音楽に救われた日

死にたい


本気でそう思った日があった。
今まで生きていて、”死にたい”というワードを口にしたことは多々ある。

好きな子に振られたり、バイトで失敗したり、

けどそれは口にしているだけで心の底から思っていることではなかった。


ただあの日は本気で死にたいと思った。
その日は仕事があって、帰り道に急にきた。

いや、今まですでに限界だったのかもしれない。

人間関係や仕事、現在の自分への不満や焦り、将来の不安
色々なことが重なって仕事帰りに寄った松屋で涙があふれそうになった。

そして、気づけば死に方をスマホで検索していた。

ほとんど無意識だった。
そのくらいその日は限界だった。


以前から疲れている時や心や体がしんどいときは幻覚で虫が見えるなぁと思っていた。
ただ、この日の前日は家の天井に大きな蜘蛛が這っているように見えて、自分でもおかしいと思っていた。


松屋からの帰り道はもうぐちゃぐちゃで、
ふらふらになりながら泣くのを堪えて過呼吸になりながら帰った。

帰っても動くことができずに暗い部屋の中で座り込んでいた。


本気でこのまま死にたいと思った。
車借りて遠くに行ってそのまま死んでやろうとも考えた。


どこにも味方はいないと思ったし、
孤独だと思った。


その日の数日後に自分の大好きな"Cody・Lee(李)"というバンドのライブを控えていた。
大学生のころから聴いていて、振られたときも新社会人でしんどかった時も支えてくれたバンドだった。

孤独感でどうにかなってしまいそうだった自分は、唯一味方でいてくれたバンドのライブには行こう。
行ってどっかで死のうと思った。


数日経って、ライブへ行った。

MCでボーカルの高橋響さんが「自分がしたい音楽のせいで彼女が将来が不安だと思うなら辞めてもいいと思った。」「それですごく悩んでいる。」みたいなことを言っていて、

自分の中のヒーローもこんな風に悩んでいて、苦しみながら生活をしているんだと思った。
確かにバンドマンは売れなかったら続けることもできない厳しい世界だし、その中で自分の好きな女を不安にさせる悩みや苦しみ、そして順調に売れているバンドを辞めるまで考えているほど苦しんでる。


ありがちな話だと思うけど、
自分のヒーローがそういう風に悩んで苦しんでいるというのが驚きだった。

てっきり、順風満帆で人気者で悩みなんか無いくらいのものだと思っていた。


そして、ライブの終盤のMCでは「生活は続いていきます。僕も皆さんも生活が続いて、しんどかったらDMでも送ってください。そうやって(苦しさ)を出して生活を続けましょう。どうか健やかに過ごしてください。」みたいなことを言っていて、

こんなことを言ってくれているのに、自殺して生活を終わらせちゃだめだと思った。


お前の死にたいって薄っぺらいな(笑)


って思う人もいるかもしれない。
たかが音楽のライブ一つで「もう少し生きよう」と思えてしまうほど自分の死にたいは薄っぺらいのかもしれない。


正直、HP0が瀕死になったぐらいしか回復はしてないし、
ライブ終わっても「明日から頑張ろっと♪」なんか思えなかったし、

ただ、本気で死のうとしていた人間が一夜のライブで「もう少し生活を続けてみよう」と思えた。
この話はただそれだけの話なんだ。


死にたいと思ったことを吐き出せる人間もいなくて、
一人で抱え込んでたら耐えれなくなって爆発して

あの日ほどじゃないけど今でもしんどいときのを引きずっている感覚はあるし、
夜な夜な死にたくて泣きそうになる日はあるけど、

そのバンドのライブがあったから死なずに乗り越えられている。


僕の生活はこれからも続くし、
多分死にたいと思う時がまた来るんだと思う。

耐えきれなくて、生活がそこで終わってしまうこともあると思う。


書いている今もよくわかんないし、正直消えてなくなりたいと思っている。
どうなるかはわからない。

ただ、とにかく今、文字を打ち込んでいる2023年12月11日0時51分の今は、
明日の生活を続けたいと思う。

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