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プロトタイピングスクールでモノづくりの世界をちょっと変えられたかもしれない - 1期生を終えて

 僕は2018年の終わり頃、「来年はスクールを作りたい!」と近くの人に宣言をしていました。

2019年が終わろうとしていますが、スクールを作るだけでなく卒業生を送り出すところまでやれたとは当時は全く予想してなかったです。

お世話になっている皆さん(学生、スタッフ、メンターさん、関連企業の方々、アドバイスを下さる僕のメンターさん)本当にありがとうございます。引き続きお付き合い頂けますと幸いです。

そんな今年の振り返りも兼ねて執筆してみます。

タイトルはちょっと痴がましいとも思いますが、報告も兼ねて読んでいただけると嬉しいです。

プロトアウトスタジオとは

 国内初のプロトタイピング専門スクールです。半年間で技術力、企画力、発信力を身に付けます。7割くらいが非エンジニアで、実装力などが無いところからスタートします。

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プログラミング学習はもう古い。「令和」時代のイノベーションを担う日本初のプロトタイピング専門スクールを開校

4月にリリースを出してから順調に人が集まり、1期生が卒業を迎え、2期生が絶賛スクールで勉強しています。

宣伝) ちなみに3期生を募集中なので、興味のある人がいたら授業の見学や説明会などに参加してみてください!!

1期生は今年の6月頃からカリキュラムがスタートし、前半3ヶ月で技術力、企画力、発信力を鍛え、後半の2~3ヶ月の卒業制作を行います。

卒業制作はクラウドファンディングで社会に問いかける

 色々な場面を見てきましたが、ハッカソンや学校の卒業制作で勿体無いなと思うところは、せっかく作ったモノが何にもならずに終わってしまうというところです。9割型のプロトタイプはその日を境に闇の中に消えていきます。

プロトタイプって言葉が頻出しますが、試作品や試作開発品といった意味合いで使っています。プロトタイピングはプロトタイプを作る行為や作業などを指しています。

 そういった現状を見ると大体の人が「制作物(プロトタイプ)がビジネスに繋がれば良いよね」と言ったりします。確かに僕もそうだと思っていて、そこまで繋がるのであれば闇の中に消えることは無いでしょう。ただ、実際にはビジネスに繋がる以前に、社会に繋がらずに終わっていることが大半だと思います。

 ここでの「社会に繋がる」という言葉は、数人の友達や家族などが継続的に使ってくれる状態であったり、お金を生み出さなくても継続的に使ってくれるファンがいる状態をイメージしています。

 僕の感覚だと、社会に繋がってない時点のプロトタイプに、「その先ビジネスに繋がる可能性が無いから継続しない」という判断は早すぎる気がしています。完璧では無い状態でも発信して、社会に繋がるかどうかの検証を先にしてみても良いのでは無いでしょうか。

こういった考えから、プロトアウトという言葉には「プロトタイピングでも(社会に)アウトプットしていこう」、「プロダクトアウトの手前での(社会に対しての)アウトプット」といった意味が込められています。 

(ビジネスに繋がらずとも)プロトタイプが社会に繋がるためには、社会に発信して問いかける必要があると思いますが、この「社会に問いかける」の具体化を「プロトタイプの時点でクラウドファンディングを実施してみる」と今回定義してみました。

CAMPFIREと連携して卒業制作のプロトアウト

 あまりリリースを出せてないのですが、プロトアウトスタジオでは、国内最大規模のクラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」とパートナーシップを結んでいます。

 これによって、現在のプロトアウトスタジオは「半年間で技術力、企画力、発信力を身に付けクラウドファンディングまでを行う」カリキュラムになっています。

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プロトアウトスタジオの1期生の卒業制作がクラウドファンディング中のCAMPFIRE内のチャンネルSPARKS

こういった形で、デモデイのイベントに来場した人だけでなく、インターネット上で誰でもプロジェクトに対してアクション(支援)出来るような状態にしてこそ、社会に問うことが出来たと言えるのかなと現時点では思っています。(ここでのデモデイは「プレゼン+デモを行う発表会」をイメージして下さい)

プロトタイプ時点でもクラウドファンディングをしても良いのか? 

