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創作やらなにやら。

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  • クロッキー小説

    テーマと時間を決めて、即興で書く小説。書いて出しなので誤字脱字ストーリーの破綻はしょっちゅうです。ご了承ください。

最近の記事

【クロッキー小説#2】朔

本文  そこにいるはずだ。俺の声が聞こえるはずだ。それなのにどうしてだ。どうして。  痛い。痛い。いたい。  俺が他の”普通”の奴らとどうやら少し違うらしいと気が付いたのは、4つか5つの時だったと思う。蔵の隅でうずくまっている小さな女の子を見つけた。歳の頃は俺と同じだったと思う。声をかけると驚いた顔をした。どうして私が見えるのかと、そう問われた。その問いかけの意味も分からずに、一緒に遊ぼうと手を引いた。その手はずいぶん冷たかったように思う。  友の元へ連れて行くと、皆怪訝

    • 【クロッキー小説#1】銀竹

      ※センシティブな表現を含みます。ご注意ください。 本文 「一緒に飛んであげようか。」  後ろから響いた場違いに晴れやかな声にびくりと肩が跳ねる。濡れたコンクリは滑りやすく、思わず後ろの柵にしがみついた。  ―滑稽だ。  そう思った。バクバクと跳ねる心臓が、本心に気づいてしまった自分にさらに言い聞かせてくる。うるさい。わかっている。俺は、 「佑太。」  今度は真後ろで声がした。もう、背中に体温を感じるほどに近くにいる。柵を握る手に力を籠めるけれど、体はみっともなく震えている

      • 小説のクロッキーやってみようかなという話

        もう何年も開いていなかったnoteのアカウントを引っ張り出して、何をしようというのか。自嘲しながらこの記事を書いている。 noteから遠ざかっていた数年、本当にいろんなことがあった。職場も2回ほど異動して、希望していた職場に勤務することもできた。プライベートで言えば入籍して、人妻になったりもしている。夫は優しくて、面白くて、一緒にいると笑いが絶えなくて、毎日毎日幸せだと思う。間違いなく今までの人生で一番幸せだ。 それでも、幸せだけを思う存分吸い込めないのが私という人間の嫌

      【クロッキー小説#2】朔

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