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石を拾う

先日、私の大学で彫刻を専攻している同級生や先輩とすこし話す時間があった。炎天下の中ブルーシートを敷いてパピコを食べながら話をする。
作品の話や今関心のあることなどを他愛なく話していたが、ふと、良い石があったら持って帰るという話になった。わたしも記憶のあるころから地面を見つめ続けて何かを見つけようとしてきた。しっくりくる石や葉っぱ、貝殻や何かの破片など持ち帰る性質だったのでポケットはいつも砂だらけだった。20分で帰れる通学路を何時間もかけて歩いたので、見守りをしてくれる近所のおじいちゃんおばあちゃんを何時間も待たせ続けていた。私がいつも最後のこどもだった。今思うと夏も冬も嫌な顔一つもせず、よく待ち続けていたなあ。すげー、 愛 だったんだな。
話を戻すが、彫刻専攻あるあるとしてなんだか重さだったり、形のフィット感だったりがしっくりくる石は持って帰って飾って、たまに握るよねみたいな話になった。川や海だったり、そこら辺に落ちているなんでもない石なんだけど、なんだかすっと目に入ってきたりする。そういう子はついつい連れ帰ってしまう。その場にいた半数以上がやるよね~という反応だった。もちろん全然わかりませんみたいな子もいたが。
この話を聞きながら、舐め回すように地面を見てあっちこっち石を探し、周りからはいつも変人扱いされまた何やってんだかコイツはとため息をつかれ続けていた石拾いをこんなに多くの人がやっていたなんて!とわたしはちょっと泣きそうになった。この会話を聞くために、この出会いのためにひとりで石を拾い続けていたのか…と思うぐらいには嬉しくて、わたしの居場所ここかもと思った。場所が変われば見られ方も、多数派も変わっていくのを実感した。

もっといろんな人に石を拾ったり握ったりしてみてほしい。持って帰らなくてもいい。わたしは大事な日や疲れている時にはポッケに石を入れてぎゅっと握ったりして安心する。寝れない日は枕の下に石を置いたり握りながら眠る。わたしより遥かに長い、ゆったりとしたスケールで存在している石を握っているとなんだかわたしの方が包まれている気分になる。石ってすごいんだよ。


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