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その4.パープルオーシャン領域を攻めているか?【新規事業・新商品開発における10の法則】

4つ目のポイント「パープルオーシャン領域を攻めているか?」について解説する前に、まずはブルーオーシャン戦略の誤った理解のお話をさせていただきます。


ブルーオーシャン戦略の誤った理解

さて、ブルーオーシャンとはこのように理解されている方が多いのではないでしょうか。

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競合だらけの真っ赤な海。
そして、競合がおらず利益(お金)がザクザクと埋まっている青い海が存在する。そして競合がいない青い海を探さないといけない、これがブルーオーシャン戦略であるという考え方です。

実は、ブルーオーシャン戦略の本に書かれているブルーオーシャン戦略とは、このような考え方ではありません。

詳細は本を読んでいただきたいのですが、一言で言うと、「差別化をしながらコストを極限まで下げる」という考え方です。差別化しながらコストを極限まで下げるので、後から競合が入ってこれないのです。
そう、ブルーオーシャンを探すのではなく、ブルーオーシャンを創る、というのが、ブルーオーシャン戦略の基本的な考え方なのです。


これだけ変化の激しい時代において、ブルーオーシャンはなかなか見つかりません。いや、ブルーオーシャンなど存在しないと考えても良いかもしれません。

では、どのようにすれば良いのでしょうか。

そのための対策が、「パープルオーシャン領域を見つける」という考え方です。パープルオーシャン領域とは、このイラストに示した、青い海と赤い海のちょうど真ん中、紫色のゾーンを示します。
このパープルな領域を見つけて、ここを攻めていくというのがパープルオーシャンの考え方です。


パープルオーシャン戦略

突然ですがクイズです。この絵の中にパープルオーシャンがあります。
それはどこでしょうか?

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正解は、こちらに示した紫色のところです。

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電車に乗っていると、このようなスペースを見かけたことはないでしょうか。
一人分は空いていないが0.7〜0.8人分が空いている。そして、シートとシートの継ぎ目で少しコンディションが悪い。なので、座ろうと思えば座れるが、なんとなく誰も座らないスペースが存在します。

そしてビジネスにおいてもこのように、0.7~0.8人分が空いている、このような領域がパープルオーシャンです。


もう少し電車を例に、解説を進めましょう。
なかなかこの0.7~0.8人分のスペースに座る人は少ないかもしれませんが、勇気を持って座ったとします。
そして、スマホを広げながら電車が少し揺れた瞬間に腰を後ろに沈めて、だんだんと自分のスペースを確保していく。

また、実際にはやってはいけませんが、このスペースに座って、大きな声で歌を歌ったら何が起こるでしょうか。
おそらくびっくりして、隣に座っている人たちは次の駅で降りてしまうかもしれません。
ビジネスでいうと、競合が撤退してくれたという状況になります。


理由はよくわかりませんが、ビジネスにおいても、0.7~0.8人分の空きスペースが存在することが多いです。そして。0.7~0.8人分の空きスペースを見つけて、そこに勇気を持って参入していく。
先ほどの電車で歌を歌う例のように、先に座っていた人が考えもつかないようなことをやる、そうすると事前に参入していた人たちがびっくりして撤退していく、このようなことを繰り返していくのがパープルオーシャン戦略という考え方です。


「そんなことが可能なの?」と思われるかもしれませんが、いくつか例を挙げて説明します。


パープルオーシャン戦略の事例1:タクシー業界

まず1つ目は、タクシー業界です。
タクシー業界は、ドライバーの確保、車両の確保など非常に固定費がかかるビジネスです。よって、新規参入はなかなか考えられませんでした。

このタクシー業界に0.7~0.8人分のパープルオーシャン領域を見つけて参入していったのが、Uberという会社です。

スクリーンショット 2021-09-03 18.01.07Uber Technologies, Inc. 公式ホームページより引用
https://www.uber.com/


Uberは、一般のドライバー、そしてその人が所有する車両をタクシーとして使ったのです。
スマートフォンのアプリを利用して、タクシーに乗りたい人とタクシー事業をやりたい人をつなげるというビジネスを確立しました。
車両の確保等が必要なく、固定費を極限まで抑えながらタクシー業界に参入することができたのです。Uberはこの市場に参入するときに、ドライバーを確保するため、ドライバーの候補者にお金を渡しました。お金をあげるからドライバーをやってくれない?と勧誘したのです。
先ほどの電車の例でいうと、電車の中で歌を歌うのと同じ考え方です。

結果として何が起こったでしょうか。

ユーザーから見れば、Uberはとても便利なサービスです。乗りたいときにスマホで探せばすぐに車が来てくれる。そして価格弾力性も高いです。利用者の多い繁忙期に価格は高く、そして利用者の少ない閑散期には価格は低いという風に、その時の状況に応じて価格を弾力的に運用することができます。
また、決済も非常に簡単です。
事前にアプリで登録しておけば、タクシーを降りたときにスマホで決済が完了している。キャッシュレスな対応を可能としています。
現在はUberの進出により、タクシー会社の方が撤退するという状況が起きています。
これはパープルオーシャン戦略の一例と言えるでしょう。


パープルオーシャン戦略の事例2:ホテル業界


他の例を見てみましょう。
2つ目はホテル業界です。

ホテルも、土地の取得、ビルを建てる、また、ホテルがオープンした後の空室、回転率を考えないといけないとても難しいビジネスです。よって新規参入はなかなか考えられませんでした。

そこに登場したのがAirbnbというサービスです。

画像5Airbnb Global Services Limited 公式ホームページより引用
https://www.airbnb.jp/


一般の人の部屋をホテルとして利用する。
自分の家に空き部屋がある人、そこをホテルとして利用するという考え方です。

ホテルに泊まりたい人は、スマートフォンでAirbnbで空いている部屋を探しそこに泊まる。すなわちこのビジネスモデルは、土地の取得もホテルの建設も要りません。参入コストを極限まで抑えて、ホテルビジネスをすることを可能にしました。
そう、ホテルというビジネス領域において、0.7~0.8人分のパープルオーシャン領域を見つけたということです。

このように、新しいビジネスもしくは新商品の開発においては、競合がおらずお金がザクザク埋まっているブルーオーシャンを探すのではなく、0.7~0.8人分の空きスペース=パープルオーシャンを探すということが非常に重要です。

私の経験においては、どの業界においてもパープルオーシャンは存在します。

しかし大事なのは、どの領域かを確定しないとパープルオーシャンは見つかりません。漫然とパープルオーシャン領域を探していてもなかなか見つからないのが実情です。
電車でいうと、山手線に乗るのか、千代田線に乗るのか、銀座線に乗るのか、乗る電車を決めておかないと、そこのパープルオーシャンは見つかりません。
一方で、変化の早い現代においては、一両丸々空いているブルーオーシャンはもはや存在しないと考えた方が良いでしょう。
みなさんにできるのは、0.7~0.8人分の空きスペースを探すという戦略が非常に有効と言えます。



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