 世の中のクラウドファンディングのプロジェクトを見ると、製品として販売予定のプロジェクトや、それくらいの完成度のプロジェクトを多く見かけます。

そんな中、卒業制作をクラウドファンディングするという話をすると、「お金払うほどの完成度なの?」とか「それくらいのレベルでクラウドファンディングするなよ」とか言う人もいるかもしれません。

しかし、元々のクラウドファンディングは「プロジェクトを始める人の第一歩を応援する場」という意味もあるはずです。こういった「クラウドファンディングしているプロジェクト=売れるモノ」みたいな認識が通常になってくると、クラウドファンディングにチャレンジすること自体が敷居の高くなっていきます。(実際に今はそういった雰囲気もある気がします)

 プロトアウトスタジオにおける卒業制作のクラウドファンディングは、お金が最大の目的ではなく、応援してくれる支援者を募るという検証の一貫と位置付けています。支援する側も含めて、「ちょっとしたモノを作ってみたんだけど、クラウドファンディングしてみて世の中の反応を見てみよう」くらいの敷居の低いチャレンジが出来る雰囲気を作っていきたいと思っています。

プロトアウトスタジオ1期 デモデイ

 こういった思惑や流れの中、2019/12/8に1期生の卒業制作のデモデイとクラウドファンディングでのプロジェクトスタートを行いました。

 1期生のデモデイは国内最大級のモノづくりイベント「FESTA 2019」の中で行われました。GUGENヒーローズリーグと同じ場で行えるとはありがたいことです。

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全体の来場者数は600名を超えたという、このイベントのメインステージで各自が作ったプロトタイプのプレゼンとデモを行いました。

クラウドファンディング中のプロジェクト

 現時点(2019年12月20日)で1期生の卒業制作プロジェクトがデモデイに合わせてCAMPFIREでプロジェクトをスタートしています。ここまで読んでくれた方は、製品として購入するという感覚よりは、応援したいという気持ちで見てもらえたら嬉しいです。

ちなみに、明後日締め切りのプロジェクトもあるので良かったらこの流れで支援を……笑

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タイトルと概要だけですが、クラウドファンディング実施中のプロジェクトを紹介させて下さい。(画像も載せたかったですが、一旦力尽きました。)

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こんな感じでデモデイで発表した12件中、10件の卒業制作プロジェクトがクラウドファンディング中、2件はまだ公開出来ていないですが、追って公開されていきます。

1期を終えてみて

 1期生が無事にデモデイを終えて、2018年の終わり頃に「何かしらスクールを作ろう」と言っていた時からすると、かなり進んだ動きが出来た気がしています。

モノづくりの世界がちょっと変わったかもしれないとタイトルに載せてますが、世の中のプロトタイプが闇に消えていく中で、スクールの卒業制作(プロトタイプ)でもクラウドファンディングまでを行い社会に問うところまでを実施できたのは、プロトタイプが社会に繋がる可能性を高める一つの解や事例を作れたのでは無いでしょうか。

 ここまでの流れを一貫してやれるカリキュラムは僕が見ている限り今までなかったです。これはニーズが無いのか、やることが不可能なのかなど色々当時は考えて不安だった気がしますけど、1期を終えてみて「自分の手でアイディアをカタチにし、社会に出すまでを最速で実現できる」 カリキュラムを作れてきていると自信を持って言えます。

 ただ、まだまだ改善点もあり、現時点での1期生での反省点は、アウトプット(とりあえず世の中に出すこと)を意識しすぎて、アウトカム(その後何かに繋がったか)を意識させることが出来なかったことだと思っています。

デモデイとクラウドファンディングスタートがゴールになってしまい、クラウドファンディングをスタートさせたことで満足してしまっている学生が多いような気がしています。クラウドファンディングはゴールではなくスタートですし、プロトアウトスタジオの卒業は自分でプロジェクトを作って自走していく第一歩目だとも言えます。(1期生のみんな読んでるかなぁ)

 彼らがそういったアウトカムを意識して、自分らしいプロトタイプをがんがん生み出していってくれたら、またモノづくりの世界は少しづつ変わっていくかもしれませんね。

最後にもう一回宣伝) ちなみに3期生を募集中なので、興味のある人がいたら授業の見学や説明会などに参加してみてください!!

蛇足

 定期的に考えていることを言語化していかないと脳みそが溶けていきますね。文書化大事です。プロトアウトスタジオでは2期生から授業の宿題の一貫でQiitaだけではなくnoteへの記事投稿も必須にしてみたのですが、改めて必要だなと思いました。

応援してくれると喜びます。