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常に心にとめたい【プロ意識を感じる言葉7選】

プロフェッショナルでありたい」―私が弁護士を志した理由はそれでした。専門的な知識と技能を持ち、研鑽を怠らず、自分の判断に責任を持つ。身につけた力を社会に還元する。理想と正義を胸に、現実と向き合い、人のために汗を流してたたかう。
今回は、仕事をする上で心にとめている、「プロ意識」を感じる言葉をご紹介します。

全力を尽くすこと

プロフェッショナルとしての基本中の基本は、全力を尽くすことだと思います。まずはストレートに響く一言から。

全力をつくせ。手抜きをするな。
全身全霊を捧げられないならば,転職しなさい。
(キース・エヴァンス、『弁護のゴールデンルール』より)

続いて、元広島カープ緒方孝市選手の引退スピーチ。緒方は、この試合でヒットを放ち、足をもつれさせながらも代名詞の全力疾走、ヘッドスライディング。子供の頃からの大ファンである私は、試合中から既に感極まっていました。そこに、このスピーチです。泣きました。

試合が終わればユニフォームが真っ黒に、そうありたい、そんな選手でありたい、と最後の最後まで思っていましたが、気がつけばそのユニフォームが汚れなくなり、走ることも守ることも自分の思うようなプレーができなくなったと感じ、引退を決意しました。
(緒方孝市、2010年10月10日の引退スピーチ)

責任を持つこと

自分で判断しその判断に責任を負う、というのがプロフェッショナルの醍醐味です。そのことを端的に言ってくれているのが、神山啓史弁護士の次の言葉。後輩から方針の相談を受けたときは、「あなたはどう考えるの?」「どうするのが妥当だと思うの?」というのを必ず聞き、その判断に自分が責任を持てるのか、という観点からアドバイスをしています。

刑事弁護人は、その時点において、最善の対応は何かを判断して、助言をしなければなりません。
そして、その助言には、全責任を負わなければなりません。
判断がつかないから、責任をとりたくないからといって、「Aという方法もあるしBという方法もある。どちらがいいかあなたが考えて」という態度は、「無責任」であり、「プロ」ではありません。
(神山啓史、『五・七・五で伝える刑事弁護 その原点と伝承』より)

喜びを感じること

つらくてもやるのがプロかもしれませんが、仕事に喜びを見出して取り組むことこそ正しい姿だと思います。最近何かと話題に上る、高野隆弁護士。高野弁護士の講演録には、以下の言葉があります。

「なぜ弁護するのか」。楽しいからです。その楽しさの原点にあるのは,やはり法廷というダイナミクスですね。そこに登場する人たちは,みんな人生を抱えた個人だということです。一人ひとりが,自分たちの切実な問題を抱えている。必ずしも自分の依頼者が無罪とは限らない。有罪である依頼者のほうがむしろ多い。しかし,有罪の人にも,弁護をする理由はいくらでもあります。様々なことで,その人の失われた権利というものがそこにあります。有罪の人には人権がないということはあり得ません。どこかの検事が,外国人とヤクザには人権がないと言ったそうですが,そんなことはない。外国人にもヤクザにもちゃんと人権はあります。そして,そのような人たちの人権を守ることこそが,われわれの国を安全で自由な国に保っていく原動力になるのです。これほど楽しいことはないだろうと私は思います。
(高野隆、『憲法的刑事弁護 弁護士高野隆の実践』より)

「楽しい」というのは、簡単に手に入るものではありません。考え、実践し、挫折し、何度もそれを繰り返して、ようやく得られるもの。憧れのロックススター、甲本ヒロトはこう言っています。

僕はいろいろなとこでいろいろな人に聞かれるんだよ。“楽しきゃいいのか?“って。いいんだよ。そのかわり、楽じゃないんだよって。漢字で書いたら同じじゃんって。でもね、楽しいと楽とは違うよ。楽しいと楽とは対極だよ。楽しいことがしたいんだったら、楽はしちゃダメだと思うよ
(甲本ヒロト、BREaTH vol.12のインタビューより)

誰になんと言われようと、好きであること

仕事をしていて、忙しくなるとなんでこんなことに苦しんでるんだろう、と思うときもあります。でも、私は、自分でこの道を選び、誇りと自信をもってやっています。中学校の頃に出会ったローリング・ストーンズの有名な曲から、次の言葉を紹介します。

I know it's only rock 'n roll
but I like it
I know it's only rock 'n roll
but I like it,
like it, yes, I do
(The Rolling Stones "It's Only Rock'n'Roll"より)

勝手に訳すと、

分かってるって。たかがロックンロールって言うんでしょ。
でも僕は好きなんだ。すっげえ好き。ああ、大好きさ。

ってところでしょうか。自分が情熱を傾けるものは、誰がなんて言おうと、懸命に取り組む。それを教えてもらったような気がします。

理想を持つこと

仕事をしていれば、あらゆる仕事においてそうであるように、必ず壁にぶち当たります。制度だったり、金だったり、時には自分の能力や技術であったり。しかし、現実を突きつけられたときでも、理想を忘れてはいけないと思います。尊敬する先輩である河崎健一郎弁護士の次の言葉を紹介して、本稿の結びにしたいと思います。

司法制度改革が掲げた理念は、人民が統治の客体ではなく主体に転換する。 そして事前規制型社会から事後チェック型社会に変わっていく。そのためにはリーガルサービスをちゃんと支える人材が十分に世の中のいろいろなところに存在すべきだという理念に共鳴して、その一兵卒たらんとして、私はこの世界に飛び込んできた。私と同世代の人にそういう人たちはたくさんいる。
もし銭・金だけの問題だけを言われたら私たちはこの世界に来なかっただろうと思う。 もちろん理想だけの話をしているわけにいかない。生活もある。しかし基本的人権を擁護して社会正義を実現することが使命だと弁護士法の第1条第1項に書いてあるではないか。その使命を負っている弁護士が理想を語らないで誰が理想を語るというのか。
(河崎健一郎、2016年3月の日弁連臨時総会での討議)

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