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『Unraveling』DIR EN GREY(思い入れのある楽曲シリーズ)

今回はDIR EN GREYの『Unraveling』について語りたい。
この楽曲はほぼ同タイトルのミニアルバム『THE UNRAVELING』に収録されており、アルバムの一曲目を飾っている。
このミニアルバムは基本的には過去曲のリアレンジ版が収録されており、そんな中でこの『Unraveling』だけが完全なる新曲だ。

この『THE UNRAVELING』というミニアルバムは個人的にバンドの雰囲気が大きく変わったなと感じた作品で、その理由は二つある。

一つ目は、前述した通り過去曲のリアレンジ版が収録されていること。
この前作である『DUM SPIRO SPERO』に至るまでDIR EN GREYは構築美をひたすらに高める方向に、更に言えば恐怖心を覚えるような音像を形作る方向に進化していて、過去の作品からどんどん遠ざかって深みに落ちていくような(良い意味で)勢いを感じていた。
ボーカルの京さんも過去の曲を歌う時に大きなアレンジを加えたり、そもそも大部分を歌わずに済ませるようなライブもあったりで、どちらかというと過去の曲を避けるような意識があったのではないかと思っていた。
そこに来てのこのリアレンジ版だ。
過去の楽曲にも好きな曲の多い自分は素直に嬉しかったし、ここから過去アルバムを軸に据えたツアーを行う活動にも繋がっていったのだろうと思う。

二つ目は、そもそもの楽曲『Unraveling』の持つ雰囲気だ。
前作の『DUM SPIRO SPERO』の空気感のような深い闇の中に落ちていくようなものではなく、もう少し昔の作品に近いような、『鬼葬』、『VULGER』辺りに似た風味を持っているように感じられる。
ボーカルにメロディー的なパートが多いこと、全体的なバンドの音像が『DUM SPIRO SPERO』のものほど低くないことがその要因なのだろうか。
はっきりしたところはわからないが、空気感の違いを感じた人は多いのではないかと思う。

とは言えこの楽曲、歌詞、PVともにゴリゴリに尖っており、DIR EN GREYというバンドの持つ魅力を余すところなくパッケージした楽曲であることは間違いない。
個人的に曲の中で特に魅力的に感じるのはギターで、イントロの邪悪なフレーズからヘビーなリフ、Aメロの一見明るい音を使っているのに逆に不気味に感じるハモリフレーズ等、聴きどころが盛り沢山だ。
暗く重い雰囲気の楽曲が苦手でない方には是非聴いていただきたい一曲だ。





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