札幌銭湯スタンプラリー2023のこと(その17・松竹湯)
札幌銭湯スタンプラリー2023、17軒目は松竹湯さん。
山の日なので、山に感謝しながらお邪魔した。松に竹って山っぽいし。
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祝日だが、そんなに時間があるわけではない。私は忙しいのだ。16時30分から、なでしこJAPANがスウェーデンと試合をするので、中継を見なければならない。本日の予定は以上だ。
以上ではあるが、16時30分というキックオフ時刻が絶妙すぎる。
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どの湯に行こうか。
開店は何時か、移動にどれくらいかかるのかなど諸々の要素を考慮し、結論を出さねばならない。
俺の脳ことスーパーコンピュータ京がフル回転。
「結論ガ出マシタ」
そう告げた京は「松竹湯デス」と続けた。
松竹湯、ついに来たか。
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松竹湯は我が家から近い。少し時間はかかるが、徒歩で行くことができる。なのに未訪問だった。
我が家の酒蔵ことビックリッキー美園店への道中にあるので、何度も前は通っている。それにも関わらずだ。
そして未訪問の時間が長くなるのに比例し、訪ねるハードルが高くなっていた。
銭湯にハードルもクソもあるかとは思うが、そうなのだからしょうがない。
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「3年間同じクラスだったのに、ほとんど喋ったことがない」
「自分が行くと高確率で『本日のおすすめ:塩サバ定食』だが、一度も食ったことがない」
これといった理由はないのに、なぜかそうなっちゃっているということは少なくない。
なんともったいない。
彼がめちゃくちゃ面白い奴の可能性、サバにめちゃくちゃ脂の乗っている可能性は十分にある。
喋ってみて、食ってみて、その結果「違う」となれば、また距離を置けばよいだけの話である。
恐れることはない、いざ松竹湯。
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暖策をくぐる。
「ようやく来やがったか!」などとは当然いわれなかった。
「やっと会えたね」とスタンプ用紙を番台へ。
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番台の隅にロッカーキーが並んでいた。ここでお借りするシステムらしい。
「11番、使わせていただきます」
私は三浦知良という神様を信仰しているので、こんなときは彼の代名詞、神聖な数字である11番をチョイスする。
すると番台から
「11番は下の段で使いづらいので、14番とか上の方がよいですよ」
と声がかかった。
「クライフも偉大だけど、カズさんを裏切ることはできないです!」といえるはずはなく、素直に14番の鍵を受け取った。
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14番のロッカーにあれこれを詰め込み、いざ。
開放感のある洗い場に、立派なカラン。最高だ。どうしてもっと早く来なかったのか。大抵のサバは脂が乗っているし、大抵の銭湯はよい。
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松竹湯にはスチームサウナがあるものの、水風呂はない。そのことは事前のリサーチで把握していた。
私は水風呂が得意ではない。あれば入るが、毎回「心臓止まる!最後に寿司食っておけばよかった!」となるので、水風呂がないことは大きな問題でない。
水風呂のボーイズ・ライフなどとよく名乗っているなと我ながら思うが、大塚愛がサクランボを苦手としているのと同じことだ。
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確かに水風呂はなかった。そしてスチームサウナは故障のため使用不可とのこと。
スチームサウナも稼働していれば入っただろうが、あくまで湯が目的なので、これも大した問題ではなかった。
むしろ湯船のデカさ、深さ、熱さに集中できたので、却ってよかったとすら思っている。
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帰りにビックリッキー美園店で買った焼酎を呷りながら、なでしこJAPANに声援を送ったが、彼女たちは敗れた。
11番か14番の選手がゴールを決め、この文章をうまいことまとめる予定だったのだが、残念な結果になってしまった。
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