見出し画像

行政への不服申立て

はじめに

これから定期的(頑張って月1)に法律ネタを上げていきたいと思っています。というのも、行政書士の資格を取ったのに、それらしい記事を特に書いておらず、これでいいのかなとふと思いました。別に行政書士として活動しているわけではありませんが、今後その可能性がないわけではないので、そういった話題も入れておいた方がいいのかもしれないと思い、定期的にこういった内容の記事を書こうと思いました。今回は行政の決定に異議申立てする方法です。

不服審査とは

この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
2 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下単に「処分」という。)に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

行政不服審査法第1条

行政の決定に対して、その処分を受けた人は不服審査をすることができます。不服審査は行政不服審査法に規定されている国民に与えられた権利の1つです。行政不服審査は不服審査を網羅的に規定した法律であり、個々の法律で審査請求方法等を規定している場合はそちらが優先されます。行政の判断に対して、おかしいと思えば、異議申し立てをすることが認められています。これらのことは、行政から送られる通知に不服審査に関する事項が記載されています。

こんなことが書かれていることを知らないと思われているかもしれませんが、免許の減点通知や健康保険料の通知、納税額の通知が書かれたハガキに記載されています。すごく大きな文字で書かれているわけではありませんが、しっかりと書かれています。一度確認してみるのもいいかもしれません。どの処分が不服審査の対象になるかはその通知に書かれています。ただし、口頭で行われる処分の場合はこれらのことを通知する必要がありません。それは、口頭で行われる処分は比較的に軽いものだからです。

不服審査の方法

僕自身、行政不服審査をしたことはないので、一般的な方法について書いていきたいと思います。不服審査請求ができる人は処分に関する申請をした人やその処分を受けることで不利益を被る人でです。これらの人を審査請求人と言います。複数人を対象としている場合は、その処分を受けた人全員が不服審査請求をすることができます。関係のない人が不服審査を行うことができません。なぜなら、それを認めてしまうと、さまざまな横やりが恐ろしい混乱を招いてしまうからです。審査請求人は代理人を立てることができますが、審査請求の取り下げを代理人に行わせる場合は、代理人に審査請求の取り下げまでも認める委任をしなければなりません。これは本人の意に反して、勝手に審査請求の取り下げをさせないためです。
審査請求をしようとしている人は審査請求書に必要事項を書いて、審査請求を行う行政庁(審査庁)に提出します。
・審査請求人の氏名、住所(法人や団体の場合は企業名または団体名)
・審査請求に掛かる処分の内容
・処分があったことを知った年月日
・処分庁の教示の有無及びその内容
・審査請求を行う年月日

審査請求書が受理されると審理が始まります。審査庁から審理員が選ばれます。処分庁は弁明書を作成し、審理員を通じて、審査請求人に送付します。審査請求人がその内容に満足いかない場合は反論書を、審理員を通じて処分庁へ提出します。審理が終わると、審査員は審査庁に事件記録と、審理員意見書を提出します。それを受け取った審査庁は行政不服審査会等へ諮問します。審査会等の意見を基に審査庁は裁決という形で審査請求人に対して不服審査の結果を報告します。

裁決には却下裁決、棄却裁決、容認裁決、事情裁決の4つがあります。

基本的に裁決が下ると不服審査は終わりになります。しかし、個々の法律で再審査請求が認められている場合は再審査請求を行うことができます。裁決が終われば、行政の判断が覆ることはないのかと思われますが、行政訴訟を提起し、原告の請求が認められれば、覆ることはあります。実は行政訴訟は不服審査を経ずに最初から提起することも可能です。ただし、一部のケースでは不服審査を経てからでないと訴訟を提起できない場合がありますので、その旨は行政からの通知書で確認してください。
ちなみに、行政庁による不作為(標準審査期間を大幅に逸脱していること)についても審査請求ができ、その場合は、不作為をしている行政庁に審査請求をすることになります。

審査庁は行政庁の下した処分が適法であるかや行政権の濫用に当たらないかを判断するのであって、法律自体の妥当性を審査することはありません。法律の妥当性を審議するのは裁判所であり、妥当なものに変えるのは国会の役割です。おかしい法律に基づく、おかしな処分で法律そのものに対して不服審査はできません。あくまでも行政庁の判断が法的に問題がないかどうかを審査するにとどまります。法律の妥当性まで、行政で判断するようになれば、それこそ行政権の濫用になりますし、三権分立の根幹を揺るがすことになります。できることとできないこともしっかりと把握する必要があります。

最後に

今回はほとんど自分の復習を兼ねた内容となりました。だいたいの内容を掴んでいただけると嬉しいです。まだまだ、わかりにくいという場合は、気兼ねなく仰ってください。その部分を補填するような形で修正したいと思っています。僕がその部分をよく理解できていない証拠です。不服審査は行政庁が行うものなので、どうしても行政庁有利になりがちですが、すべての審査請求で審査請求人が辛酸を舐めることになるわけでもありません。処分に対してどうしても納得できない場合は審査請求をしてみるのも手です。納得のいかないことについて、泣き寝入りする必要はありません。

この記事が参加している募集

noteの書き方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?