ミュージアムに行こう!③ 50を超える書道関連のミュージアム
ミュージアムに関心を持ち、これまで5000カ所ほどの博物館、資料館、記念館、郷土館などをリストアップしてきたが、キーワード検索をすると、さまざまな発見があって興味深い。
このリストには、美術館は原則入れないことにしているが、特定のアーティストを紹介したミュージアムや、特定の分野に絞り込んだ美術館は盛り込んでいる。
最近、追いかけていたテーマは書道界であったため、書を中心に紹介するミュージアムを検索してみた。意外に数が多く、休館中を含めて50カ所余りのミュージアムが全国に開設されている。
東京では台東区根岸にある「台東区立書道博物館」が有名である。洋画家で、書家でもあった中村不折が独力で蒐集したものが展示されていて、中国および日本の書道史研究上、重要な約1万6000点のコレクションを有する書道専門の博物館。根岸という文人が集まっていたエリアにある。
不折の書は、デザイン性の高さと親しみやすいことから、店名や商品名のロゴや看板に用いられることが多い。「新宿中村屋」の看板文字、清酒「真澄」や「日本盛」、「真澄」の醸造元をルーツとする「神州一味噌」のラベル、書道用品を取扱う東京・九段南の「筆匠平安堂」などに、不折の書が使われている。
書道のミュージアムは全国に点在し、北は北海道から南は九州、沖縄までと言いたいのだが、沖縄にあった「藤沢秀行記念館」は現在、閉館しており、沖縄には残念ながら書道関係のミュージアムがない。
藤沢秀行は昭和を代表する囲碁棋士であるが、書の大家でもあった。棋聖戦6連覇、史上最年長タイトル保持者などに輝いたが、酒、ギャンブル、借金、女性関係など破天荒な生活でもよく知られ、「最後の無頼派」とも言われ、人気があった。沖縄県南城市にある世界遺産、斎場御嶽に近い場所にあり、カフェを併設した立派な建物であるが、閉じられたままだ。
なぜ書関連のミュージアムが多いのだろうか。著名な書家は文化勲章を受けたり、文化功労者、日本芸術院会員であることが多く、地域の名士である。自治体や書家の関係者、有志がミュージアムや記念館の開設に力を注いできたため、数多くのミュージアムが誕生することになった。全国の書道関連のミュージアムを回ってみるのも面白いのでは。
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