Nさん

経済学部卒業。 環境問題に社会科学全般からアプローチをしようと模索中。

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最近の記事

中尾ハジメ編 『原子力の腹の中で』より、原発を不全技術とする理由。

東日本大震災という災難に見舞われた2011年に刊行された一冊。本書は、かつてスリーマイル島への取材経験をもつ環境社会評論家・中尾ハジメ(1945-)をメインに、原子力問題に関心のある研究者・ジャーナリストらが集い語り尽くした(座談形式)内容となっている。 この記事を書いている時点で、既に震災・原発事故から10年以上が経っているが、本書の議論をたどることで、3.11直後の混乱を、再体験するような感覚にさせてくれる。事故以降の政府・メディアが何を発信し、それに対する人々の反応な

    • リップマン 『世論 (上)』 を読む。

      1922年に刊行されたメディア論の古典。若くして第一次大戦時に政治の場において世論操作に関与、後にメディアの御意見番として活躍したウォルター・リップマン(米国人 1889-1974)の主著。人間が如何に「ステレオタイプ」な価値観に囚われてしまうかを豊富な事例を用いて説明し尽くす。 「われわれはたいていの場合、見てから定義しないで、定義してから見る」(本書111頁)というフレーズは有名。なぜそうなのか、そこには「労力の節約」と「立場の保全」という大きな理由がある。新聞やニュー

    中尾ハジメ編 『原子力の腹の中で』より、原発を不全技術とする理由。