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闘う人の仕込みの細かさを目一杯楽しんだ日(2024年5月18日、新日本プロレスを観戦して思ったこと)

 この日は高橋ヒロム選手の地元大会、売り上げの一部を八王子市に寄付するというチャリティー大会でもあった。

 市長に目録を渡すセレモニーの後、ヒロム選手は一人リングに残って「声小さいんじゃない?」と会場を盛り上げる。ラフなTシャツ姿のままでマイクを握るヒロム選手の背後に、SHO選手が襲い掛かり、手錠をかけて連れ出してしまった。

 まさかメインイベントまでヒロム選手はこのままなのか……? ざわめく会場に鳴り響く「Sky High」。ベストオブザスーパージュニア名物にテンションは上がる。

 藤田 晃生選手がクラーク・コナーズ選手からタップアウト勝利をもぎ取り、ドリラ・モロニー選手がドラゴン・ダイヤ選手を4分ちょっとで一撃必殺と言わんばかりにフォール勝ち。金丸 義信選手のえげつない膝攻めを受けながらもHAYATA選手が勝ちを収めた。

 そして迎えた第4試合、DOUKI vs ニンジャ・マック。日米忍者(モチーフ)対決! 声援合戦、忍術(?)対決を経てDOUKI選手のイタリアンストレッチNo.32が炸裂、見事ギブアップ勝利を決めた。
 BUSHI選手がTJP選手を2分55秒で降し、KUSHIDA選手の全勝をロビー・イーグルス選手が止め、ティタンvsブレイク・クリスチャンの全勝対決はクリスチャン選手が勝ちを収めた。フランシスコ・アキラ選手が石森太二選手の全勝を止めた試合は、私もちょっと喉が痛くなるくらいアキラコールをしていた。続くセミファイナルではエル・デスペラード選手をひたすら応援するも、ケビン・ナイト選手の勝利に放心。

 そしてメインイベント!
 ヒロム選手選手の入場曲がかかり、静かに入場してきたのはSHO選手ただ一人。ご丁寧にちゃんとフレームに入れたヒロム選手の写真を手にリングへ上がり、しおらしい表情で、
「今日出場を予定していたヒロムさん、ちょっと来れなくなったみたいなので、手紙を預かって来ました」
 トーチャーツールでリングアナを脅して手紙を代読させる。
「私、ヒロムちゃんは、偉大なIWGPジュニアヘビー級チャンピオンのSHO様との対戦に、恐れを抱いてしまいました。地元八王子で惨敗し恥をかきたくないので、今日は一足先に実家へ帰らせてもらいました。……」
 会場はブーイングの嵐。あくまでも神妙な面持ちのSHO選手は、
「実家で療養しているヒロムさんに、大ヒロムコールをお願いします! ヒロム! ヒロム!」
 と畳み掛ける。
 そこにヒロム選手が駆け込みSHO選手を急襲。なんと、手錠は掛けられたまま、顔やTシャツに落書きされているという無残な姿のヒロム選手。見かねたレフェリーが手錠を外す鍵を探してこいとヤングライオンに指示するも、なかなか見つけられずリングとバックステージを何往復もすることに。
 その間、ヒロム選手は両手の自由を奪われたまま場内を駆け回り、リングアウトの危機を回避し、SHO選手に打ち掛かる。バックステージからやっと鍵が届くと、ヒロム選手の反撃開始。攻撃を畳み掛けた矢先に高橋裕二郎選手乱入! 安定のHoTクオリティで追い込まれるヒロム選手を助けるべく、BUSHI選手も乱入!
 八王子市(での大会)に集った人々の心は一つ、ヒロム選手がSHO選手を仕留めるところを見たい!
 期待に応え、ヒロム選手が見事にSHO選手をとっちめて勝利を決めてくれた。

 勝利後のヒロム選手のマイク、
「八王子、いや全国の皆さんに謝れバカヤロー!」
 まで、思えば第1試合開始前から仕組まれていたというか、主にSHO選手があれやこれやの小道具を仕込んだからこその展開だった。
 SHO選手がヒールレスラーとしていい仕事をしたことは間違いないだろう。

 そんなことを思った試合だった。

 さて、次はどんな試合を観られるかな。

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