因はある意味明確なのです。ワクチンなどの開発が進めば、一気に回復傾向を目指す可能性もあります。

まだまだいろんなネタで揺さぶりがあると思いますが、一つ一つ対処していくしかないでしょう。

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