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人物日本史【陸奥宗光】※随時更新

歴史教科書に登場する人物は数多いが、その全生涯を取り上げられることはない。活躍した一部分だけが紹介されるだけである。しかし、それ以外の部分に活躍の準備段階と活躍後の余生が残されている。歴史を学ぶ私たちにとって重要なのは、実はその部分なのではないか?日本の歴史に名を遺す前にどういう人生を歩んできたか。さらに、その人生をどう締めくくったか。そこで浮き彫りにされる彼らの思考や決断こそが、後の世を生きる我々の道しるべになりうる。

明治時代の「不平等条約改正」と「日清戦争」の場面において歴史教科書に登場する陸奥宗光。しかし、当然ながら、彼はそれらの場面の時だけ生きていたわけではない。その父は、江戸時代の紀州徳川家の有力家臣であった。

歴史教科書の文章は必要最低限の内容を簡潔に述べることを旨とする。そのことは重要事項のインプットを要求されることがある歴史学習者にとってマイナスに働く。何ら印象的なエピソードのない事項を我々の脳は記憶することを拒否することが多いからだ。

陸奥宗光には印象的なエピソードが多い。坂本龍馬との交流、西南の役に端を発する四年余りの投獄生活、原敬との政治的師弟関係。他の重要人物との意外なつながりを増やせば増やすほど記憶は定着していくものだ。

歴史学習にも反復学習が大事だと言われる。記憶できるまで同じ問題集や一問一答集を使って何度も繰り返すことが説かれる。ここでは、もう一つの反復を提案したい。歴史上の特定の事項を、様々な視点から確認しなおすという意味での反復である。その中には、ある事項を様々な人物の目線で捉え直す作業も含まれる。例えば、ある事件が、後の歴史上の重要人物の幼少期や青年期の目にはどう映っていたか。この作業を繰り替える中で、歴史上の事項が立体的に浮かび上がってくる。その結果、自然に脳にインプットされる。(続く)

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