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うたた寝の産物

前述の記事でも述べたように

電車内の落ち着いた時間が私はとても好きである。

好きであるが故、ついついと、うたた寝を幾度となくしてしまっている。

とある日の大阪での待ち合わせでのこと。

この日は朝から予定があった。

降りる1駅前でどうやらうたた寝をしてしまったらしい。

あっと気づいたときには時既に遅し。

目の前には全く見慣れない広々とした風景が広がっていた。

呆然としている者を余所目に

ぐんぐんと電車は元気よく進んでいく。

ぐんぐんと進んでいた矢先、突如私の視界すべてが一点に注がれた。

太陽の塔だった。

さては寝落ちしたな?と言われんばかりの目力で

じぃとこちらを見ておられる。

全く以て頭が上がらない。

朝の太陽の光に当てられた姿はなんとも神々しすぎて眩い。

思わず脳内で拝まずにはいられなかった瞬間であった。

反省の意も込めて。

別の出先でのこと。

そこでもまた、あと数駅、という所ででぱったりと目が閉じてしまった。

しまった!と起きた勢いでホームへ慌ただしく降り立つ。

一息つき、ふと顔を上げると視界いっぱいに

相当ご立派な城が飛びこんできた。うたた寝から出会えた産物である。

慌てふためいていた奴が朝からこれほど素晴らしいものを

拝んでもいいのであろうか。

そう思いながらも思わず拝まずにはいられない。

勇姿感じる建ち姿であった。

幸いどちらの待ち合わせも遅れることはかったが

普段なかなか見られない、朝の光に包まれた貴重な景色を

知ることができたのはなんだか特別なようで嬉しく思う。

ただそうは言っても内心気が気ではなくなるのも本心な訳で、

自身の瞼にはもう少し頑張って堪えてほしいと強く願いたい。


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