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地方高利回り投資とは何か? ①運用益と転売益の点から

5回に分けて、私の得意とする地方高利回り投資について説明します。一連の連載で、地方高利回りの長所短所を検討する際、都内の一棟と比較した方がわかりやすいので、その都度引き合いに出してお話しします。

最初の2回で投資目的から地方高利回り投資を検証します。投資目的は①運用益②転売益③資産形成④節税の4点に着目していきます。残りの2回では、実際に不動産投資に取り組む際の、段階ごとでの地方高利回り投資の特徴を確認します。最後の1回で結論と考察を述べます。

では早速、①運用益と②転売益の点から見ていきましょう。

①運用益


言うまでもなく、運用益は収益不動産の主要な目的です。通常、利回りという数字で表されます。
 
不動産投資は、その名の通り投資である以上、手残り額、すなわちCF(税引き後の利益)が重要です。しかしながら意外とこの点は軽視されがちです。実際、私も講演などで自己紹介する時に、投資総額でいくら、銀行融資でいくらと自慢げに話すことがあります。

ざっくりと地域別の利回りの目安をお話ししますと

・都内主要3区(千代田、中央、港):2~3%➡運用赤字/資産形成大
・23区内:4~7%(東西に偏りあり)➡運用赤字/資産形成期待
・1都3県(16号内)10%未満➡運用へたすると赤字/資産形成期待
・1都3県(16号外)12%未満➡微妙に黒字/資産形成微妙
・地方:12%以上➡黒字/資産形成期待薄

となっています。大体の目安と思ってください。

また、収益に関しても、都内では1億投資してCFが100万円から150万円と言われてます。これに対して、地方では、私の場合には地方物件で500万円以上は行きます。もちろん、所得税によって大きく変わりますが。

ここから明らかなように地方の方が圧倒的に運用益が高いと思われます。この点、空室が多いので比較にならないと言われる方がおらますが、私の言う利回りは、物件概要書に書かれている利回りでなく、近くの不動産屋3店舗に飛び込み、満室にできる家賃から割り出した家賃を基準にした利回りです。

また、地方の利回りが高いのは、 リスクが高いから高利回りだと言われる方もおられます。この批判は、ある意味正しく、ある意味間違っています。
地方と都内では、建物の値段は同じだとしても、土地値が安く、都内の10分の1以下、場合によっては100分の1以下の値段で買えます。それに対して、家賃は10分の1以下にまではなっていない場合がほとんどです。すなわち、地方と都心との利回りの差は、その危険のリスク多寡でなく、土地値の多寡に起因していると見れます。

中には、利回りバカとか利回り星人とか言って高利回りを求める買手をバカにする不動産屋さんがいます。私も何人も見てきました。しかし、そういった人は高利回り物件を提供できない不動産屋自らの力不足を笑うに等しい行為と言えるでしょう。投資である以上、より高収益を求めるには当たり前のことです。

以上のように、不動産投資も投資である以上、運用益が重要です。この点、地方では、利回り15%以上がゴロゴロしています。反面、都内では、10%以下が当たり前です。10%以下では、運用益自体を出すのが難しいと言わざるを得ません。

この点、入居付けが安定しているから都内は10%以下でもいいんだと思われるかもしれません。しかしながら、10%以下では、たとえ満室でも運用益を出すのが難しいと思われます。長期的にみた時、いずれ行うであろう大規模修繕を勘案すると、かなり厳しいのではないでしょうか。

いわんや、5%以下では確実に赤字でしょう。ただ、これらの物件を購入される方々は、運用益を期待していません。次の、転売益などを目的として購入されていると思われます。

②転売益

大家の集まりで時々へこむことがあります。都内投資を行っている方々が、
「手持ちのRCを売却したら、5000万円利益が出たよ。」といった話を聞くときです。地方投資の場合には、売却でそこまでの利益を出すのは難しく、運用益で5000万円も出すとすると10年はかかるでしょう。このような話を聞くと私は自分の手法である地方一棟が失敗だったのでないかと思うことがあります。

しかし、それはそれでいいのだと納得するようになりました。都内投資で儲かった方は、リスクを踏んで、賭けに勝った方々だから、リターンも大きくていいのだと思います。

一般に、地方投資の方がリスクが高いと言われます。しかし私はそうは思いません。むしろ、都内投資の方がリスクが高いと思います。実際、地方の利益は、運用益が80%ぐらいです。人口減少しているとはいえ、その運用益はそれほど変動しません。ジワーと下がることがあっても、いきなり急激には下がりません。

これに対して、転売益は、運用益に較べて激しく変動します。現在は、アベノミクス以降の流れで微妙に上がってきて安定しているように見えますが、転売益はもともと変動が大きい本質を持っています。1991年から1993年のバブル崩壊や2007年から2009年のサブプライムショックの時を思い出してみてください。あのとき、値落ちはかなり激しかったと記憶してます。これがまさに都内投資のリスクです。

都内は運用益での利益は20%で、転売益での利益が80%ぐらいをイメージしてくだい。転売価格が大きく変動することを考えるとリスクが大きいのです。なので、変動の少ない運用益を主とする地方より、変動リスクが高い売却益によって立っている都内の方がリスクが高いように思われます。こういった都内と地方の利益構造の違いを意識しましょう。

もちろん、地方は人口減少が激しいので、転売価格は基本的にマイナスに変化しますが、ゆっくりとしたスピードできて、かつ、当初から想定されていることですので、もはや、リスクとは言えないと思います。

なお、売却に際して、地方の物件は難しいが、都内の物件だと容易だと言われることがあります。確かに、地方は融資がつきずらいので、売却も相対的に難しいのに対し、都内一棟は買主に融資が付易いですが、スルガ問題以降は2~3000万円の頭金を要求されます。あなたがそういった高額の頭金を用意できるのなら是非都内投資をと言いたいところですが、普通にサラリーマンをしていて、そんな大金を用意できる人は少なく、立ちはだかるハードルはかなり高いです。

この記事を書いた人

中島亮(なかしまりょう)

中央大学法学部卒。法務博士

主に地方の一棟アパートを購入する個人不動産投資家。
サラリーマン15年目にアパート投資を開始。
その後、6年間で10棟93戸を購入し、退職。

現在、39棟383世帯所有。年間賃料19,000万円超え。キャッシュフローは実質3,000万円を超えている。大家向けN塾主宰


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