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摂食障がいの克服264【唯一】

 今朝、仕事の事前準備をしよう。

 そう思って実際読んでいたら、やっぱり嫌になってしまって。
 明日は仕事だし、また1週間やってはいける。

 頭の中で明日から土曜までのスケジュールを一つ一つ確認をして、そう思います。無責任には仕事上は、ならないので…不可能なぐらいのお仕事であれば、また不可能なぐらいに準備するのですが、不可能なぐらいのお仕事は一応今週はなさそう(多分)。

 それでも資料を読んだりはやはりしていました。

 嫌になったからといって、明日の仕事からは今は逃げられないから。

 今は柔道を観ています。

 この2、3日で色々な曲や小説のあるフレーズが思い浮かんでいて。
 今朝、『眠れるラプンツェル』のお話を書かせて頂いたのですが。

 【ホリーガーデン】何度も書いており、恐縮です。

 江國香織さんの『ホリーガーデン』は、山本文緒さんの大好きな作品の数々に並んで、また江國香織さんの『左岸』同様に大好きです。

 28歳の果歩。5年前にひどい失恋をします。当時付き合っていた男性には奥様がいたと聞かされていたのだけれど、実は彼は、独身だった。
 一番、恋愛の最中にいたときに、彼は自分に誠実ではなかった。

 それが果歩の心をおかしくさせる。
 スイートホリックという甘いものを作って食べ続けて吐くという、摂食障がいに陥ります。

 5年後。波風を一切立てないように果歩は暮らす。
 朝ごはんには、バターをたっぷりつけたトースト。どっさりのフルーツ。それから紅茶。
 お昼ごはんには手作りのお弁当。
 果歩は夕食はひとりで摂らないと決めているので、女友達(という名ばかりの。特定の人はだれ一人いない。誰でもいい。女友達なら誰でもいい)のためにお料理します。

 3時に眠り7時には起きて、9時前のバスに乗り出勤する。
 ルーティーンとともに生きる。
 そんな果歩の同僚の中野君が、果歩を好きになるのですが。
 
 果歩ぐらいの経験をしていると、中野君の愛は届きにくい。

 果歩の親友の静江は一方、現在(というか28歳時点で)奥様がいる相手と恋愛中です。最初に付き合った相手は同級生。二人目は同僚。3人目がその、もう、運命の人らしい(でも相手には奥様がいる)。

 果歩にも静江にも非常に共感するために、昔から今まで好きな小説です。

 果歩の過去も今もヘビーだし、静江もまたそうなので、今まで健全に育った中野君がいくら果歩を好きでも、やはり難しいと思う。

 果歩に今本命はいないけれど、適度に自分を保つために、会える誰かがいる(絶対的に孤独になる恐怖はやはり、回避すべき何かなのでしょう)。

 それが時に、異性の誰かであり、また不特定多数の誰かである女友達である。果歩が1対1で向き合っている、それはもうこの小説では静江ぐらい。そして、中野君なのかもしれません。

 中野君は果歩が好きだから。すごい健全に果歩のことが好きで。
 それで、果歩も徐々に癒されるのですが、ある日静江に言われる。

 『中野君は、保健室じゃないのよ』って。

 これ、すごい刺さるなあと私もいろいろ考えて思ってしまって。

 果歩だって、いずれもしかしてもう一度誰かを好きになるかもしれない。
 静江はそれを知っていて、中野君を気遣う。

 保健室にずっといては、前には進めない。

 けれど、いつしか、保健室である中野君を果歩は必要としている、そう気づく、そんなシーンでこの小説は終わるのですが。

 というより、果歩と中野君のハッピーエンドでないと納得はいかない、そう信じて今で20年ぐらい。でももしかして、果歩には果歩の、中野君には中野君の未来があったのかもしれない。

 それぞれの経験を糧に。

 初めてそう思いました。

 孤独な私なのですが、今日私を心配してくれた誰かと色々話をしていて。
 案外、本当にそれぞれに心配してくれていて。ありがたいなあと思った。

 今日業務スーパーに行ってきました。
 それで、ハンバーグとか、ネギとウインナーの炒め物(オリーブオイル使って)とか、あとはラタトゥイユ作ってみました。
 保存もできるから。

 毎日誰かにご飯を作る(ちょっと前まえしていた)ことが、できなかったので、それはそれでなんというか、見かけは不細工でも一歩。

 でも、心は一歩も進んでない。
 
 誰かがいるから、がんばれるって、あるあると思えて。それが、中野君にとって果歩。静江にとって好きな人。

 それって、今、現在、話している。そういう英語でいう現在進行形じゃなくて。

 ずっとある。そういう現在完了形というか。ずっとあって、今もあるというか。そういう、繋がりを、きっと人は求めているんだろうと思いました。

 今日も心配してくれた人と話ができて嬉しかった。

 
 

 

 


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