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「怖い先輩の存在」は都市伝説なのか?

以前「看護師の先輩が怖すぎる問題」について
ひとつ動画をつくったんですが
そのデザート記事として。


結論から言うと、「怖い先輩」というのは、圧倒的に急性期畑に多いです。

教育熱心かどうかとか、情熱があるから怒るとかそんなカッコいいもんじゃなくて、シンプルに、新人のミスが命に直結するからです。

ギリギリまで見守ることができないのも、このせいです。
急に大きな声を出して新人を怒鳴ったり、
勉強不足だったらその業務ごと干す、
「やらせない」という対処をするのもそのためです。

逆に、

慢性期や回復期、療養型の病棟では、ここまで厳しくする必要がない。
だから、新人の限界を超えるような怖い先輩は「居ない」のかもしれません。

なにそれ・・・?慢性期ディスってる?
って怒らないでください。

面白い実例を紹介します。


中央研修で、2年目を対象にリーダーシップについて講義・グループワークを担当したときのことです。

ER・ICU・そして療養型病棟ナースが、それぞれ発言している場面です。

ERナース
「自分が決めたこととか、やろうとしてることを、やる前に先輩に正されたり、指導されたりするときってテンション下がるよね。そういうときって、どうやってモチベーションを保ってる?」

ICUナース
「そんなん毎日ですよ。色んなこと考えて業務を割り振っても、全部怒られてやり直し。くっそー!!ってなりますけど、でも自分が足りないんだと思ってます。」

療養型
「え・・・私、先輩にそんないちいち正されたりしない。わからないことは訊けば教えてくれる。怖い先輩なんて居ないからなんでも訊けるし・・・。大変なんだね、ICUもERも。」

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聞いてて爆笑してしまいました。
全然グループワークが成立してません。
このギャップ。最高です。

これは、完全に領域の違いによるものです。

ICUなんて、超急性期です。
1分たりとも血圧の変動を見逃せない、5分後には別の病態が発症する可能性がある場所です。

ERも同様。
今初めて初療にやってきた患者に何が起こっているのか、
循環・呼吸をハイスピードで確保しにいきながら、
すべての精査を同時進行でやります。

それに対して療養型・慢性期・終末期など、経過が長い病棟のナースは、
そんな短くて細かいメモリの物差しで仕事していません。
掲げているビジョンは、ここから1ヶ月、半年、もっと長い数年先まで見据えた「患者のQOLや尊厳の維持・向上です。

今目の前でミスをした後輩にいちいち短気にキレる、行動を正す、なんて感覚で仕事をしているわけじゃありません。

そもそも、新人や若手に対して「NG」とするラインって、
急性期と慢性期では全然違うんです。


でも新人は、特に新卒で入職してくるスタッフは、みんな同じスタートラインに立ってそれぞれの部署に配属されるので、こうして中央研修で集合した時

「ICUの先輩キツ・・・」
「ERの教育こわ・・・」
「そっちは優しくていいな〜・・・」

ってなります。

超絶ほほえましすぎてニヤけるレベルです。

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結論:
・怖い先輩は「都市伝説」などではなく、実際に現代でも存在します。
・「今ミスったら今ヤバイ!」ってタイミングでは大きい声も出します。
・急性期畑には怖い先輩が多い、ってだけで、全然優しい人も居ます。
・なので急性期で優しい先輩は、神扱いされます。
・あくまで割合、確率の問題です。


こういう、扱う病期による職場の空気感の違いも、扱ったら面白いテーマかもしれません。

急性期と慢性期の違い
外科系と内科系の違い
老年と小児の違い

フィールドは多岐に渡ります。
そして当然、自分の掲げるマインドやビジョンに近い空気感の場所で、
仕事をすることがオススメです。

性に合ってるかどうかは、何よりも大切です。


Nバクでした。


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