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私が初めての転職を決意した瞬間

私は新卒の時、救命救急を希望した。
そもそもその病院に就職したかったのも、3次救急をバリバリに取ってたからで、救急以外は全然考えてなかった。

やっぱり救急車からストレッチャーで降ろされた
生死をさまよっている血だらけの患者を
全員で「1,2,3!!!」と声をかけてベッドに移す感じとか
(※テレビの見すぎ)

服をジョキーーーーっと切っちゃう感じとか
(※テレビの見すぎ)

気道確保・循環維持・いわゆる救命処置を行いながら、
同時に検査と治療と観察と診断が一気に起こるあの空気感とか
(※味わったことないのに知ってる風)

なにより

医師と看護師と救命士、検査技師、色んな職種の人が入り乱れて一人の患者を囲む空間に、自分も居たいと思ったし、素直に憧れた。
(※あくまでこの時は憧れただけ)

でも私が新卒で採用になったのは手術室で

「しゅ・・・・しゅ・・・?!」ってなったし

もう想定外過ぎて
何からどう勉強すればいいかわからないし

絶望した。

のも、つかの間・・・

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手術は手術で
誰も見れない体の中の出来事が
全て数十センチの距離で見れるし
何よりこれぞ治療
これぞ根治のための唯一のアプローチなんだから
ここが一番おもしろいに決まってる!
と思うようになっていた
(※恐ろしく順応するタイプ)

順調に順応し
イケイケだった3年目くらいのある日

骨盤骨折の創外固定術のオペ後
特に問題なくオペも終了し
バイタルも安定
ICUに返す必要もないレベルにいい感じだったので
帰室先は予定通り救急病棟

という患者が
手術室から退室する直前に急変

Vf

心臓の手術では
人工心肺から離脱する時によく見る波形で
実際の生の心臓がどんな動きをするか、という所まで知っている
研修とかではまず教えてもらう不整脈の王様だし
知らない人はいないVf=心室細動

でもその時
一緒にオペに付いていた13年目の先輩と私は
2人揃って数秒固まった

「え?心電図おかし・・・剥がれてる?え?」

くらいのテンションだったと思う
血圧なんて全然見ていない

そこで救急の医師と麻酔科医は2人でハーモニー絶叫

「Vfだ!!!!DC!!!!!!」


叫ぶと同時に救命医の方は患者に飛び乗って胸骨圧迫を始める

若かった。
まだ24才だった私は、
若いだけの反射神経で、
その先輩より先に身体が動いていた。

でも怖かった。
何か言われるまで、まるで何もできなかった。
数秒間も固まったまま、
何も自分の頭で考えられなかった。

2回DCでショックを与えると、無事心拍は再開したけど
DCのダイヤルを回す手は
ガタガタと震えまくっていた

心臓血管外科の手術では何も考えずに操作していたDCが
まったく別の機械に思えた

隣に居たオペ室一筋の大先輩は
まだ固まっていた

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手術に付けても、命は救えない。


これが私が最初に「転職」を意識した瞬間だった。

すでに
「手術」という領域の魅力を十分知っていたし
その楽しさややりがいを、いつも熱く語っていたし
別に手術室をずっと極めてもいいのかなぁ
なんてボンヤリと考え始めていた3年目の私に
強烈な雷槌が落ちた日

異動希望は絶対に通らないことも知っていた
周りには8年、10年、15年と
その職場にずっといる先輩が沢山居る

年間6000症例のマンモスオペ室
一度育て上げたスタッフをそんなに容易く捨てられないのはわかる
1000床以上の大規模急性期病院のオペ室
魅力は沢山あったけど
私が想像する自分の10年目の姿は
そこに無かった

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そんなこんなで
そこから2年働いたのち
看護師6年目からのキャリアを
「救命センター」でスタートさせることになる

またいつかに
つづく。

Nバク





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