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札幌銭湯スタンプラリー2023のこと(その22・鶴の湯)

札幌銭湯スタンプラリー2023、22軒目は鶴の湯さんへ。

仕事帰りに訪ねた。

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今日の私はドロドロに疲れていた。
というのも、年に数回お話をいただく研修の講師という仕事があったためだ。

私のような産廃ドブ人間に講師を頼む神経は全く理解できないが、頼まれたからには必死でやる。

もちろん持ち時間を埋める力すらないので、途中で手品や物真似(クレヨンしんちゃん等)、漫談(きみまろ丸パクり)、創作ダンスなどを挟み、何とかフィナーレを迎える。とにかく疲れるのだ。

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この疲れは銭湯で溶かすしかない。スタンプは二の次だ、と言いたいところだったが、どうせならスタンプもいただきたい。未スタンプの銭湯からチョイスしたのは鶴の湯だった。

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鶴の湯の魅力は何か。白ケロリンにカルストーンサウナ。いずれも最高だ。しかし私の答えは「面構え」だ。鶴の湯は面構えがいい。

面構えがいいというのは、カッコいいとか美人とか、そういうことでは全くない。面構えがいいというのは、面構えがいいということだ。

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具体的に説明しろといわれても困るが、面構えについて理解したいのならばアウトレイジを観るとよい。ただの一人も漏らさず、全員がいい面構えだ。三浦友和も西田敏行も小日向文世もだ。

私のイチオシは加瀬亮演じる石原だが、彼も当然にナイス面構えである。小便を漏らしたシーンですらいい。もちろん片岡をぶん殴ったシーンも、グバナン共和国の大使を怒鳴りつけたシーンも、バッティングセンターで縛(以下略)。

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何度目かの鶴の湯だが、夜にお邪魔するのは初めてである。

闇夜に光る「ゆ」が艶かしい。夜の顔だ。

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「チンピラ一人殺れねぇってのはどういうわけだコノヤロウ!」
恫喝しながらスタンプ用紙を番台へ。

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お客さんも皆、よい顔をしている。
そして、ほとんどの方が短時間で出ていかれていた。カルストーンサウナに入る人もあまりいない。

貧乏性の私はダラダラと長居しがちだが、潔くスパッと切り上げる皆さんがカッコよく見えた。もちろん、いい面構えだ。

あういう風になりたいなと思いつつ、御多分に洩れずたっぷりと堪能して外へ出た。疲れは、もう完全に消し飛んだ。

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タバコをふかしながら、その姿を眺める。よい。やっぱよい。面構えが、よすぎる。

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近々、また講師の予定がある。

「勉強になった」
「わかりやすかった」

そんな感想はいらない。

「先生の面構えがよかった!」

大袈裟だが、人前に出る以上はそういわれたい。鶴の湯を見習おう。

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