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「〜さる」と松竹湯のこと

5月27日月曜日。久しぶりの日没前退社。

家事やら何やらが溜まっていたので、素直に家へ帰ればよかったのかもしれないが、東豊線に乗り、美園で下り、松竹湯さんに入った。

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スチームサウナとジェットバスのおかげか、翌朝は会心の日覚め。そして、そんな朝の一言目は
「iPhone、充電ささってない」
だった。

この場合の「ささって」は「(ケーブルが)刺さって」ではない。北海道弁「~さる」の過去形である。

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「見らさる」「書かさる」といった具合に使われる「~さる」だ。その用法、意味を一口で説明するのは難しいが「その意志とは別についつい」というようなニュアンスを含む場合が多い。

例えば、札幌の地下鉄等で見かける「北海道米キャンペーン」の広告には、旭川西高校が生んだ三大スターの1人である森崎 博之氏(残り2人は橋本 奈々未と冨田 ラボ)の写真とともに「あぁ食べらさる」というコピーが踊っている。

この「食べらさる」を意訳すると
「積極的に食べようとは思ってないけど(あまりの美味しさに)ついつい食べてしまう」
となるだろうか。よいコピーだ。

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一方「~さる」によって、自分の意思ではないことを強調し、責任から逃れようとする場合もある。

例えば、協力プレイが可能なゲームで味方に攻撃してしまったとしよう。
その際の
「あ、Aボタン押ささっちゃった」

「攻撃するつもりはなかったけど、うっかり押しちゃった」
という言い訳、開き直りだ。

まず謝れという話である。責任放棄も甚だしい。

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もちろん、それで本当に責任から逃れられるかは別だ。

取り調べで
「あまりに好みのタイプなうえ、素晴らしいプロポーションをされていたので、触らさりました」
「隣の女子大生がベランダで干していたパンティに手が届いたので、盗らさりましたし、頭に被らさりました」
と供述しても、アウトはアウトである。死刑だ。

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話を戻す。
「充電ささってない」

「俺は寝る前にちゃんと充電ケーブルをつなげたにも関わらず」
というニュアンスを含んでいる。

悪いのはiPhoneか充電器かジョブズかクックだ。俺ではない。

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ただ、よくよく思い出してみると、隣の国が衛星だかミサイルだかを打ち上げ、Jアラートがやかましかったため
「うるせー!」
と充電ケーブルを引っこ抜いたような記憶がある。

充電ケーブルを引っこ抜いたところで、アラートは止まらないのにね。

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そんな記憶があるにも関わらず、会心の目覚めとなったのは松竹湯のおかげだ。
溜まった家事を気にしつつ、ふらふらと松竹湯へ向かったのは結果的に正解だった。

積極的に伺ったわけではない。なので、少し言い直そう。

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昨日は東豊線に乗らさり、美園で下らさり、湯に入らさった。

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