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UKっぽさ、USっぽさ

言語化できない国の違い

私はどちらかといえばUKロックが好きなんですが、それはなぜかといえば、やはりビートルズと1984年のバンド・エイドの影響が大きいわけで。ただ、USロックとの違いをどう認識しているかというと、なんとも言語化できないところがあるわけで。不十分かつ無理は承知で書いてみると、UKはどこかダークでメランコリックなところを潜めている感じでUSはもっとストレート、シンプルといった感じ。うん、やはり例外も多すぎて説明できていない。
ただ、音を聴くと瞬間的に両者の区別がつくのは確かで、この辺りは不思議なものがあります。

なぜか両者を取り違えたアーティスト


そんな中、UKとUSを取り違えた例は滅多にないわけですが、そんな稀有な例を。

ジョン・ウェイト
ご存知、元ベイビーズ、バッド・イングリッシュでソロでも成功を収めたロックシンガー。この人はUK出身なんですがなぜか割と最近までUS出身と思っていた人。
サウンドや歌い回し的にアメリカン・ロックの影響が強いと思ってUS出身と思っていたんですが、考えてみればベイビーズ時代に「ユニオン・ジャック」なんていうアルバムを残していたくらいなんで、気づかない方がどうかしていました。
ただ、個人的にトップクラスに好きなロックシンガーの一人なんで、そこまで惹かれる理由にはUKらしさを感覚的に感じ取ったのかもしれません。

シーナ・イーストン
私がシーナを知ったのは日本のテレビCM(宝酒造)で「ストラット」が流れていたこと。同シリーズでは「素敵な悪魔」も使用されており、それ以前では例のノエビアのCM(なぜかノエビアは当時洋楽曲をふんだんに使っていた)で「マシーナリー」や「ア・リトル・テンダネス」も使用されていた模様。

その後、彼女を見かけたのは85年のライヴ・エイドのアメリカ会場に出演していたときで、その印象もあってかUSのシンガーと思ってました。最初の大ヒット曲「モダン・ガール」や「モーニング・トレイン」を後追いで聴いても、「典型的なアメリカン・ポップス」というイメージを持ってしまい、さらにプリンスとの共演も多かったおかげで完全にUS出身と勘違い。

ゴー・ウエスト
「ウィー・クローズ・アワ・アイズ」や「キング・オブ・ウィッシュフル・シンキング」のヒット曲を持つデュオですが、彼らの場合はUK出身と知っていたものの、逆にどこかUSっぽいなと感じていました。
UKニューウェーヴの流れを汲んだエレポかと思いきや、初期のヒット曲「コール・ミー」のサウンドの風通しの良さ(FMっぽいとも言える)も含め、開放感のある感じにUK的な暗さが全くないと感じていました。後にボビー・コールドウェルの「風のシルエット」やテンプテーションズの「ボール・オブ・コンフュージョン」のカバーをやっていたあたりもAORやソウル的でUSっぽさに拍車がかかったようなイメージがありました。
UK系のアーティストにはスティーリー・ダンあたりの影響を直接的に感じさせる一派がいますが、それともまた違う感じが彼らの魅力でした。ファーストに入っているこの曲などは、USとUKの良いところを入れ込んだような名曲。

興味深いことに、US系のアーティストをUK系と間違った例はないんだなぁ。なぜなんだろう。

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