お母さんへ4



お母さんとお父さんの仲が良くなかったことは
私が成長するにつれ、いろいろと分かりました。


お母さんはなぜか数百万円の生命保険を解約したこと。
お母さんは、自分がもし死んだ時に夫に生命保険のお金が渡ることが嫌だったのかな?って今は思います。
それと、お父さんに生活費を貰えないから保険料を払うのが大変になってしまったとか…

お父さんは、お母さんが生命保険を知らないうちに解約していたと、私にぶつぶつ言っていたよ。
そもそも、そのお金は自分で出してないだろうにね。



そして、お母さんがお父さんから生活費を貰えないのに
私のために貯金しておいてくれた数十万円のお金。
お母さんはお姉さんに、私が成長して大人になった時に渡してほしいと
お姉さんに託したのに、お父さんにバレてしまって取られてしまったよね。

本当なら、妻である自分が死ぬなら旦那さんに託すだろうけど
お姉さんに託したことで、お母さんはお父さんにお金を渡したくなかった。
お父さんを信頼していなかったってよく分かるよ。

生活費をくれない夫に、自分の貴重なお金を託したくないよね。
娘が大人になった時、ちゃんと渡してくれるかも分からないのに。



でも安心してね。
私が結婚した時に、同じ金額の預金証書と印鑑をお父さんは私にくれたよ。
ちょっと中途半端な金額で不思議だったけど、
あれはお母さんが生活費を貰えないなか、必死に私に残してくれたお金だったんだね。
お父さんも、流石に亡くなったお母さんのお金を渡さないってことは
できなかったみたいよ。
しかもお父さんは、お母さんが残してくれたお金とは一言も言わなかったし。
その時の私は、お父さんからの結婚祝い金みたいなものだと思っていたよ。



お母さん、生活費も貰えないなかで
私にお金を残してくれてありがとう。
金額よりもそのお母さんの気持ちがとても嬉しいよ。

お母さんと何を話したのか、記憶がなくて分からない私が
お母さんに愛されていたんだって分かるから。



お母さんは私のために、庭に茱萸の木を植えてくれたよね。
小学生の時の私は家に一人でやることがない時や、お腹が空いた時
茱萸を取って食べていたよ。
お母さんが亡くなった後も、
お母さんが私のために植えてくれた茱萸の木は
元気に育っていました。


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