アイスクリームフィーバーを観た日
昨日、『アイスクリームフィーバー』を観てきた。
点ではなく、線あるいは面としての体験ができたので記録しておく。
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正直邦画はあまり観ない。
こんなに惹かれるのにもかかわらず、観終えてから(お洒落でいけ好かない。わたしと関係のない世界だ)なんて感じてしまったらどうしよう。そんな不安があった。
でも一つ前の記事に書いたように(わたしが観に行かなくてどうする)という感情も確かにあって。
実際にどんな感情を抱くのか確かめにいこうじゃないかと思い、渋谷に向かった。
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映画館に着いて、パンフレットを購入。
脚本付き!ということを知ってデザインのコツも購入。
別になにか演技に関わったことは無いのだけど脚本が好きだ。
中学生の頃、ドラマをワンクールレンタルするだけのお金がなくて見逃したドラマの脚本を買って読んで頭の中で補完していた。もちろんその後再放送や大人になってから映像で観てみると(あれ?!そういうことだったのか!)と映像作品は映像で観た方が面白いということに気付くのだけれど。それはそう。
閑話休題。
これから公開される映画のチラシを出演者の方から直接手渡ししてもらう。
シネコンではなかなか体験できないのでわくわくする。新しい世界に来たのだなという期待が膨らむ。ライブハウスでチラシをもらうのと少し似ている気がする。
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画がずっと美しい。かっこいい。
背景と登場人物の服装がリンクしていたり。登場人物それぞれの服装、髪型の違い。
場面によってリップの色が違ったような気がするけどどうだろう。印象が違った。
でもどのリップを手に取るかというのはその日の気分とやはりリンクしてると実生活でも経験があるのでそんな気がする。そう受け取った。
『アイスクリームフィーバー』は要約できないひとりひとりの人生を優しく、切なく、甘く、儚く、描く。
登場人物たちは、その時々で一つ一つ選択を繰り返す。収束したかに思えて、その選択が新たな展開を呼ぶ。
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映画のあと不思議な浮遊感のなか、猿田彦珈琲本店に向けて出発。
まずは渋谷ストリームに向かう。
映画のあのシーンを思い出す。
ラミネート加工されたスケボー禁止の看板に思わずニヤリとしてしまう。
KISS TOKYOのオブジェ。ここにも千原さん。
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猿田彦珈琲本店に到着。
クレイジーマーブルとイタリアンミルク。
あっという間に溶けていく。
店内のネオンと足元のタイル。
このタイルはロケ仕様なのかそれとも元々なのか気になる。
店員さんの爽やかな対応に元気をもらう。
映画の感想を話したり、リーフレットをもらったり。
隣の方もパンフレットを取り出して写真を撮っていたり。学生グループのひとりが「この映画気になってたの!!」と話していたり。
ひとりで観に行ったはずが、聞こえてくる声とロケ地という空間のおかげで緩やかに繋がっていて嬉しい。
コラボカフェ!コラボメニュー!も嬉しいけれど、劇中に登場した食べ物を同じ場所で食べるというのもまたいいなぁと思う。一体化したような感覚。
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代官山に向かおうと思ったものの、道を間違えた。(逆方向に歩いてしまった)
立ち止まって目印になるものを探しているときに映画の大切なシーンのロケ地に偶然巡り合った。
休業日だったのでまたの機会に。
パフェはあるのかな?オムライスも美味しそう。
猿田彦の前をもう一度通ることができたので道の向こう側からお店を見れてそれがまた嬉しかった。映画のなかにいるような浮遊感。
怪我の功名。
こんな偶然も運命に思えるほど愛おしい。
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代官山に到着して原作である川上未映子さんの『愛の夢とか』を購入。映画ポスターの帯が嬉しい。
映画化されるときは映画を観てから原作を読むのが好きだ。
自分の想像力の及ばない範疇での表現を感じてから原作に浸る。
このシーンを膨らませたのかだったり、このエピソードは取り上げなかったとかとか、印象に残ったあのシーンはオリジナルだったのか、とか。
ふと見上げた空がアイスクリームのような色合いで晴れた日に観れてよかったな、そう思った。
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帰宅後、『恋する惑星』を観た。
気になりつつ観たことなかった、ウォン・カーウァイ作品。
一度気になったらその勢いで飛び込まないと、時間が経って熟成させてしまうことがある。強い動機がないと飛び込めなくなってしまう。
『アイスクリームフィーバー』が強い動機になった。今日観ないでいつ観るんだと思わせてくれた。
大学卒業と妹の高校卒業が同じタイミングだったので、記念に香港にふたりで旅行したときの空気感を思い出した。
雑踏の音や湿度、匂い。
長い長いエスカレーター。
坂道を上がったり、下ったり。
これから名画座でウォン・カーウァイ作品がかかるときは迷わず飛び込みたい。
家のプロジェクターで観たけれど、映画館でも観たい。そしたらまたエブエブも観返そう。
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映画を観終えたあとに、楽しみにしていた吉澤嘉代子さん出演の歌番組を観る。
ベースがなんとシスジェのオオナリさん。朝インスタのストーリーで告知しているのを見た瞬間びっくりして声が出た。10年近く好きなバンドとこのタイミングで繋がるのがまた嬉しい。
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映画館に行く、だけじゃない映画体験ができた1日だった。
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